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腰部脊柱管狭窄症とは? 症状から治療法まで解説

腰部脊柱管狭窄症とは? 症状から治療法まで解説
中野 恵介 先生

おおさかグローバル整形外科病院 脊椎センター長

中野 恵介 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年12月28日です。

腰部脊柱管狭窄症とは、背骨内部の神経や脊髄の通り道である脊柱管が狭くなることによって、腰痛や下肢(脚部)の痛み、しびれなどさまざまな症状が現れる病気です。主な原因は加齢による椎間板の変性(老化)と後方の椎間関節の肥大と考えられています。

腰部脊柱管狭窄症は自然治癒が見込めないため、薬物治療や手術などが必要となります。今回は、おおさかグローバル整形外科病院の中野 恵介先生に、腰部脊柱管狭窄症の症状から治療法までご解説いただきました。

腰部脊柱管狭窄症とは、背骨内部の神経や脊髄の通り道である脊柱管が狭くなる病気です。この病気では、脊柱管が狭くなることによって内部の神経や脊髄が圧迫され、腰痛や下肢の痛みやしびれなどさまざまな症状が現れます。

腰部脊柱管狭窄症

上記は、腰椎変性すべり症による脊柱管狭窄症の例です。

腰椎変性すべり症:腰椎がずれることで脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根が圧迫される病気

腰部脊柱管狭窄症には、主に以下の3つの病態があります。

馬尾型:馬尾神経を圧迫する病態

馬尾神経を圧迫する病態である馬尾型では、両足のしびれや脱力感などが現れます。

神経根型:神経根を圧迫する病態

神経根を圧迫する病態である神経根型では、主に片方の足の痛みやしびれが現れます。

混合型:神経根・馬尾神経ともに圧迫する病態

馬尾神経と神経根が同時に圧迫される混合型では、上記両方の症状が現れる可能性があります。

腰部脊柱管狭窄症の種類

腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管自体が狭くなって生じます。これは、神経が入っている部屋が狭くなっていくイメージです。一方、椎間板ヘルニアは、神経が入っている部屋にさまざまなものが入ってくることによって部屋が狭くなるイメージです。

腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアの両方が合併するケースもあります。合併している場合でも、原因はどちらか片方の病気になります。そのため、診断の項目で詳しくお話ししますが、腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアのどちらが原因病巣であるのか確認することが大切です。

後述しますが、どちらが原因病巣なのか判断するための「腰部脊柱管狭窄症診断サポートツール」というものも発表されています。

腰部脊柱管狭窄症の主な原因は、加齢による椎間板の変性です。特に、腰椎変性すべり症や変形性脊椎症などの病気によるものが多いといわれています。

高齢女性

発症する患者さんのライフスタイルはさまざまです。デスクワークの仕事をされている方に起こることもありますし、肉体労働の方に起こることもあります。

加齢が原因であることが多いため、この病気は、特に60歳以上の方に多いといわれています。ただし、30歳代などで発症するケースもあります。生まれつき脊柱管が狭い方は、発症しやすいと考えられています。

変形性脊椎症:椎間板が変形し骨の突出ができ、神経や脊髄が圧迫され痛みなどが現れる病気

神経根型の場合には、片方の下肢に症状が現れるケースもありますが、馬尾型では両方の下肢に症状が現れます。また、下肢の痛みよりもしびれが現れるケースが多いです。

腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状は、間欠跛行(かんけつはこう)です。間欠跛行とは、しばらく歩くと、痛みやしびれが現れるために歩行困難となりますが、少し安静にすると、再び歩くことができる症状です。

間欠跛行

また、このように、歩くことは困難ですが、自転車に乗ることは可能な方が多いのも特徴です。自転車は前かがみなので、症状が現れません。腰部脊柱管狭窄症では、後ろに反る体制が困難になるのです。

また、腰痛や、頻尿などの排尿障害が生じることもあります。

脊柱管狭窄症の診断には、症状の確認が大切です。先述したように、特に前屈すると症状が楽になる一方、後ろに反ると痛みが現れるという症状がないかを確認していきます。

また、脊柱管狭窄症は、レントゲン検査である程度推測することができます。ただし、診断のためには、MRIや脊髄造影検査が必要です。

腰部脊柱管狭窄症は、椎間板ヘルニアや閉塞性動脈硬化症との鑑別も大切になります。閉塞性動脈硬化症は、足の血管が細くなったり、つまったりして、血液の流れが悪くなり、歩行時に足のしびれや痛みが現れる病気です。この閉塞性動脈硬化症でも、間欠跛行が現れるため、脊柱管狭窄症との鑑別が必要となるケースがあります。

また、椎間板ヘルニアとの鑑別のためには「腰部脊柱管狭窄症診断サポートツール」という質問票も活用されます。

腰部脊柱管狭窄症診断サポートツール

 

このツールでは、該当する項目をチェックし、割り当てられた数字を計算することで脊柱管狭窄症の可能性を判断することができます。

脊柱管狭窄症の治療の選択肢には、主に薬物治療、装具療法、手術などがあります。脊柱管狭窄症は、自然治癒が見込めず、むしろ時間経過と共に病気が進行していってしまいます。そのため、画像上、神経や脊髄の圧迫が明らかな場合には手術を行うケースもあります。

薬物治療は、症状を和らげるために行います。治療に使用されることが多い薬は、血流を改善する薬です。腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状である間欠跛行は、血流障害によって生じるといわれています。そのため、薬によって血流障害を解消し、症状を改善することを目指して治療を行います。

装具療法では、少し前屈するような装具をつけることで症状が和らぐことが期待できます。

痛みが強い場合には、局所麻酔剤やステロイドを神経やその周辺に注入することで、痛みをコントロールすることがあります。

脊柱管狭窄症の手術には、除圧術と固定術があります。除圧術とは、切開をして骨を取り除き脊柱管を広げる方法です。固定術は、脊柱管を広げることに加え、脊椎間の不安定さを改善する目的で固定する方法です。

記事5で詳しくお話ししますが、当院では、どちらの方法であっても、内視鏡や顕微鏡を使用し、患者さんにとって負担の少ない低侵襲手術を行っています。

記事5『腰部脊柱管狭窄症の手術』では、腰部脊柱管狭窄症の手術についてお話しいただきます。

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