疾患啓発(スポンサード)

がん・脳卒中の患者さんが治療と仕事の両立を目指すときに心がけてほしいこと

がん・脳卒中の患者さんが治療と仕事の両立を目指すときに心がけてほしいこと
加藤 宏一 先生

東京労災病院 脳神経外科部長 / 両立支援部長

加藤 宏一 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

この記事の最終更新は2019年03月29日です。

働く世代ががん脳卒中を発症することは少なくありません。東京労災病院では、主にがん、脳卒中、メンタルヘルス不調の方の治療と仕事の両立支援を行っています。仕事を続けながら治療を行うことは可能なのでしょうか。また、がんや脳卒中の患者さんが、治療と仕事の両立を目指すとき、どのようなことを心がけるべきなのでしょうか。

今回は、東京労災病院 両立支援部長である加藤 宏一先生に、がんや脳卒中の患者さんが両立を目指すときの注意点についてお話しいただきました。

 

近年、高齢化の進行と共に、がんの患者さんは増加傾向にあります。その一方、医療の進歩と共に、近年はがんが「治る病気」になってきました。たとえば、就業しながら通院でがんの治療を行うことが可能になり、たとえがんにかかったとしても仕事を続けられるケースが増えています。

ステージⅠなどの早期のがんであれば、手術でがんの切除を行った後に問題なく仕事に復帰される方もいます。また、進行がんに対する治療も進歩しており、進行を抑えながら病気と長く付き合っていくことができるケースも増えています。たとえば、ステージⅣで脳に転移しているような方であっても、治療を受けながら仕事を続けられる方もいます。

ただし、肝臓がんやすい臓がんなど経過が悪くなりやすいがんであると、治療を優先するケースもあるでしょう。このようなケースでは、治療を優先し、たとえば化学療法を行わない時期のみに仕事をするなどの工夫が必要になります。

近年、がんは一般的な病気になっていますので、職場に自分の病気のことを伝えたほうがよいと思います。化学療法や放射線療法には副作用が現れる場合もあるので、通勤自体が大変になったり、職場で体調が悪くなったりしてしまう可能性もあります。

そのようなときにも、職場に伝えておくことで、勤務時間や仕事の内容等に配慮してもらうことができるでしょう。

脳梗塞脳出血などの脳卒中が起こった後には、何らかの後遺症を生じる可能性が高いです。たとえば、脳梗塞や脳出血の後遺症では、身体の左右いずれかの麻痺症状や、歩行が困難になる歩行障害が現れることがあります。

また、失語症と呼ばれる言語に関わる後遺症が生じることもあるでしょう。失語症が生じると、話す、読む、書く、聞いて理解する、などの言葉に関わる機能のいずれか、あるいはすべてに障害が起こります。さらに、記憶力や注意力などに問題が現れる高次脳機能障害が起こることがあります。

リハビリを行った後に仕事に復帰したとしても、集中力が続かなかったり、通院が難しくなったりすることで、仕事内容を変更せざるを得ない方もいます。中には、障害者雇用で働かれる方もいます。

脳卒中後は、患者さんそれぞれ状態は異なりますが、できることに制限が生じるケースが多いです。そのため、職場にきちんと自身の状態を理解してもらうことが大切になります。

自分の病気をうまく説明できる方は少ないと思います。特に脳卒中後には、記憶力や注意力に問題が生じているケースも少なくありません。そのため、主治医など専門家が職場に患者さんの状態や今後の治療スケジュールについて伝えることが大切になります。

職場に状態を把握してもらった結果、たとえば、運転手からデスクワークに仕事内容を変更し、仕事を続けられているケースもあります。また、勤務時間を短縮したことで仕事を続けられているケースもあります。

高次脳機能障害の方への理解を得るために

後遺症の中でも、記憶力や注意力に問題を生じる高次脳機能障害を抱える方が周囲の方の理解を得ることは大切であると思います。

麻痺などと異なり、一見病気の前後で身体的な変化が見られないため、周囲の方が患者さんの変化に気づくことができないケースもあるからです。一方、記憶力や集中力が低下することで病気の前と同じように働くことができなくなる方もいらっしゃいます。

そのため、特に高次脳機能障害を生じた方は、主治医など専門家から職場へ状態を伝えてもらい、仕事内容や勤務時間等の配慮を得ることが大切になるでしょう。

 

がん脳卒中の患者さんの中にはうつ病を発症する方も少なくありません。治療と仕事の両立を例にお話しすると、病気になる前と同じように働くことができなくなることで「職場へ負担をかけている」と精神的負担を感じてしまい、うつ病につながるケースがあります。

当院では、がんや脳卒中の患者さんのメンタルヘルス不調のサポートも行っています。うつ病になっていないかのチェック項目を活用し、うつ傾向と判断された際には、臨床心理士が介入し、サポートするようにしています。

 

両立支援の風景
両立支援の風景

私たち東京労災病院では、両立支援相談窓口を設けています。両立支援相談窓口では、治療と仕事の両立で何らかの悩みや不安がある方の相談に応じています。

両立支援相談窓口は、当院をご利用いただいている患者さんのみならず、どなたでもご利用いただくことが可能です。また、患者さんだけではなく、企業や他の医療機関からの相談にも対応しています。

対象疾患もがん脳卒中、メンタルヘルス不調のみならず、あらゆる病気の方の相談に応じる体制を築いています。

両立を行ううえで、患者さんが勤める企業などに対して何らかの調整が必要であれば、当院の両立支援コーディネーターが間に入り調整を行います。両立支援コーディネーターとは、治療と仕事の両立支援に関する基礎的な知識を有し、患者さん、医療機関、企業の間で情報を共有し、両立に伴う調整を行う者を指します。

当院では、がん、脳卒中、メンタルヘルス不調の方が相談にいらした場合、必ず両立支援コーディネーターに連絡がいくような体制を築いています。

受診について相談する
  • 東京労災病院 脳神経外科部長 / 両立支援部長

    加藤 宏一 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    「脳卒中」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    本ページにおける情報は、医師本人の申告に基づいて掲載しております。内容については弊社においても可能な限り配慮しておりますが、最新の情報については公開情報等をご確認いただき、またご自身でお問い合わせいただきますようお願いします。

    なお、弊社はいかなる場合にも、掲載された情報の誤り、不正確等にもとづく損害に対して責任を負わないものとします。

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。