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肝胆膵のがん(肝細胞がん・胆道がん・すい臓がん)の治療選択と手術適応

肝胆膵のがん(肝細胞がん・胆道がん・すい臓がん)の治療選択と手術適応
野家 環 先生

NTT東日本関東病院 外科部長

野家 環 先生

目次
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口から食べたものを栄養素に分解し、残りの部分を体外に排出するはたらきを持つ消化器官。消化器官の外側に位置する肝臓、胆のう、胆管、すい臓は、消化機能に関与する臓器です。さらに、肝臓の解毒作用や、すい臓の内分泌機能(ホルモンを産生し血糖値を調整する)などは、私たちが生きていくために重要なはたらきをしています。

本記事では、肝胆膵のがんとして代表的な肝細胞がん、胆道がん、すい臓がんの概要と治療選択、手術適応について、NTT東日本関東病院の野家 環(のいえ たまき)先生にお話を伺います。

肝がんには、肝臓を原発巣(最初にがんが発生する場所)とする「原発性肝がん」と、ほかの臓器からがん細胞が転移して肝臓で発育する「転移性肝がん」があります。

さらに、原発性肝がんには、肝臓の細胞ががん化した「肝細胞がん」と、肝臓の中を通る胆管に発生する「胆管細胞がん」があります。

従来、肝細胞がんはB型肝炎C型肝炎のウイルスによる炎症を原因として発症するケースが多くみられました。しかし、近年はワクチンの活用や治療薬の進歩によって治療可能なB型肝炎やC型肝炎の症例が増えたこともあり、これらに由来する肝細胞がんは減少傾向にあります。

一方で、最近では、脂肪肝によって生じる「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」に関連した肝細胞がんが増加傾向にあるといわれています。

肝細胞がんは、日本肝臓学会による「肝癌診療ガイドライン」に基づき、肝臓にできたがんの大きさや個数、肝臓の機能(肝予備能)などを考慮して治療選択を行います。

肝細胞癌の治療方針
(参考文献):一般社団法人 日本肝臓学会編(2017)『肝癌診療ガイドライン 2017年版』金原出版株式会社、p.68

基本的に、肝機能が良好かつ腫瘍の数が1〜3個ならば、腫瘍の大きさに限らず、肝切除が適応されます。また、腫瘍の数が1〜3個、腫瘍径3cm以下の場合には、ラジオ波焼灼治療(RFA)注1)が適応となることがあります。

注1)皮膚の上から肝臓内のがんに電極針を刺して、ラジオ波という高周波を流すことで針の周囲に熱を発生させ、がんを焼灼する治療

胆道がんとは、胆汁を濃縮し貯蔵する胆のうにできる「胆のうがん」と、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管にできる「胆管がん」の総称です。胆道がんをがんの発生部位別に分類すると、肝内胆管がん、胆管がん(肝門部領域胆管がんと遠位胆管がん)、胆のうがん、乳頭部がん(十二指腸乳頭部がん)にわけられます。

胆道がんは、発生する場所や病変の広がりによって、適応となる治療が異なります。

胆のうがん胆管がん共に、唯一の根治治療は外科切除です。そのため治療選択の際には、まず外科切除の可能性を検討します。

胆のう壁へのがんの進行度合いや、胆のうの壁を越えて肝臓や胆管をはじめとした周囲臓器や血管への浸潤、リンパ節転移の程度によって、手術の方法を決定します。

胆管炎や胆道狭窄(きょうさく)による肝機能障害を起こしている場合、胆汁の流れを改善するために、手術前の処置として胆道ドレナージを行うことがあります。

胆嚢癌の治療方針
(参考文献):日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン作成委員会編『エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン2014年(改訂第2版)』医学図書出版

胆管がんの手術適応は非常に複雑であり、施設によって切除可否の判断が異なることもあります。特に肝臓の出口近く(肝門部)にできた胆管がんは、外科切除が技術的に難しいことが知られています。

胆のうがんと同じく、胆管炎や胆道狭窄(きょうさく)による肝機能障害を起こしている場合には、手術前の処置として胆道ドレナージを行うことがあります。

胆管がんの治療選択
(参考文献):日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン作成委員会編『エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 2014年(改訂第2版)』医学図書出版より改変

すい臓がんとは、すい臓に発生するがんを指します。そのうち9割は、膵液を運ぶ「膵管(すい臓に枝分かれして広がる管)」に発生することが知られています。

すい臓がんは、がんが発生しても症状が出にくく、早期発見が難しいといわれています。しかし、膵頭部に発生したものは初期から黄疸の症状が現れることがあり、早期発見のきっかけになることがあります。

早期発見が難しいことから、すい臓がんには「予後が悪いがん」というイメージがありますが、近年は、化学療法や内視鏡・超音波内視鏡検査の進歩により、少しずつ予後が改善しています。

すい臓がんの標準的な治療法は、外科的治療(手術)、薬物療法(化学療法)、放射線治療です。がんの広がりや患者さんの年齢や全身状態、ご本人の希望などを考慮して治療法を検討し、治療法のうちの1つ、あるいは複数を組み合わせた治療(集学的治療といいます)を行います。

膵臓癌の治療選択
(参考文献):日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会編『膵癌診療ガイドライン2016年版』(金原出版)

すい臓がんに対する手術適応は、CT検査などの結果を総合的に考慮し、「切除可能性分類」にしたがって検討します。切除可能性分類とは、肝臓や肺など他臓器への遠隔転移の有無、主要な血管にがんが広がっていないかといった点から、以下の3つに分類するものです。

  • 切除可能
  • 切除可能境界(遠隔転移はないものの、がんが主要な血管に広がっているもの)
  • 切除不能

一度「切除不能」と診断されたものでも、積極的に化学療法を行うことによって、切除を検討できる状態になることもあります。

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