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転移性脳腫瘍におけるサイバーナイフの治療の流れ

転移性脳腫瘍におけるサイバーナイフの治療の流れ
土田 幸広 先生

社会医療法人若竹会 つくばセントラル病院 サイバーナイフセンター長

土田 幸広 先生

目次
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転移性脳腫瘍などに対する治療法のひとつであるサイバーナイフは、麻酔を用いない固定具の使用やピンポイント照射などにより、患者さんへの肉体的な負担が少ないことが特徴です。サイバーナイフによる治療を行うにあたっては、治療前のCT検査・MRI検査やマスクの作成などの準備が必要になります。つくばセントラル病院では、転移性脳腫瘍などの患者さんに対するサイバーナイフ治療を実施しています。同院サイバーナイフセンター長の土田幸広先生に、実際のサイバーナイフによる治療の流れについてお話しいただきました。

 

他病院からの紹介を受けた患者さんには、紹介状とCT画像などの検査データを持参のうえ、当センターを受診いただきます。検査データや病状などからサイバーナイフによる治療が適応できると判断した場合は、後日、放射線治療計画を立てるための検査を行います*

*つくばセントラル病院サイバーナイフセンターは予約制です。

記事1『転移性脳腫瘍の治療の選択肢となるサイバーナイフの特徴』でお話ししたように、サイバーナイフは、自動位置補正機能によってリアルタイムで照射位置を調整しながら治療を行います。

正確な位置補正のためには、正しい位置の「地図」になるものが必要です。この「地図」を作成するために、転移性脳腫瘍の位置の確認ならびに放射線の照射方向や線量などをあらかじめ計画しておく必要があります。これを治療計画といいます。

治療計画を立てるために、当センターではCT検査とMRI検査を同日に行っています。また、CT検査時にはシェルというメッシュ状のマスクの形をした固定具も作成し、マスクをつけたままCT検査を進めます。

CT検査・MRI検査では、原則的に造影剤を使用しますが、アレルギーなどのために造影剤が使用できない場合は、造影剤なしで各検査を行います。検査にかかる時間は30〜40分程度です。

サイバーナイフに用いるシェルは、温めると柔らかくなる特殊なプラスチックでできています。

シェルのもととなるプラスチックを、CT検査を行う前から温めておきます。CT検査時、患者さんに仰向けに寝ていただき、顔の上から温めたプラスチックをかぶせます。すると、柔らかくなったプラスチックが伸長していきます。目や鼻などのでこぼこした部分にもぴったりとフィットしながら、患者さんの顔の形に変形します。十分に変形したら形を整えて、冷たいタオルをかぶせてプラスチックを冷やし固めたら、シェルの完成です。

実際のシェル
実際のシェル

頭部への放射線治療の場合、頭蓋骨が位置補正の「地図」としての役割を果たします。CT検査で1mmごとに切り分けて撮影した画像をコンピュータ上で再構成すると、X線撮影のような頭蓋骨の写真ができます。その頭蓋骨の写真を目印にして、腫瘍の位置確認、放射線の照射位置や角度などの計算を行います。

治療計画策定の際は、正常組織が耐用線量を超えていないか、腫瘍に正しく放射線があたっているか、特に正常組織に放射線があたりすぎないかを意識しています。悪性腫瘍である転移性脳腫瘍に治療を行う場合は、放射線の量を抑えすぎると効果が現れません。しかし、だからといって放射線を強くしすぎると、正常組織への影響が懸念されます。病変にはしっかりと作用し、なおかつ正常組織への被ばくは極限まで抑えることのできるラインを見極めながら、慎重に調整を進めていきます。

治療計画を策定したら、サイバーナイフによる治療を行います。

サイバーナイフによる治療のデモンストレーション

サイバーナイフによる治療のデモンストレーション。さまざまな角度から放射線を照射する
サイバーナイフによる治療のデモンストレーション。さまざまな角度から放射線を照射する

「地図」をもとにリアルタイムで位置合わせを行いながら放射線治療を進めます。

当センターのサイバーナイフ治療室には、天井からX線撮影用のカメラが吊り下げられています。このカメラは、一定間隔でリアルタイムに患者さんの頭蓋骨の写真を撮り続けます。リアルタイムで撮影したX線写真と、治療計画で撮影した写真を重ね合わせることで、実際の照射位置がずれていないかを都度確認することができます。放射線照射と同時並行で確認作業を行っているので、精度はほとんど狂いません。また、万が一大きな動きがあれば、自動的に機械が動作を停止します。

リアルタイムで撮影したX線写真
リアルタイムで撮影したX線写真

自動位置補正機能がなかった時代には、位置ずれが想定される範囲を含めて広く放射線を照射していました。そのため、正常組織への照射が避けられませんでした。しかし現在では、この自動位置補正機能により、正常組織へのダメージを軽減しながら放射線を照射できるようになっています。

なお、リラックスした状態で治療を受けていただけるように、治療室には優しい曲調の音楽を流しています。当センターにお気に入りの音楽CDなどを持参いただければ、その音楽を流すことも可能です。

外来通院の場合、治療後はそのまま帰宅となります。

 

実際の治療に要する時間や期間は患者さんの容体や腫瘍の数・大きさによって異なります。小さな転移性脳腫瘍であれば1日で終わることもありますし、腫瘍が大きく分割照射が必要な場合は、数日間かかることもあります。

個々の治療にかける期間は、CTやMRIの所見を確認したうえで判断します。

基本的には入院する必要はありません。実際に、仕事をしながら通院で治療をしている患者さんもいらっしゃいます。もちろん、遠方の患者さんなど、通院が難しい場合には入院することも可能です。

治療期間中、日常生活での制限は何もありません。通常通り生活していただけます。

治療期間中に顔や体につけたマークが消えてしまった場合、ご自身で描き直さないようにご注意ください。万が一消えてしまっても治療そのものに影響はありません。

土田 幸広先生

サイバーナイフは、侵襲性が低く患者さんへの負担が少ない定位放射線照射の一種です。しかしながら、サイバーナイフによる治療を実施できる施設は限られており、どこでもできる治療ではありません。当センターを受診するまでサイバーナイフのことを知らなかったという患者さんも多くいらっしゃいます。

そのため、まずは転移性脳腫瘍の患者さんやご家族、近隣病院や診療所の先生方に、サイバーナイフという治療の選択肢があることを知っていただきたいと考えます。

検査データや診察の結果、サイバーナイフは適応できないと判断した場合でも、その患者さんにとってより適切な治療を提案します。サイバーナイフを治療選択肢のひとつとして覚えていただき、必要な場合には、この治療を最大限活用してください。

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    土田 幸広 先生

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