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サルコイドーシスの診断と治療
サルコイドーシスとは、原因不明の肉芽腫(にくげしゅ)と呼ばれる結節*が、全身のさまざまな臓器に生じる病気です。日本人のサルコイドーシスの患者さんの半数程度は、自然に治癒するといわれています。その...
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サルコイドーシスの診断と治療

公開日 2018 年 10 月 31 日 | 更新日 2018 年 10 月 31 日

サルコイドーシスの診断と治療
四十坊 典晴 先生

JR札幌病院 副院長 / 感染防止対策部部長 / 診療情報管理室長 / 呼吸器内科

四十坊 典晴 先生

目次

サルコイドーシスとは、原因不明の肉芽腫(にくげしゅ)と呼ばれる結節が、全身のさまざまな臓器に生じる病気です。日本人のサルコイドーシスの患者さんの半数程度は、自然に治癒するといわれています。そのため、経過観察のみで積極的な治療を必要としないケースもあります。しかし、中には重症化する方もいることがわかっています。

JR札幌病院は、サルコイドーシスの診療にも力を入れています。今回は、同病院の四十坊典晴先生に、サルコイドーシスの診断と治療についてお話しいただきました。

結節:直径1〜5cm程度の隆起した病変

サルコイドーシスの診断

サルコイドーシスは、主に、検査の結果から診断を行います。特に日本では、肺、目、心臓を対象とする検査を行い、症状があるかどうかを確認していきます。

検査の結果、これらの臓器にサルコイドーシスの病変を強く示唆する症状が認められれば、サルコイドーシスに特徴的な検査を実施し診断を行います。

類上皮細胞肉芽腫があれば病気を疑う

まず、全身のいずれかの臓器に、類上皮細胞肉芽腫(るいじょうひさいぼうにくげしゅと呼ばれる結節があれば、この病気を疑います。

類上皮細胞肉芽腫が確認できない場合、呼吸器、目、心臓のうち、2つ以上の臓器にサルコイドーシスを強く示唆する症状が現れているかどうかを確認します。たとえば、サルコイドーシスを強く示唆する症状のうち、目に現れる症状のひとつに、ぶどう膜炎があります。また肺に現れる症状には、BHLと呼ばれるリンパ節腫脹があります。心臓であれば、高度房室ブロックや、致死性心室性不整脈がみられる場合があります。

これらの症状が認められ、さらに、サルコイドーシスに特徴的な以下の5項目中2項目以上の検査結果が陽性であれば病気の可能性があります。

サルコイドーシスに特徴的な検査所見5項目

  1. 両側肺門縦隔リンパ節腫脹(Bilateral hilar-mediastinal lymphadenopathy:BHL) 
  2. 血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性高値または血清リゾチーム値高値
  3. 血清可溶性インターロイキン-2受容体(sIL-2R)高値
  4. 67Ga シンチグラフィ又は18F-FDG/PETにおける著明な集積所見
  5. 気管支肺胞洗浄液のリンパ球比率上昇又はCD4/CD8 比の上昇

複数の診療科の連携によって診断を行う

サルコイドーシスの診断は、複数の診療科で連携しながら行う必要があります。これは、お話ししたように、病変が生じる臓器が多岐にわたることがあるからです。

一般的には、呼吸器科が中心となり診断を行うことが多いでしょう。呼吸器科の医師が、目や心臓に異常がないかをある程度確認するケースもあります。

サルコイドーシスの治療

2018年7月現在、サルコイドーシスの根治的治療はありません。記事1『サルコイドーシスってどんな病気? 原因や症状について解説』でお話ししたように、サルコイドーシスは自然に治癒する方もいらっしゃるので、軽症であれば経過観察を行いながら、必要があれば治療を行うこともあります。

