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乳がんの脳転移に対する治療の選択肢とは?
体にできたがんが脳に転移したものを脳転移といいます。脳転移の中で、乳がんは、肺がんに次いで頻度が高いことがわかっています。乳がんが脳へ転移したとき、治療の選択肢には、どのようなものがあるのでしょ...
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乳がんの脳転移に対する治療の選択肢とは?

公開日 2018 年 11 月 30 日 | 更新日 2018 年 11 月 30 日

乳がんの脳転移に対する治療の選択肢とは?
芹澤 徹 先生

築地神経科クリニック 東京ガンマユニットセンター 院長

芹澤 徹 先生

小口 正彦 先生

公益財団法人がん研究会有明病院 副院長 / 放射線治療部長 / 放射線管理部長

小口 正彦 先生

矢形 寛 先生

埼玉医科大学総合医療センター ブレストケア科 教授

矢形 寛 先生

目次

体にできたがんが脳に転移したものを脳転移といいます。脳転移の中で、乳がんは、肺がんに次いで頻度が高いことがわかっています。乳がんが脳へ転移したとき、治療の選択肢には、どのようなものがあるのでしょうか。また、治療を選択するときには、どのようなことを大切にすべきなのでしょうか。

今回は、築地神経科クリニック院長である芹澤 徹先生、がん研有明病院 副院長・放射線治療部長である小口 正彦先生、埼玉医科大学 総合医療センター ブレストケア科 教授である矢形 寛先生に、それぞれのお立場からお話をお伺いしました。

乳がんから脳転移を起こす可能性

乳がんは、肺がんの次に脳への転移が多い

芹澤先生:脳転移とは、体に発生したがんが、主に血行性に脳に転移したものを指します。あらゆるがんが脳に転移する可能性がありますが、乳がんは肺がんの次に脳への転移が多いことがわかっています。

矢形先生:乳がんの中でも、脳転移が多いといわれているものが「トリプルネガティブ乳がん」です。トリプルネガティブ乳がんとは、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)によってがん細胞が増殖する性質をもたないことに加え、HER2タンパクあるいはHER2遺伝子を過剰にもたないという特徴をもつ乳がんです。

また、がん細胞の増殖を促進するHER2タンパクあるいはHER2遺伝子を過剰にもつ「HER2陽性乳がん」も脳転移が多いと考えられています。

乳がんは脳のどこに転移する?

乳がん脳転移は小脳に発生することが多い

小口先生:脳転移では、病気の種類ごとに脳のどこの部位に転移することが多いか、ある程度の特徴がわかっています。たとえば、肺がん(腺がん)は大脳に転移することが多いですし、乳がんは脳の中でも小脳に転移することが多いことがわかっています。

脳の構造

芹澤先生:特に脳神経外科医としてお話しすると、小脳に転移した3cm程度の脳転移は、小脳以外の大脳に発生する4〜5cmの脳転移に匹敵すると考えられ、緊急の治療が必要となります。

大脳とは、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉のことを指す

乳がん脳転移によって現れる主な症状

ふらつき・頭痛・吐き気・めまいなどが現れることがある

芹澤先生:大脳に転移すれば片麻痺や言語障害などの巣症状(そうしょうじょう)が出現し、診断は容易です。しかし小脳に転移するとふらつき、めまい、頭痛、吐き気などの症状が現れます。

矢形先生:このふらつき、頭痛、吐き気などの症状は脳転移以外でも現れる一般的な症状であるため、医師は、脳転移の可能性を念頭に置き診療を行うことが大切になるでしょう。

小口先生:私は、放射線治療を受けた乳がん患者さんの中でも、乳房温存手術を受けた方や、リンパ節領域照射を受けていない方の多くは、早期乳がんであるため脳転移を疑うことは少ないです。しかし、乳房切除術後に放射線照射をしていたり、リンパ節まで転移がみられてリンパ節領域の照射をしていたりする方は、脳転移を起こす可能性を考え、注意するようにしています。

巣症状:脳転移が生じた際にみられる障害部位に特有の症状のこと

乳がん脳転移に対する治療の選択肢

放射線治療・外科手術・薬物治療

乳がん脳転移に対する治療の選択肢には、主に以下のようなものがあります。

  • 放射線治療(全脳照射・定位放射線照射)
  • 外科手術
  • 薬物治療

放射線治療とは、腫瘍に放射線を照射し、がん細胞の増殖を抑制して縮小・消失させる治療法です。放射線治療には脳全体に放射線を照射する全脳照射と、腫瘍のみに絞って放射線を照射する定位放射線照射があります。定位放射線照射を行う装置のひとつにガンマナイフがあります。

外科手術では、開頭して腫瘍を摘出します。

薬物療法としての抗がん剤は、脳組織と血管の間の障壁に阻まれ脳に行きわたらないため、脳転移には効果が見込まれないと考えられてきました。しかし、近年では、分子標的治療薬など、脳転移に一定の効果が見込める薬も登場しています。

乳がん脳転移に対する治療の選択方法

治療選択が難しいケースも

矢形先生:一般的には、乳腺外科の医師が最初に乳がん脳転移の患者さんを診療することが多いでしょう。脳転移が疑われたり診断がついたりした場合には、放射線治療や手術の適応があるかどうか、脳神経外科や放射線科の医師に相談するようにしています。

