乳がん検診とは? 検診の種類・検診後の精密検査について解説
日本鋼管福山病院 乳腺外科 専門部長
藤井 清香 先生
疾患啓発(スポンサード)
公開日 : 2019 年 01 月 24 日
更新日 : 2019 年 01 月 24 日
乳がんの治療には、主に手術、放射線療法、薬物療法(化学療法・ホルモン療法・分子標的治療)があります。このうち、どの治療を行うかは、どのように決定されるのでしょうか。また、治療後に、患者さんはどのようなことに注意すべきなのでしょうか。
今回は、日本鋼管福山病院の藤井 清香先生に、乳がんの治療の種類や治療後の注意点などについてお話しいただきました。
乳がんであることが確定した場合には、がんの乳房内での広がりを確認する広がり診断を行ったり、全身状態のチェックや他臓器への転移の有無を調べます。乳がんの性質を調べるための検査も行っていきます。これらの診断を行いながら、患者さんのご希望にも配慮し、治療方針を決めていきます。
広がり診断は、乳房を可能な限り残す温存手術を行うときに、切除範囲を明らかにするために行います。また、画像検査によって肺や肝臓、骨などの遠隔臓器に転移がなければ、乳がんの根治を目指し、初期治療を行います。
乳がんの初期治療には、主に手術、放射線療法、薬物療法(化学療法・ホルモン療法・分子標的治療)があります。これらを組み合わせながら治療を行っていきます。
乳がんが進行し、肺や肝臓、骨などへの遠隔転移を認める場合には、がんの根治を目指すのではなく、がんの進行を抑えたり和らげたりする治療を行います。具体的には、生活の質を保ちながらがんと共存することを目的として、薬物療法中心の治療を行います。また、必要に応じて手術や放射線療法を行うこともあります。
乳がんの手術には、大きく分けて乳房部分切除術と乳房全切除術があります。
乳房部分切除術とは、病変部分を中心に、部分的に乳房を切除する手術方法です。一方、乳房全切除術とは、病変を含め、乳房をすべて切除する手術方法です。
2つ以上のがんのしこりが同じ側の乳房の離れた場所にある場合や、がんが広範囲に広がっている場合、放射線療法が行えない場合には、原則として部分切除の適応にはなりません。そのため、上記のようなケースでは、乳房全切除術を行います。
また、患者さんの中には、乳房部分切除術の適応があったとしても、乳房全切除術を希望される方もいらっしゃいます。そのような場合にも、乳房全切除術を行います。
また、リンパ節への転移が認められる場合には、リンパ節を切除するリンパ節郭清を行うこともあります。
乳房再建とは、手術によって失った乳房を再建する手術です。当院では、乳房の再建をご希望の方には、乳房再建のメリット、デメリットをお伝えした上で、乳房再建手術を行う病院へとご紹介させていただきます。
再建手術のメリットは、見た目で乳房の膨らみを実感できる点であると思います。一方、デメリットのひとつとして、手術を複数回行わなくてはいけないことが挙げられます。
当院では、これらをきちんとお伝えした上で、再建手術を行う病院と連携するようにしています。
日本鋼管福山病院 乳腺外科 専門部長
藤井 清香 先生
乳腺外科医として、乳腺疾患の患者さんの診断と治療を担当している。2013年には日本鋼管福山病院 乳腺外科 専門部長に就任。患者さんのご希望や価値観などを考慮し、患者さんと一緒に治療法を検討していく姿勢を大切にしている。
日本鋼管福山病院 乳腺外科 部長
椎木 滋雄 先生
乳腺外科医として、乳腺疾患の診断と治療を専門にしている。1995年には、第5回鳥取医学賞を受賞し、2013年には日本鋼管福山病院 乳腺外科 部長に就任。乳腺疾患に関する多数の著書がある。