我が国において、がんのなかでもっとも罹患数が多い大腸がん。大腸がんは、初期の段階では症状が出ないことも多く、検診などで発見されるケースもあります。大腸がんの検診や、さらに詳しく調べるための精密検査では、どのような検査を行うのでしょうか。検査の内容や流れについて、みつわ台総合病院の勝野剛太郎先生にお話を伺いました。
大腸がんを早期のうちに発見するためには、便潜血検査が重要です。便潜血検査とは、がんやポリープによる出血が便に混ざっていないかを調べる検査で、通常、2日分の便を採取します。
大腸がん検診の内容には、便潜血検査と問診が含まれます。大腸がん検診は40歳以上の男女が対象者で、年に1回の受診が推奨されています。ほとんどの市区町村では大腸がん検診費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で受診することができます。検診の結果、「要精検」といわれた場合には、必ず精密検査を受けましょう。
大腸がんを疑うときには、内視鏡検査を行います。大腸の内視鏡検査では、肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を詳しく調べます。内視鏡検査は、がんだけでなく腺腫の有無も分かります。そのため、年齢と腺腫の数を比較して「腺腫ができやすい体質か」を知ることができ、大腸がんのリスクを推測することが可能です。
しかしながら内視鏡検査は、多少ながら体への負担があり、時間や費用もかかります。現状、大腸がんに対する内視鏡検査は、検診による寿命の延長効果が明確に証明されていないことから、一般検診の内容にはまだ組み込まれていません(2019年3月時点)。
これまで、腸の中を観察するには、内視鏡を肛門から入れて直接観察する方法しかありませんでした。しかし、近年、医療技術が進歩し、内視鏡検査の代用方法として、大腸CT検査(CTC:CTコロノグラフィーともいわれます)やカプセル内視鏡検査などが開発されています。
大腸CT検査とは、肛門から炭酸ガスを注入して大腸を拡張し、マルチスライスCT装置で撮影する検査方法です。診断精度が高く、大腸内視鏡検査が困難な方に行うことが可能ですが、ほかの大腸検査と同様、下剤による前処置が必要です。
大腸カプセル内視鏡検査とは、超小型カメラを内蔵したカプセルを飲み込み、無線で体内から画像を送信し、大腸内の状態を調べる検査です。肛門から内視鏡を挿入する必要がないため、検査中の苦痛や精神的な負担が軽減されます。
しかしながら、大腸CT検査とカプセル内視鏡検査は、現状、対象となる患者さんや実施する医療機関が限られています。
1970年代に開発されたPET検査は、1980年代に臨床医学への導入が進みました。
PET検査とは、ブドウ糖に近い成分の放射性検査薬を注射し、細胞への取り込みの分布を撮影することで、がんが疑われる場所を検出する検査です。PET検査で早期の大腸がんや腺腫が見つかることがあります。
しかし、PET検査は、全てのがんを見つける能力(感度)は十分とはいえません。そのため大腸がんの検査においては、PET検査だけではなく、便潜血検査や内視鏡検査を組み合わせることをおすすめしています。
新たな検査方法の追究として、尿や血液、便に含まれる微量の遺伝子などを測定し、大腸がんを見つける研究が進められています。現段階では研究としての側面が強く、大腸がんを見つけ出す確実な方法として推奨できる状態ではありません。しかし、今後、大腸がんの早期発見に向けて、検査技術の実用化が進むことを期待しています。
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子どものころに友人の死を経験したことが医師を志すきっかけに。1998年から外科医師としてのキャリアを歩みはじめる。みつわ台総合病院・外科部長に就任した現在でも、病気からの回復を求めて受診する患者さんの願いを叶えられるよう、治療方法など最新の知見の吸収や、手術スキル研鑽に努め続けている。
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