院長インタビュー

ホスピタリティを大切にしながら、よりよい医療を届けたい-黒部市民病院の取り組み

ホスピタリティを大切にしながら、よりよい医療を届けたい-黒部市民病院の取り組み
竹田 慎一 先生

黒部市民病院 院長

竹田 慎一 先生

目次
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黒部市民病院は、1948年に前身である「下新川厚生病院」として開設されました。1954年に黒部市が誕生したことで「黒部厚生病院」となり、その後1976年に現在の名称に変更されました。

今回は、同院で行われている取り組みや、病院の現状について院長である竹田慎一先生にお話を伺いました。

地域の基幹病院である黒部市民病院の医療

病院外観 黒部市民病院ご提供

当院は、黒部市を含む新川医療圏の基幹病院です。開業医があまり多くないという地域の特性上、開設時からかかりつけ医としての役割も担ってきました。

現在は414床の病床数と34の診療科を構え(2018年11月時点)、地域住民のニーズに応じた医療の提供に努めています。

救急医療

雨天でも搬送を受け入れることができるヘリポート 黒部市民病院ご提供

当院は2次救急に加え、脳卒中や心筋梗塞、頭部外傷への対応など、一部の3次救急にも対応しています。また、小児救急にも対応しており、院内には地域救命センターと新川医療圏小児急患センター、下新川一次急患センターを備えています。屋上には全天候型ヘリポートを擁し、ICU10床・CCU3床を整備して救急患者さんを受け入れています(2018年11月時点)。ドクターヘリの受け入れが可能なため、山岳遭難事故などの患者さんの搬送も対応が可能です。

職員には「可能な限り搬送を断ってはいけない」と伝えています。その分、多忙な病院ではありますが、地域の皆さまには頼りにしてもらえていると思っています。

院内カンファレンスの様子 黒部市民病院ご提供

周産期医療

当院は富山県の地域周産期母子医療センターに指定されています。1997年に周産期母子医療センターを開設し、2018年現在は富山県立中央病院や富山大学附属病院と連携して診療を行っています。

小児科エリアと産婦人科エリアの中心となるようにNICUを配置し、両方の診療科で密な連携を図りながら日々診療にあたっています。

がん診療

当院は地域がん診療拠点病院に認定されています。この新川医療圏では呼吸器外科の医師が少なく、地域内で肺がんの治療を行うことが難しかったのですが、2018年7月に2名の常勤医を確保し、対応が可能になりました。そうした背景もあり、当院では積極的にがん治療に取り組んでいます。

患者さんやご家族のサポートができるよう、がん相談支援センターも設けました。無料で相談ができるほか、各種パンフレットなどもそろえています。

病院の情報を全てオープンにした地域連携システム

ネットワークを活用した診療を行う 黒部市民病院ご提供

当院では「扇状地ネット」と呼ばれる、新川地域医療連携ネットワークを導入しています。これにより、連携する医療機関で当院の管理する検査データや画像のほか、医師記録や看護記録、病理レポートなどの関連データも閲覧できます。

このシステムで連携している開業医の先生は多く、アクセス数も上昇しています。2018年度中には、あさひ総合病院とも双方向連携の予定です。記録などのデータをすべて開示できるというのは、病院としての品質に自信がないとできません。さらに、開業医の先生方とも密な関係でないと難しく、扇状地ネットは当院の誇れるシステムだと思っています。

若手を成長させる「メーコン・ビブ郡黒部国際交流」

メーコン・ビブ郡黒部国際交流の様子(当院の研修医は前列の向かって左側) 黒部市民病院ご提供

初期臨床研修医が当院を研修先に選ぶ大きな理由のひとつとして、メーコン・ビブ郡との国際交流があります。

黒部市は、アメリカ・ジョージア州にあるメーコン・ビブ郡と長年にわたって姉妹都市提携を結んでいます。これは、黒部市内を拠点とするYKK株式会社が、メーコン・ビブ郡に工場をつくったのがきっかけとなったものです。このような背景を経て、医療面でも提携を結び、当院との国際交流が始まりました。

