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腰椎椎間板ヘルニアの手術-手術後の生活で気をつけるべきこととは?

腰椎椎間板ヘルニアの手術-手術後の生活で気をつけるべきこととは?
中野 恵介 先生

おおさかグローバル整形外科病院 脊椎センター長

中野 恵介 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年12月28日です。

腰椎椎間板ヘルニアの80%以上は、自然治癒するといわれていますが、自然治癒しない場合には手術を行うことがあります。手術にはさまざまな方法がありますが、近年では、傷が小さく、患者さんへの負担の少ない低侵襲手術も広く行われています。

低侵襲手術の特徴には、どのようなものがあるのでしょうか。今回は、おおさかグローバル整形外科病院の中野 恵介先生に、腰椎椎間板ヘルニアの手術と、術後の生活についてお話をお伺いしました。

3か月以上薬物治療や運動療法など保存的治療を続けても効果がないときには、手術を行うことがあります。また、仕事など患者さんのライフスタイルによっては、自然治癒するまで待つことができないケースもあります。たとえば、1週間で治して仕事にすぐに復帰したいという場合には、すぐに手術を行うこともあります。このように患者さんのライフスタイルに合わせて手術を選択することもあります。

腰椎椎間板ヘルニアの手術の様子2
画像ご提供:おおさかグローバル整形外科病院

また、腰椎椎間板ヘルニアの患者さんの中でも神経症状が強く現れている方の場合には、手術を行います。麻痺などの神経症状や筋力低下が非常に強く現れていたり、頻尿や尿閉、失禁などの膀胱直腸障害が起こっていたりする場合には、緊急手術となることもあります。

尿閉:自力で排尿ができない、あるいは排尿後にも多量の残尿を有する状態

椎間板ヘルニアでもっとも一般的に行われてきた手術法は、LOVE法と呼ばれるものです。LOVE法は、切開し、椎間板ヘルニアを切除する方法です。神経とヘルニアを剥がし、傷つけないようにヘルニアを取り出します。なお、骨の一部を削ることもあります。

当院では傷が小さく、患者さんの負担の少ない低侵襲手術を行っています。

 

画像ご提供:おおさかグローバル整形外科病院

MED(内視鏡下腰椎間板ヘルニア摘出術)

MED(内視鏡下腰椎間板ヘルニア摘出術)とは、内視鏡を用いた手術方法です。約2cm皮膚を切開し、そこから円筒型の手術器具を挿入して手術を行います。筋肉を切開することはありません。挿入した筒状の医療器具の内部に内視鏡を固定し、モニターで確認しながらヘルニアを取り出します。

PED(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)

PED(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)とは、直径約7mmの微小内視鏡を用いて行う手術方法です。PEDは局所麻酔で行うことが推奨されていますが、当院では全身麻酔で神経モニタリングを併用して行います。皮膚を約7mm切開し、切開した穴にチューブを挿入し、そこから内視鏡や手術器具を入れ、モニターで確認しながらヘルニア等を取り出します。

神経モニタリング:手術による神経損傷を避けるために、筋電図や神経伝導検査を応用する方法

腰椎椎間板ヘルニアの手術方法には、さまざまな種類があります。どの手術方法を選択するかは、患者さんの病態やご希望などによって決定します。たとえば、ヘルニアが椎間板から少し落ちてくるような病態では、PEDで行うのは難しいかもしれません。MEDはどんなヘルニアにも対応できるので、そのような病態ではMEDを選択します。

腰椎椎間板ヘルニアの手術では、低侵襲手術が進歩しています。当院でも採用している低侵襲手術の特徴についてお話しします。

低侵襲手術は、傷が小さく出血量も少ないです。患者さんへの負担が抑えられるため、術後の痛みが少ないという特徴があります。また、筋肉を切開することがないため筋肉にダメージを受けることがなく、術後早期に動くことが可能です。

また、低侵襲手術は、従来法と比較すると入院期間を短縮することができるという特徴があります。早期退院、早期社会復帰が可能といわれています。

現在は、MRIなど画像診断が進歩しているため、事前にヘルニアの大きさや場所など正確に病態を捉えることが可能です。そのため、近年では手術の安全性は向上していると考えられますが、リスクがまったくないわけではありません。

手術によって神経障害や感染症が起こる可能性があります。また、これは私の経験からいえることですが、喫煙習慣がある方は手術のときに神経を包む硬膜が破ける可能性が高いため、リスクが高い傾向にあります。

腰椎椎間板ヘルニアの手術のための入院期間は、手術方法によって異なります。たとえば、当院が行っているMEDでは、手術のための入院期間は一般的に4〜7日程度です。

 

画像ご提供:おおさかグローバル整形外科病院

低侵襲手術の場合、術後の痛みを抑えることが期待できます。また、従来法の手術であっても、昔と比べて骨を削る量や筋肉のダメージの量は減少しているぶん、痛みは抑えられるようになってきているといえます。手術による傷が痛む場合、術後の痛みが消えるのは低侵襲手術の方が早く、より早期の社会復帰も検討できるようになります。
下肢の痛みなど、ヘルニアによる痛みが続く期間は、患者さんによって異なります。手術の翌日には痛みがなくなったという方もいれば、徐々に痛みが減少していく方もいます。

腰椎椎間板ヘルニアを経験した方には、喫煙をなるべく避けていただきたいと思います。記事1『腰椎椎間板ヘルニアの症状や原因とは?』でお話ししたように、喫煙は椎間板ヘルニアの発症リスクとなりえるからです。

また、再発を心配して安静にしすぎず、できる限り通常通りの生活を送っていただければと思います。スポーツの種類にもよりますが、徐々にスポーツも可能です。ジョギングなどは徐々に始めても問題ないケースが多いでしょう。

 

腰痛や片方の足の痛み、頻尿や閉尿などの膀胱直腸障害が現れるときには、腰椎椎間板ヘルニアの可能性を考え、受診していただきたいと思います。また、腰痛はさまざまな原因によって現れる可能性のある一般的な症状ではありますが、腰痛の影に大きな病気が隠れているケースもあります。必ずしも椎間板ヘルニアではない可能性もありますが、腰痛がある場合には整形外科を受診し、早期に病気を発見していただきたいと思います。

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