疾患啓発(スポンサード)

糖尿病の治療法-効果的な食事療法や運動療法って?

糖尿病の治療法-効果的な食事療法や運動療法って?
富樫 信彦 先生

JR札幌病院 糖尿病内科 科長 / 腎臓内科 主任医長(兼任)

富樫 信彦 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

糖尿病は、主に食事療法や運動療法、飲み薬によって治療を行います。なるべく早く食事療法や運動療法、薬による治療などで改善をはかることが重症化を防ぐことにつながるといわれています。また、1型糖尿病や進行した2型糖尿病では、主にインスリンの自己注射によってインスリンを補う治療を行います。

糖尿病の治療は、継続することが大切であるといわれていますが、それはなぜなのでしょうか。また、どのような食事や運動が、重症化を防ぐのでしょうか。今回は、JR札幌病院の富樫 信彦(とがし のぶひこ)先生に、糖尿病の治療法についてお話しいただきました。

糖尿病の診断

血液検査によって診断が可能

糖尿病の診断は、主に血液検査によって行います。血液検査によって血糖値とHbA1c(1の値が基準値よりも高ければ、糖尿病と診断されるでしょう。

血液検査

経口ブドウ糖負荷試験を行うことも

これらの値から糖尿病かどうかがはっきりしない場合には、血液検査に加えて経口ブドウ糖負荷試験(2と呼ばれる検査を行うことがあります。

経口ブドウ糖負荷試験では、10時間以上の絶食後にブドウ糖水溶液を飲んでもらい、一定時間が経過した後の血糖値を測定します。この血糖値が基準値よりも高ければ糖尿病と診断されることがあります。

合併症の検査

さらに、糖尿病の合併症が疑われる場合には、合併症を確認するために、尿検査などさまざまな検査を行うことがあります。

健康診断で発見されることも

糖尿病は、健康診断で発見されることがあります。定期的に健康診断を受けていれば、血液検査の結果、血糖値とHbA1cの値から高血糖が見つかることがあるでしょう。

血糖が高いことが認められる場合、再検査となる場合もあります。このような場合には、早期の受診が糖尿病の発見につながるでしょう。

(1 HbA1c:赤血球に存在するヘモグロビンに糖が結合したもの。HbA1cの値を調べることで長期間(採血前1〜2か月)の平均血糖値を明らかにできる

(2 経口ブドウ糖負荷試験:意図的に一時的な高血糖を誘発させ、一定時間経過後の血糖値の値から糖尿病が存在するかどうかを判断する検査

糖尿病の主な治療法

食事療法、運動療法、薬物治療によって改善を

2 型糖尿病の多くは、インスリンを分泌する能力が保たれています。そのため、主に食事療法や運動療法、飲み薬によって治療を行います。2型糖尿病でインスリンを分泌する能力が残っている段階であれば、早期に治療に取り組むことでインスリンを分泌する能力を保護することができます。

健康的な食事

なるべく早く食事療法や運動療法、薬による治療などで改善をはかることで、血糖のコントロールがより困難となることを防ぐことにつながるでしょう。

インスリン自己注射

一方、1型糖尿病や、進行した2型糖尿病は、インスリンを分泌する能力が大きく低下したり失われていたりする状態です。このような場合には、インスリンの自己注射によってインスリンを補う治療を行います。

また、まれではありますが、すい臓の機能を改善するために、すい臓移植やすい臓の細胞の移植を行うこともあります。

インスリンの自動注射も登場

近年は、主にインスリンを分泌することができない1型糖尿病の方の治療法として、お腹に刺した針から1日中持続的にインスリンが注射される治療法が登場しています。

また、皮下に入れたセンサーによって自動的に血糖を測定してくれる機械も開発されています。1型糖尿病でインスリンを分泌することができない方は、自動的に血糖測定をしながら必要なインスリン注射を行うこともできます。

2型糖尿病に有効な薬物治療

いくつかの薬を組み合わせて治療することが多い

2型糖尿病の薬物治療では、いくつかの飲み薬を組み合わせて使用することが多いです。たとえば、インスリンの分泌を促進させる効果のある薬や、インスリン抵抗性を改善させる効果のある薬、あるいは糖の吸収を抑える薬、糖を尿から排泄させる薬などが用いられます。

薬

これらの中から2〜3種類の薬を用いて、血糖をコントロールすることが多いでしょう。ただし、軽症であれば、インスリン抵抗性を改善させる薬のみで治療を行う方もいます。

週に一度の服用のみの薬も登場

2型糖尿病の薬は、一般的に毎日服用する必要があるものばかりです。薬を飲み忘れることで血糖値が上昇してしまうケースもあるため、基本的には毎日服用することが推奨されます。

しかし近年、週に一度の服用で効果が期待できる薬が登場しました。毎日服用することが難しい方には、このような薬を選択肢のひとつとして検討することも有効だと思います。

糖尿病に有効な食事療法とは?