メーコン・ビブ郡のマーサー大学医学部や、現地の病院であるナビセントヘルスに協力してもらい、当院の研修医が赴くだけでなく、大学やナビセントヘルスからも医師や看護師に来てもらっています。

日本とは違う医療を知ることや、多様な人種の人々との交流から生まれるさまざまな考え方に触れることは、今後の医師人生に大きな影響を与えると思います。

費用は病院が負担し、希望者は全員「メーコン・ビブ郡黒部国際交流」研修に参加できます。この取り組みに魅力を感じてくれている研修医のために、今後も続けて発展させていきたいと考えています。

IT設備をいち早く導入

電子カルテを導入

当院は、オーダリングシステムを1987年に導入し、電子カルテは2003年8月に1期が稼働しました。当時は大手企業の電子カルテシステムではなく、ベンチャー企業と提携して独自のシステムをつくることで運用していました。こうした取り組みが、現在の「扇状地ネット」の普及と活躍につながっていると考えています。

Wi-Fiフリースポットの導入

 

無料でWi-Fiを使用できる外来待合室 黒部市民病院ご提供

当院の外来や受付、カフェなどの公共スペースでは、無料でWi-Fiサービスを使用することができます。患者さんからも希望が多く寄せられており、外来での待ち時間を快適に過ごしてもらうため、2015年より導入しました。

エリアを拡大してほしいなどの希望も出てきており、また運用方法を検討していければと考えています。

女性が働きやすい病院

院内保育所「さくらんぼ」の様子 黒部市民病院ご提供

当院は女性が働きやすい病院を自負しています。看護師や医師をはじめとした女性スタッフが産休、育休、時短勤務を取りやすいように配慮しています。

院内保育所「さくらんぼ」も設けており、0歳から小学校低学年くらいまでのお子さんをお預かりしています。また病後児保育を行う「さくらんぼケアルーム」も運用しており、どちらも看護師・医師に多く利用されています。

黒部市民病院の理想とする病院像

黒部市民病院がかかえる課題

当院の最大の課題は、看護師不足です。原因としては、この地域に看護学校がないことだと考えられます。また、卒業したばかりの若手の看護師たちは都会で就職する傾向があるため、それも原因のひとつでしょう。

看護師の数が少ないと、高度急性期医療の実施も難しくなります。先ほど紹介した、女性の働きやすい環境づくりなどを含めて、当院では今後も看護師に魅力的な職場づくり活動に注力していく予定です。

これからの黒部市民病院

当院の憲章である「日々念心」、これは初代院長の言葉です。理想とする病院はその言葉そのままであると思います。職員にも常に意識してもらうために、朗唱してもらったり、名札の裏に記載したりしています。

憲章には、「心の触れ合いを通して」ともあります。ホスピタリティに関しては、2016年から特に力を入れており、副院長をトップに取り組みを行っています。

職員向けに研修を行い、まずは挨拶を心がけることを徹底しています。患者さんに対してはもちろん、職員同士でも気軽に声をかけ合うように伝えています。

2017年には病院が新しくなり、設備などのハード面が整いました。これからは、心の触れ合いを大切に、ソフト面にも力を入れていかなければと思っています。

竹田慎一先生からのメッセージ

若手の医師へ

若手の医師のみなさんにも、「日々念心」の言葉を大切にするように伝えています。常に向上をめざし、日々研鑽すること。患者さんの立場になること。そして平等に医療を提供すること。そうした、「日々念心」に集約された思いを大切にしていってほしいと思っています。

地域の方々へ

私たちはこれからも、この地域の急性期医療を守ってまいります。そのためには、健全経営を継続しながら、「日々念心」に込められたホスピタリティの精神を大切に、職員一同で地域の皆さまに満足いただける病院づくりに努めてまいります。