我が国において、がんのなかでもっとも罹患数*が多い大腸がん。そこには、食生活の欧米化などが影響していると考えられています。大腸がんとは、どのような病気なのでしょうか。その原因や症状について、みつわ台総合病院の勝野剛太郎先生にお話を伺いました。
*一定の期間に、新たにがんと診断された数
大腸がんとは、大腸に発生する悪性腫瘍(がん)です。良性のポリープ(腺腫といいます)ががん化したものと、正常な粘膜から発生するものがあります。
大腸の構造は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分けられ、一般的に、日本人では、S状結腸や直腸に大腸がんが発生しやすいといわれています。
初期の段階では症状が出にくいのですが、進行すると、腹痛、便秘、下痢(あるいは便秘と下痢を繰り返す)などの症状が出ることがあります。また、リンパ節や肝臓、肺といったほかの臓器に転移することがあります。
進行している場合でも、手術が可能な病変であれば、原因となるがんをきれいに切除し、その後の治療をきちんと行うことで、十分に予後(その後の経過)改善が望めます。
大腸がんのリスクファクターとして、以下の要素が挙げられています。
大腸がんは、がんのなかで罹患数がもっとも多く*、その背景には、食生活の欧米化に伴う高脂肪食・低繊維食の増加があるといわれています。
*地域がん登録全国合計によるがん罹患データ(2014年)による
大腸がんのなかには、遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC、またはリンチ症候群とも呼ばれます)と、家族性大腸腺腫症(FAP)という遺伝子疾患があります。大腸がん全体からみるとこれらの発生頻度はごくわずかで、遺伝性非ポリポーシス大腸がんは2〜4%、家族性大腸腺腫症は1%未満と推定されています。
しかしながら、これら2つの疾患を含めて、大腸がんのうち35%は遺伝的因子が関与するとされています。そのため、家族に大腸がん(あるいは泌尿器科のがん、子宮がんなど)の方が複数いるような場合、問診の際主治医にお伝えください。
大腸がんの予防として、一般的に推奨される生活面での注意点は、以下のとおりです。
喫煙はあらゆるがんに関連を持ち、リスクを高めるといわれています。そのため、大腸がんの予防においても、禁煙は推奨されます。
日本人男性を対象とした研究で、多量の飲酒ががんのリスクを高めることが明らかになりました。飲酒は、がんのなかでも特に食道がんや大腸がんに強い関連があるとされています。このことから、節酒することは大腸がんの予防につながると考えられます。
飲酒量の目安として、純エタノール量換算で1日23gほどにとどめることが推奨されます。日本酒なら1合、ビール大瓶(633ml)で1本ほどです。
身体活動量が多いほど、がん全体の発生リスクが低下するといわれていますから、個人の健康状態や生活スタイルに合わせて、適切な量の運動を行うとよいでしょう。
運動量の目安としては、18〜64歳の方で、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分ほど、65歳以上の方は、強度を問わず身体運動を1日40分ほど行うことが推奨されています。
大腸がんは、初期の段階では症状が現れにくいのですが、進行と共に、以下に挙げる症状が現れることがあります。
など
このうち、1週間以上続く便秘、下痢、下血、体重減少、腸閉塞による腹痛や嘔吐といった症状が現れた際には、早期に病院を受診することをおすすめします。
診察の際には、便の内容を詳しく伺います。その理由は、「便秘はなく、便は出ている」とおっしゃる患者さんでも、便の内容をよく聞くと「下痢ばかりしている」ということがあるからです。下痢が続く場合、進行した大腸がんの可能性もあるため、それらを見逃さないためにも、便の内容を詳しく聞くことが大切だと考えています。
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子どものころに友人の死を経験したことが医師を志すきっかけに。1998年から外科医師としてのキャリアを歩みはじめる。みつわ台総合病院・外科部長に就任した現在でも、病気からの回復を求めて受診する患者さんの願いを叶えられるよう、治療方法など最新の知見の吸収や、手術スキル研鑽に努め続けている。
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