栄養バランスのとれた食事を

糖尿病の食事療法では、主に食事によって血糖のコントロールを行います。血糖を長期にわたって良好にコントロールするためには、栄養バランスを保つ必要があります。具体的には、特定の成分を多くとるのではなく、バランスよく栄養をとることが大切です。

体格や、どれくらい体を動かすのかによって、患者さんごとに必要なエネルギーは異なります。栄養士や医師によって、どれくらいの食事の量をとるのが望ましいか指導を行います。

適切な量の食事を規則正しくとることが大切

基本的に、糖尿病の患者さんが食べてはいけないものはありません。しかし、暴飲暴食には注意しなくてはいけないでしょう。また、一気に食べた後に全く食べないと血糖が上昇しすぎたり、逆に下降しすぎたりしてしまいます。

食事をする男性

血糖のコントロールでは、主に高血糖に注意しなくてはいけませんが、低血糖も危険です。たとえば、脳は血糖しか栄養として使うことができません。そのため、血糖値が下がりすぎると、脳の活動が停止してしまい、意識を失って命を落とす可能性もあります。血糖値が高くなりすぎず低くなりすぎずという状態を維持するためには、規則正しく適切な量の食事をとることが大切です。

糖尿病による腎障害や肝障害、肥満や高血圧を合併している場合には、これらに対する食事療法も必要になります。

糖尿病に有効な運動療法とは?

有酸素運動とレジスタンス運動をバランスよく行う

糖尿病の運動療法では、主に有酸素運動とレジスタンス運動を行います。主にこの2つの運動をバランスよく行うことが有効でしょう。これらの運動によって、インスリン抵抗性と肥満の改善が見込まれます。

有酸素運動は、たとえばジョギングやウォーキングのような運動を指します。有酸素運動には、心肺機能を高めたり、インスリンの抵抗性や肥満を改善したりする効果が期待できます。

ジョギングを行う男性

一方、レジスタンス運動は、たとえば筋力トレーニングのような運動を指します。レジスタンス運動には、筋力を増やしたり、骨を強くしたりする効果が期待できます。筋力をつけることでインスリン抵抗性と肥満の長期的な改善につながります。

スポーツなど激しい運動は可能?

スポーツなど激しい運動を希望する場合、特に制限なく行うことが可能です。ただし、合併症があるために腎臓の機能が弱っていたり心臓の持病があったりする場合には、制限がある場合があります。

糖尿病の治療期間

食事療法や運動療法を生涯継続してほしい

一般的に、糖尿病を発症すると、完全に治癒する可能性は低いといわれています。そのため、食事療法や運動療法は生涯継続したほうがよいと考えられます。

治療によって状態が改善されたとしても、加齢と共に糖尿病が悪化するケースもあります。それは、加齢によってインスリンの分泌機能が低下したり、インスリンのはたらきが悪くなったりするからです。そのため、たとえ状態がよくなったとしても治療を継続することが推奨されます。

糖尿病を治療しないとどうなる?

合併症が起こる可能性が高くなる

診断を受ける男性

記事3『糖尿病の合併症とその予防-どんなことに注意したらいいの?』で詳しくお話ししますが、糖尿病の治療を中断してしまうと、血糖をうまくコントロールすることができないために合併症の発症につながる可能性があります。

たとえば、目が見えづらくなる網膜症、腎臓の機能が悪くなる腎症、手足にしびれや痛みを生じたり感覚がなくなったりする神経障害は、糖尿病の3大合併症といわれています。これらの合併症が重症化すると、失明や手足の切断などにつながることがあるため、注意が必要です。合併症を発症しやすいかどうかは個人差が大きいですが、仮に合併症を発症しやすい方が治療を中断してしまった場合には、発症する可能性は高くなってしまいます。治療によって改善されたとしても、食事療法や運動療法、場合によっては薬物療法を続けてほしいと思います。