インタビュー

「旦那さんに申し訳なく思ってしまう」「妊娠しやすい体を作るには?」女性の不妊に関する悩みや質問に専門医が回答

「旦那さんに申し訳なく思ってしまう」「妊娠しやすい体を作るには?」女性の不妊に関する悩みや質問に専門医が回答
河村 和弘 先生

順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科・婦人科 教授、ローズレディースクリニック 医師、国際医療...

河村 和弘 先生

この記事の最終更新は2019年03月20日です。

近年では不妊治療を専門に行う施設も増え、治療によってお子さんを授かるご夫婦も増えました。しかし、一般的にはいまだ知られていない部分も多く、加えて精神的な苦痛が足かせとなってしまい、ご夫婦での検査や治療に踏み出せないと悩んでいる女性が多いことも事実です。本記事では、「不妊かもしれないが受診に対してハードルを感じる」「旦那さんに協力してほしいといい出しにくい」といった、不妊治療に関するよく寄せられる悩み・疑問に対し、国際医療福祉大学医学部産婦人科 教授の河村和弘先生に専門家としての視点からご回答とアドバイスをいただきました。

A.加齢と不妊は、密接に関連しています。女性の場合は34歳から36歳頃を目安に妊孕性(妊娠する力)が下がりますので、あらかじめ一般検査を受けられたほうがよいと思います。最近では結婚前のブライダルチェックを受ける方も増えていますので、お子さんを望まれているのならば、1年といった期間に捉われず、気になったときに受診されるのがよいと考えます。

A.不妊治療は「期間」ではなく「確率」で捉えることが大切です。治療法にはさまざまな種類がありますが、それぞれ「この方法の成功率は○%」といった割合が存在します。たとえば、体外受精を1年間で6回行ったご夫婦と2年間かけて3回しか行わなかったご夫婦では捉え方も変わりますし、その後別の治療法に進むかなどの判断も異なるものとなります。

ですから、「何年続けたか」ではなく「どれだけ頑張ったか」により結果も変わるものと捉えて取り組んでいただければとお伝えしたいです。

A.はい、当院の外来にてカウンセリングなどを行っています。当院の産婦人科には、不妊の中でも重症といえる「早発閉経」の患者さんが多数こられますので、中には精神的なサポートや治療が必要な方もおられます。不妊治療と心のケアは切っても切り離せないものなのではないかと考えます。

A.不妊の検査は、未婚・既婚に関わらず受けていただくことが可能です。また、「不妊治療」というと意味合いが異なりますが、生殖機能に関する何らかの問題がみつかった場合は、将来の「妊孕性(妊娠する力)温存のための治療」を行うことも可能です。特に近年では卵子凍結や卵巣の凍結ができるようになりましたので、たとえば早発閉経のリスクがある方など、不妊になる可能性が高いと診断を受けた方で卵子や卵巣を凍結保存されている患者さんは、未婚の方でも多数いらっしゃいます。

A.まず、前提として不妊治療のゴールはご夫婦お二人のお子さんを作ることですから、二人で行う共同作業であると考えてみてください。私は患者さんに対し、旦那さんに機能的な問題がなくとも(男性不妊でなくとも)次回からはお二人で受診していただくようにと指導しています。治療期間中お二人で情報を共有し、子どもを授かるというゴールを目指すことで絆がいっそう深まるご夫婦も沢山おられます。

受診される多くのご夫婦はそれまでに長い結婚生活があるため、特に旦那さん側のみが「改めて子どもを作ろう」という発想に切り替えにくいという傾向がみられます。ですから、「改めて将来の家族の在り方などを話し合い、価値観をすり合わせる機会を持つ」という目的も含めて、次のステップは「二人で時間をあわせて受診すること」と捉えてみてください。

A.強いエビデンス(科学的な根拠)があるものはありません。ただし、漢方薬は不妊治療と並行して処方することがあります。たとえば早発閉経の患者さんですと更年期障害の症状が出てきてしまいますから、ほてりを緩和する漢方薬などを、身体症状を抑える目的で使用することがあります。とはいえ、漢方薬により卵胞の数が増えたり、卵子の質が向上したりするわけではありません。ですから、漢方薬を過信せず、あくまで補助的なものと考えていただく必要があります。

サプリも現在のところエビデンスはないため、医師として患者さんに積極的に推奨できるものはありませんが、卵子の質を上げる可能性のあるものも存在し、私たちは科学的な根拠を見出すべく研究を行っています。

A.非常に多くの患者さんから受けるご質問です。私の専門とする早発閉経では、卵巣に供給される血流が非常に悪くなっているという特徴的な所見があります。ですから、体を冷やすなど、血流が悪化してしまうことは避けたほうがよいでしょう。基本的に「じっとしている」ことはよくないため、可能であれば、血流がよくなるようなこと、たとえば有酸素運動を行うことをおすすめします。

適度に運動することは妊娠のためだけでなく、体の健康を維持することにもつながりますから、積極的に生活に取り入れることをおすすめします。

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  • 順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科・婦人科 教授、ローズレディースクリニック 医師、国際医療福祉大学 医学部 産婦人科 教授、 国際医療福祉大学 高度生殖医療リサーチセンター センター長

    河村 和弘 先生

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