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胃がんの治療のポイントは?胃温存手術に取り組む東京都立多摩総合医療センター

胃がんの治療のポイントは?胃温存手術に取り組む東京都立多摩総合医療センター
東京都立多摩総合医療センター 外科 部長 今村 和広 先生

東京都立多摩総合医療センター 外科 部長

今村 和広 先生

目次
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胃がんの治療では、手術によって胃や周囲のリンパ節を切除し、がん細胞を取り除く方法が標準的です。東京都立多摩総合医療センターは、根本的な治療とのバランスに配慮しながら、胃をすべて摘出することなく、可能な限り「食べる」機能を残す胃温存手術に取り組んでいます。

今回は、多摩総合医療センターにおける胃がんの治療のポイントと手術の方針について、同センターの外科部長である今村和広先生にお伺いしました。

胃がんの治療のポイントとは?

早期発見が重要─胃がんは手術で治る確率が高い

胃がんは、軽い段階では手術によって治る確率が高いがんです。そのため、定期的な健康診断などで早期に発見することが重要であり、治療の中心は手術になります。抗がん剤を用いる化学療法などが行われる場合もありますが、治療において手術の占める割合が大きいことが胃がんの治療の特徴です。

胃がんのある部位やステージを考慮して治療方針を決定

手術では、胃がんがみられる部分を切除すると共に、周辺のリンパ節を取り除くリンパ節郭清(かくせい)を行います。胃切除の範囲は、がんのある場所やステージ(病期)などを考慮して決定します。

胃機能の温存を目指す多摩総合医療センターの胃がん手術

根治性とのバランスに配慮し、患者さんごとの事情に即した治療を選択

胃がんの治療方針は、基本的には日本胃癌学会編「胃癌治療ガイドライン」に沿って決まります。しかし、当センターでは、ガイドラインにとらわれすぎず、患者さん一人ひとりの事情に即した治療を選択することを心がけています。

ガイドラインは、一般的な治療について記述したものであるため、患者さんによっては、ガイドライン通りの内容が合わないこともあります。その場合は、患者さんの年齢や社会的な状況を考え合わせて、患者さんやご家族とよく相談して、ご本人に適した治療法を考えます。たとえば、当センターで実施している「胃分節切除術」という手術法は、ガイドラインの記述では、治療効果に関してデータを集めている段階の治療と位置づけられていますが、患者さんとよく相談したうえで、年齢や状態によっては実施することがあります。

胃がんになっても食べることをあきらめないで

胃がんの手術では、根本的な治療を目指すように配慮しながらも、手術後の生活の質をなるべく落とさないよう、可能な場合には胃の機能を残すことが大切だと考えています。胃全摘は、胃温存手術に比べて、術後の摂食障害が著しく生じやすいといわれています。特に高齢の患者さんの場合は、摂食障害による栄養素の不足により、QOL(生活の質)が低下することが懸念されます。そのため、当センターでは胃全摘を回避し、切除範囲を縮小する胃機能温存に取り組んでいます。

必要十分な胃切除を実現するために

医療連携により精密な術前診断を実施

胃切除の前に、病変の深達度(しんたつど)と範囲を検討し、胃がんの範囲をより正確に診断する必要があります。当センターでは、必要十分な胃切除を実現するため、術前に精密胃X線検査(バリウム)と胃内視鏡検査(胃カメラ)を行っています。さらに、より精密な検査を実現するために、当センターの消化器内科や、隣接する東京都がん検診センター消化器科と連携して検査を行います。当センターの消化器内科は早期がん内視鏡治療に力を入れており、より正確に深達度を判定できる拡大内視鏡を使用したNBI観察を実施しています。

一般的には胃全摘を選択するような症例でも、術前の検査をしっかりと行うことで、部分的に胃を切除する術式を選択できる可能性が高まり、胃の機能の温存につながります。

術前マーキングに基づく精密な胃切離(いせつり)を実施

胃切離

術前検査で得た情報に基づいて、内視鏡を用いた術前マーキングを実施し、精密に胃切離範囲を決定します。術前マーキングとは、手術部位に対してマーカーで目印をつけることをいいます。腹部に小さな穴を開けて行う腹腔鏡手術の場合、お腹の中をモニターに映しながら手術を行うため、医師が患部を直接見たり触れたりすることはできません。そのため、切除部位に紫色のマーカーで目印のラインを引き、切除部位を金具で挟んでラインの位置を確認する作業を行います。

そして、術中内視鏡を駆使して、切除部位が間違いなく必要十分であることを確認しながらメスを入れていくことにより、精密な胃切離が可能になります。

地域の方へのメッセージ

重い病気を抱えている方にとっては、病院を受診するだけでも大変なことだと思います。遠くてもよいから実績のある病院にかかりたいと考える方は多くいらっしゃるかもしれませんが、入院時だけではなく、退院後の定期的な通院、再発や後遺症による治療の継続などのため、同じ病院に何度も行き来しなければならないこともあります。

当センターは、遠くの病院に行かなくても、できるだけご自宅に近い病院で最新の医療を受けることができる環境を地域の方々へ提供したいという思いから、より幅広い医療の提供に取り組んでいます。東京都多摩地区にお住まいの方は、お困りのことがあればぜひご相談いただければと思います。