【院長インタビュー】

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急速に高齢化する地域に寄り添う国保野上厚生総合病院
和歌山県海草郡紀美野町は、人口約9,000人(※2018年9月末時点)ほどの町です。この町にある国保野上厚生総合病院は、「いつもやさしく隣人のように接する」を理念に掲げ、へき地中核病院としての役...
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急速に高齢化する地域に寄り添う国保野上厚生総合病院

公開日 2019 年 02 月 05 日 | 更新日 2019 年 02 月 05 日

急速に高齢化する地域に寄り添う国保野上厚生総合病院
栁岡 公彦 先生

国保野上厚生総合病院 院長

栁岡 公彦 先生

目次

和歌山県海草郡紀美野町は、人口約9,000人(※2018年9月末時点)ほどの町です。この町にある国保野上厚生総合病院は、「いつもやさしく隣人のように接する」を理念に掲げ、へき地中核病院としての役割を担い、地域の求めに応じた医療を提供しています。今回は、同院の診療科や取り組みについて、院長である栁岡 公彦先生にお話を伺いました。

へき地中核病院の役割を担う国保野上厚生総合病院

国保野上厚生総合病院 外観

当院は1949年に開業し、地域に密着した運営をしてきました。地域に必要とされる医療を提供するために、内科・外科・整形外科・眼科病棟、療養病棟、精神科病棟を備え、2017年には、地域包括ケア病棟を設立しました。

山間の町であるこの地域の周辺には、冬になると深く積雪する山があり、冬季などには通院が難しくなる患者さんもいらっしゃいます。そのため当院は、診療圏内の通院困難な地域に診療所を4か所設置し、医師や看護師を派遣して診療を行っています。また、救急搬送の受け入れも積極的に行っており、地域に貢献しています。

国保野上厚生総合病院の3本の柱としている診療科

内視鏡センター内の様子

当院は、内科、外科、整形外科、婦人科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科、リハビリテーション科を設けており(2018年8月時点)、地域の総合病院として機能しています。今回は、当院の柱となっている、内科、精神科、整形外科についてご紹介します。

内科

内科全般の診療を行っています。当院の内科の特徴は、私を含め、消化器病専門医が在籍していることで、特に消化器内科の分野に長けています。呼吸器内科に関しては、呼吸器専門医が赴任してこられたことで、より広い範囲の病気の治療が可能になりました。現在では、肺気腫を含め、COPDなどの慢性疾患にも対応できるようになっています。

また、内視鏡センターを設け、在籍する消化器内視鏡専門医らが、患者さんに負担がかからないような診療を心掛けています。早期胃がんや早期大腸がんに対し、内視鏡を使って治療を行う内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も実施しており、身体への負担があまりかからない治療が可能です。

消化器病専門医…日本消化器病学会が認定する専門医。

呼吸器専門医…日本呼吸器学会が認定する専門医。

消化器内視鏡専門医…日本消化器内視鏡学会が認定する専門医。

精神科

こころの病気や障害の診療を行っており、救急搬送に対応できる体制をとっています。精神疾患は、長く患う方が多い傾向にあり、内科的な病気を合併する患者さんも少なくありません。しかし、当院には内科を備えていますので、どちらも診療できるというメリットがあります。また、近年、患者さんのご両親の高齢化が進んでおり、ご両親だけでは、患者さんの通院の付き添いや、薬の管理などが困難になる場合があります。そういった場合でも、当院であれば入院も可能となっているので、包括的なサポートができると考えています。

整形外科

骨や関節、筋肉など、運動器の診療を行っています。この地域は農作業をされている方が多く、足腰が強い方もたくさんいらっしゃると感じています。しかし、それでもある程度の年齢になると、圧迫骨折や、腰痛、骨粗しょう症の進行などによる痛みは生じるため、高齢化が進んだことで整形外科の需要は高くなりました。整形外科には整形外科専門医も在籍しており、一般的な手術や人工関節置換術、身体に負担が少ない内視鏡手術などを幅広く行っています。