また、相談の前に、頭痛、嘔吐、吐き気などの頭蓋内圧亢進症状や巣症状をはじめとする神経症状が現れている場合には、症状を軽減させるためにステロイドや利尿薬などによる治療を行うこともあります。

乳がん脳転移の治療選択は、明確に標準化しているとは言い難いと考えています。全脳照射による治療がよいのか、ガンマナイフ治療がよいのか、あるいは手術も行うのかなどの選択にはバリエーションがあります。

また、乳腺外科の医師が、ガンマナイフ治療に適したケースだと考え放射線科の医師に紹介しても、放射線科の医師が全脳照射の適応と判断する可能性もあります。特に、ガンマナイフの適応に関しては、まだまだ治療に携わる医師の共通認識が定まっていない部分もあるように感じます。

小口先生:確かに、乳がん脳転移の治療法の選択に関しては、判断基準が曖昧なグレーゾーンもあるように思います。患者さんご自身が残された時間をどう過ごしていきたいか、ということを相談しながら、治療を選択していくことが大切だと考えています。

対談 小口先生

治療によって、乳がん脳転移後も長期で生存し続ける方もいます。私は、手術にしても、放射線治療にしても、薬物療法にしても、どのような治療を選んでも患者さんには少なからず負担をかけてしまうものだと考えています。治療を受けることによって、何を得ることができるのか、そして何を我慢しなくてはいけないのか、そのバランスを考えるようにしています。

たとえば、腫瘍が小さければガンマナイフ治療だけで治療が完了することもあるでしょう。放射線治療を行う場合、ガンマナイフ治療などのように、腫瘍に対してピンポイントに照射し、なるべく腫瘍周囲の正常組織には照射しないことで副作用をより抑えることが期待できます。一方で、脳転移が多発し症状が強く現れている場合には、病巣の制御ではなく、患者さんの症状を和らげることを目指し、全脳照射を行うケースもあるでしょう。

開頭手術を選択するケースとは?

芹澤先生:脳転移に対する開頭手術も、一般的に行われています。たとえば、腫瘍が大きく単発かつ開頭手術が可能な場合にはよい選択になります。

芹澤先生

矢形先生:複数転移が認められる場合でも、そのうちの1か所が、たとえば大きな小脳転移などの治療の緊急性が高いといえる部分にあり、少しでも悪化すると生命予後に関わってくるケースでは、手術による切除を選択することもあるでしょう。

芹澤先生:開頭手術は、脳転移の治療を検討するうえで、適応は限られるものの必須の選択肢といえます。

乳がん脳転移後のフォローアップ体制とは?

放射線治療中・治療後のフォローアップ体制

矢形先生:乳がん脳転移の患者さんは、乳腺外科あるいは腫瘍内科の医師が主治医であることが多いです。病院によってはこれらの診療科の主治医がすべてのフォローアップを行っているケースもありますし、各診療科が連携してフォローアップを行っているケースもあります。

矢形先生

芹澤先生:私が担当する患者さんの場合、放射線治療後は、基本的に当院・当科が中心となり、診察に加え造影MRIによるフォローアップを行っています。ただ、遠方であるなど、さまざまな理由で通院し続けることが困難なケースもあります。そのときには、紹介元の病院にお願いしています。

小口先生:私は、症状を和らげるために緩和的放射線照射を行った患者さんに対しては、最後までフォローアップするようにしています。また、進行期の患者さんに対しては、1年後といった頻度で来院いただき、患者さんの症状を確認させていただくようにしています。遠隔転移が進んできているような患者さんには、神経症状や頭痛などの状態を確認するために乳腺科の診察の帰りに寄ってもらうこともあります。

2〜3か月ごとにフォローアップを

小口先生:脳転移の患者さんには、3か月ごとにフォローアップを行っています。全脳照射後も、再び腫瘍が大きくなってきたらガンマナイフ治療を行う機会となるからです。そのため、全脳照射後に腫瘍が大きくなってきて、症状が現れそうになったら、次の治療としてガンマナイフによって腫瘍の制御を行うこともあるでしょう。

芹澤先生:基本的に3か月ごとでフォローアップを行い、何か心配なことがある患者さんについては、より期間を短くして2か月にすることもあります。もちろん神経症状が出現すれば、その時点で診察が必要になります。

 

転移性脳腫瘍 (芹澤 徹 先生・小口 正彦 先生・矢形 寛 先生)の連載記事

脳神経外科医・放射線腫瘍医として、転移性脳腫瘍、聴神経腫瘍、脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療を専門としている。1997年から、10,000例以上のガンマナイフ治療実績がある。特に転移性脳腫瘍に対する治療に造詣が深く、転移性脳腫瘍を起こした患者さんが安心して治療を受けられるよう、診療・臨床研究に邁進している。

1983年より放射線腫瘍医としてキャリアをはじめる。2009年にはがん研究会有明病院放射線治療部部長に就任。2000年以降、10,000例以上の放射線治療を担当してきた。厚生労働省がん研究助成金:放射線治療における臨床試験の体系化に関する研究主任研究者等を歴任。

1990年より千葉大学にて一般外科医師としてキャリアをスタートする。その後、乳腺外科を専門とし、2004年より聖路加国際病院にて多くの乳がん症例を経験。2015年より埼玉医科大学総合医療センターブレストケア科教授に就任。乳腺外科分野の第一人者として臨床をリードしている。

「転移性脳腫瘍」についての相談が10件あります

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