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定位放射線治療の可能性とは? 乳癌診療ガイドライン2018年版から考え...
肺がんの次に脳転移が多いとされている乳がん。乳がんの脳転移に対する治療の選択肢には、主に放射線治療・外科手術・薬物治療があり、さらに放射線治療には、全脳照射と定位放射線照射があります。2018年...
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公開日 : 2018 年 11 月 30 日
更新日 : 2019 年 01 月 23 日

目次

肺がんの次に脳転移が多いとされている乳がん。乳がんの脳転移に対する治療の選択肢には、主に放射線治療・外科手術・薬物治療があり、さらに放射線治療には、全脳照射と定位放射線照射があります。

2018年版「乳癌診療ガイドライン」では、腫瘍の個数によっては、定位手術的照射(SRS)単独での治療が推奨されるようになりました。このガイドラインの改定により、今後、乳がん脳転移の治療はどのように変わっていくと考えられるでしょうか。

引き続き、築地神経科クリニック院長である芹澤 徹先生、がん研有明病院 副院長・放射線治療部長である小口 正彦先生、埼玉医科大学 総合医療センター ブレストケア科 教授である矢形 寛先生にお話をお伺いしました。

全脳照射と定位放射線照射の違い

放射線治療には、全脳照射と定位放射線照射の2つの方法があります。

全脳照射

全脳照射とは、脳全体に放射線を照射する方法です。全脳照射は、脳全体に放射線を照射するため目視確認できないような微小な腫瘍も治療することができますが、腫瘍以外の正常組織にも放射線を照射するため、以下のような副作用が発生することがあります。

  • 脱毛
  • 頭痛
  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 体力低下
  • 中耳炎
  • 認知機能の低下

など

このように全脳照射は正常な脳の組織への負担があり、一般的に生涯に1度しか実施できないとされています。

定位放射線照射

定位放射線照射とは、腫瘍のみに集中的に放射線を照射する方法です。一般的には、腫瘍の数が10か所程度で、腫瘍の大きさが3cm以下の場合に適応されます。定位放射線照射を行う装置のひとつに、ガンマナイフがあります。定位放射線照射は、正常な脳組織への照射を減らすことができ、全脳照射で起こる可能性のある副作用は基本的にありません。また、定位放射線照射は繰り返し行うことができます。

ガンマナイフ治療とは?

ガンマナイフの特徴

芹澤先生:定位放射線治療の中でも、ガンマナイフは、脳疾患に対する治療としてもっとも古い歴史をもっています。また、全世界で100万人以上の治療実績があります。

ガンマナイフ治療では、放射線を約200か所から細いビームとして出し、腫瘍部分に集中して照射することで治療を行います。たとえば、小さい(1cm程度)ものであれば、25個程度まで安全に照射できる能力があります。

 

ガンマナイフの治療

ピンポイントで病変のみを照射するので、脳幹部などリスクが高い部位にも照射可能であり、多発性のがんでも一度に照射することができます。

全脳照射は、基本的に一生に一度しか照射することができませんが、ガンマナイフの場合、新しい病変が生じた場合にも、再び照射することが可能です。

日帰りで治療が完了するケースも

芹澤先生:ガンマナイフによる治療を必要とする患者さんをご紹介いただくと、当院ではだいたい1週間以内で治療が完了します。治療自体は1日で終了します。通常は二泊三日の入院が必要ですが、条件がそろえば日帰りで治療可能な場合もあります。

また、脳の正常組織はほとんど被曝しません。ただし、腫瘍の大きさによって制御率が異なります。腫瘍が大きくなるにしたがって再発率も高くなります。3cmを超えると制御率も低くなります。

小口先生:エビデンスが少ない時代は、放射線腫瘍医の中でも、ガンマナイフの適応を検討する医師は少なかったように思います。私も、定位放射線治療の経験を重ねることで、その治療効果を把握していきました。全脳照射とは異なる結果が得られることが印象的で、それ以来、定位放射線治療、とりわけガンマナイフ治療が適していると判断する患者さんには、ガンマナイフ治療をおすすめしています。

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連載記事

脳神経外科医・放射線腫瘍医として、転移性脳腫瘍、聴神経腫瘍、脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療を専門としている。1997年から、10,000例以上のガンマナイフ治療実績がある。特に転移性脳腫瘍に対する治療に造詣が深く、転移性脳腫瘍を起こした患者さんが安心して治療を受けられるよう、診療・臨床研究に邁進している。

1983年より放射線腫瘍医としてキャリアをはじめる。2009年にはがん研究会有明病院放射線治療部部長に就任。2000年以降、10,000例以上の放射線治療を担当してきた。厚生労働省がん研究助成金:放射線治療における臨床試験の体系化に関する研究主任研究者等を歴任。

1990年より千葉大学にて一般外科医師としてキャリアをスタートする。その後、乳腺外科を専門とし、2004年より聖路加国際病院にて多くの乳がん症例を経験。2015年より埼玉医科大学総合医療センターブレストケア科教授に就任。乳腺外科分野の第一人者として臨床をリードしている。

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