整形外科専門医…日本整形外科学会が認定する専門医

高齢化が著しく進む地域に適した取り組み

待合室の様子

介護者が休息をとるためのレスパイト入院を推進

当院は、高齢化が著しく進む地域性に合った取り組みを行っています。たとえば、高齢のご家族が高齢の患者さんの介護を行う「老老介護」も珍しくはなく、介護者の疲労が問題になっています。そこで当院は、レスパイト入院を推奨しています。レスパイト入院とは、介護を担っている方の負担軽減や息抜きのために、被介護者の方に一時的に入院していただくという仕組みです。介護者の方が体を休める機会がない場合、共倒れになってしまう可能性もあります。こういった事態を防ぐためにも、1人でも多くの方にレスパイト入院という仕組みを知っていただき、1日でも利用していただければ、と考えています。

最大60日間入院できる病棟を新設

当院は2017年に、地域包括ケア病棟を設立しました。通常は、手術などの治療を行ったあと、2週間や3週間入院してからご自宅に戻っていただきます。しかし、当院は高齢者の患者さんが多いため、2週間や3週間の入院だけでは、体が思うように動かなかい、食欲が元に戻らないということも少なくありません。そのような患者さんのために設立したのが、この地域包括ケア病棟です。この病棟は最大60日間入院することができるため、「これだけ入院して休んだから、あとは自宅で安心して生活を送ることができる」という自信がつくまで入院していただくことが可能です。

体と心の苦痛を和らげる緩和ケアに注力

当院では、緩和ケアにも積極的に取り組んでいます。緩和ケアとは、がんなどの病気による痛みや倦怠感などの身体的症状や、悲しみや落ち込みなどの精神的苦痛を緩和するためのケアのことです。当院は精神疾患病棟を備えており、心のケアにも注力しています。患者さん、患者さんのご家族、患者さんの主治医と、当院の医療チームで相談しながら治療方針を決め、患者さんや患者さんのご家族をケアしています。

皆さまへ伝えたいこと―栁岡先生からのメッセージ

若手・研修中の医師の皆さんへ

当院にはさまざまな領域の専門医が在籍しており、積極的に新しい医療に取り組んでいます。その一方で、訪問診療や介護老人保健施設(老健施設)の患者さんを診るなど、へき地だからこそ行える医療の経験を積むこともできるため、「ハイブリットな体験」が可能な病院であるといえます。へき地の病院の重要性を理解していただける病院だと思っていますので、ぜひ当院で一緒に働いていただけたら嬉しいです。

共に地域医療を支える皆さんへ

連携している病院に向けてお伝えしたいことは、まずは、いつも大変お世話になっております、ということです。在宅診療に向かっていくうえで、かかりつけ医と地域の中核病院という関係は、切っても切れない関係だと考えており、今後はさらに密な連携をしていきたいと願っています。今後も患者さんをたくさん紹介していただきたいですし、紹介していただいた患者さんは、元の医療機関へお戻しできるように働きかけたいと考えています。研修会を催すなど、よりよい情報共有を行えるような取り組みを考えていますので、これからもよろしくお願いいたします。

地域に住む全ての皆さんへ

最後に、地域の方や患者さんに向けてお伝えしたいことは、何かあったときには、とにかく当院へお越しください、ということです。当院のスタッフは、本当にあたたかい人柄を持つ者ばかりです。小さなことでも結構ですから、ぜひ当院のスタッフに質問をしたり、話し掛けたりしてみてください。直接お話していただければ、スタッフの人柄をご理解していただけると思います。このような小さなコミュニケーションからも、皆さんに信頼していただけるような病院にしていきたいと思っていますので、今後とも、何卒よろしくお願いいたします。

1991年より消化器内科医師としてキャリアをはじめる。2010年に国保野上厚生総合病院に副院長として就任し、2012年に内視鏡センターの立上げに尽力する。2014年国保野上厚生総合病院院長に就任。