病気が発見された時点で進行性に病状が悪くなっているような場合、早期から薬による治療を行います。

経過観察を行う

症状が軽ければ、自然寛解することもあるため定期的に受診していただき、経過観察を行います。当院では、診断後5年間の経過観察を推奨しています。

自然寛解例:6か月後の胸部レントゲン検査では、肺の陰影がほとんど消えている(四十坊典晴先生ご提供画像)
自然寛解例:6か月後の胸部レントゲン検査では、肺の陰影がほとんど消えている(四十坊典晴先生ご提供画像)

経過観察を行いながら、症状が強く現れるようになったり、検査によって異常が現れたりした場合には積極的に治療を行います。経過観察の間には、病状がよくなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。

ステロイドによる治療が中心

サルコイドーシスの治療には、基本的にステロイドが用いられます。通院でステロイドによる治療を継続しながら、仕事など通常通りの日常生活を送る方も多くいらっしゃいます。ステロイドは副作用が現れることがあるため、薬の量に注意しながら治療が行われます。

また、メトトレキサートと呼ばれる免疫抑制剤が用いられることもあるでしょう。

診療科の連携によって治療を行う

基本的には、サルコイドーシスの治療は、病変が現れている臓器を対象とする診療科で行います。

たとえば、心臓であれば循環器内科が主体となり治療を行いますし、目であれば眼科が主体となり治療を行います。肺に病変があるようなら呼吸器内科が治療を行うでしょう。ただし、病変が複数の臓器にわたる場合、診断と同様、複数の診療科の連携によって行うことが多いです。

重症度Ⅲ・Ⅳは医療費補助を受けることが可能

サルコイドーシスには、重症度分類が定められており、Ⅰ〜Ⅳまで重症度が分類されています。記事1『サルコイドーシスってどんな病気? 原因や症状について解説』でお話ししたように、サルコイドーシスの患者さんの10%程度は重症化し治療も長期にわたります。

重症度Ⅲ、Ⅳは、厚生労働省が定める特定疾患に指定されており、医療費補助を受けることが可能です。

サルコイドーシスの患者さんの生活

日常生活の制限はほぼない

サルコイドーシスの患者さんには、基本的に、食事や運動など日常生活を送る上での制限はありません。重症化していなければ、経過観察や治療を継続しながら仕事や家事に取り組むことが可能です。

多くの場合、妊娠・出産が可能

妊婦さんの画像

サルコイドーシスは若い女性でも発症することがあるため、中には、妊娠・出産を望まれる患者さんもいらっしゃいます。重症化している場合を除き、妊娠・出産は可能です。

ただし、心不全が強く現れているようであれば、妊娠・出産に制限が設けられるケースもあるでしょう。また、治療に使用している薬が胎児に影響を与える可能性があれば、主治医と相談の上、薬を変更したり、休薬したりすることもあります。

また、出産後は一時的に病気が悪化する可能性があるため、出産後1年程度は慎重に経過観察を行う必要があります。

四十坊典晴先生からのメッセージ

患者家族会への参加で病気への理解を深めて

四十坊先生

記事1『サルコイドーシスってどんな病気? 原因や症状について解説』でお話ししたように、サルコイドーシスは、個別性の高い病気です。全身のいたるところに病変を生じる可能性があり、現れる症状も患者さんごとに異なります。自然に病気がよくなる患者さんもいますが、中には重症化するケースもあります。定められた頻度で受診していただき、治療が必要となったときには、主治医と共に治療に取り組んでください。

サルコイドーシスには、「サルコイドーシス友の会」という患者家族会があります。全国で病気の啓発を目的とした講演会も行われています。患者さんやご家族には、病気への理解を深めるために、これらにご参加いただくこともおすすめしたいと思います。

サルコイドーシス (四十坊 典晴 先生)の連載記事

呼吸器内科の医師として、肺がん、サルコイドーシス、喘息など呼吸器疾患全般の診断と治療を行っている。豊富な知識と高い技術とともに、丁寧な診療で患者さんの信頼を集めている。講演会への登壇など病気の啓発にも尽力。日本サルコイドーシス学会 副理事長も務めている。

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