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手術を考えるべき未破裂脳動脈瘤とは?特徴を解説

手術を考えるべき未破裂脳動脈瘤とは?特徴を解説
メディカルノート編集部 [医師監修]

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この記事の最終更新は2019年02月18日です。

脳の血管に発生するこぶである未破裂脳動脈瘤は、破裂して命にかかわることのある危険性をもっていますが、手術によって破裂を予防することができます。病院では、経過観察すべきか手術すべきかということを総合的に判断し、治療を進めていきます。

本記事では、手術したほうがよい未破裂脳動脈瘤の特徴について解説します。

医師 問診

未破裂脳動脈瘤は、MRI検査などの画像検査で大きさや形状を確認し、手術するかどうかを総合的に判断します。

こぶの形状が一段である場合は、小さければ様子をみますが、大きくなって7mm以上ある場合などには手術をおすすめしています。こぶの形状が二段になっている場合(脳動脈瘤にさらに娘動脈瘤ができた場合をブレブといいます)は破裂率が高くなるため、なるべく手術したほうがよいと考えられます。

手術をせずに経過観察している方でも、未破裂脳動脈瘤がだんだん大きくなってきているという増大傾向がみられたら、手術を考えます。

ただし、必ずしも手術をおすすめするわけではなく、患者さんのご希望によっては経過観察することもあります。未破裂脳動脈瘤にはさまざまなバリエーションがあるため、それぞれの症例について常に慎重に判断する必要があります。

未破裂脳動脈瘤でも神経症状が出ている場合は、すぐに手術をおすすめします。未破裂脳動脈瘤が大きくなって神経を圧迫すると、たとえば、眼球を動かす神経が麻痺する動眼神経麻痺を引き起こして、まぶたが閉じて開かない、物が二重に見えるといった症状が現れることがあります。このような症状が現れたら、脳動脈瘤がだんだん大きくなってきていると考えられるため、手術が必要になります。

破裂して軽い出血があるときは?

脳動脈瘤が破裂すると命にかかわることがありますが、出血量が少ない場合は、破裂しても気づかないまま生活している方もいます。このとき、鉄を含むヘモジデリンという物質が脳に黒っぽく付着して、血豆のような黒い点々がみられることがあります。人によっては軽い頭痛を感じますが、くも膜下出血とすぐに診断されず、その後再破裂して重篤な後遺症を残す方もいます。また、破れた部分が白っぽく固まっていることもあります。この現象は、脳動脈瘤に血液が流れ込まないようにするための生体の防御反応であると考えられています。

このような軽い出血が疑われた場合は、再破裂の恐れがあるため治療を検討します。

頭を抱える女性

未破裂脳動脈瘤の大きさや形だけでなく、患者さんの様子から手術を判断することがあります。たとえば、性格的に考え過ぎてしまうところのある方や不安感が強い方には、手術をおすすめすることがあります。脳動脈瘤が発見された不安から何も手につかなくなったり、今までできていたことができなくなったりと、普段の生活に影響が出てしまう可能性があるからです。反対に、物事にこだわらない方やあまり動揺しない性格の方は、経過観察することが多いです。

多くの場合、未破裂脳動脈瘤をもっている若い方には手術をご案内します。

ただし、若い方でも、脳動脈瘤が発生してから長期間経過していると思われる場合は、あえて手術をせずに様子をみることがあります。たとえば、つい最近検査を受けて未破裂脳動脈瘤が発見されたという患者さんでも、それ以前から同じような形で未破裂脳動脈瘤が存在していた可能性があるためです。

高齢の方には、高齢であるほど手術ではなく経過観察をおすすめします。80歳以上の方でも、体が非常に元気で手術を強く希望されていれば手術することもありますが、基本的に未破裂脳動脈瘤の手術は70歳以下の方に有効です。また、高齢者に対しては、金属のやわらかい「コイル」を用いたコイル塞栓術が中心となります。

未破裂脳動脈瘤の手術には慎重な判断が必要になる

未破裂脳動脈瘤は破裂する危険性をもってはいますが、たとえば3~4mmの大きさであれば破裂率は1%未満である場合が多く、手術は予防的側面の強い治療です。また、手術による合併症が起こる可能性はゼロではなく、手術の実施については慎重な判断が必要になります。

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