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大腸がんに対する手術の種類と選択−より低侵襲な方法を目指して
我が国において、がんのなかでもっとも罹患数が多い大腸がん。大腸がんの治療には、手術や薬物療法などさまざまな選択肢があり、がんの進行度や患者さんの年齢・全身状態などを考慮して治療方針を検討します。...
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大腸がんに対する手術の種類と選択−より低侵襲な方法を目指して

公開日 2019 年 05 月 16 日 | 更新日 2019 年 05 月 17 日

大腸がんに対する手術の種類と選択−より低侵襲な方法を目指して
勝野 剛太郎 先生

みつわ台総合病院 外科部長

勝野 剛太郎 先生

目次

我が国において、がんのなかでもっとも罹患数が多い大腸がん。大腸がんの治療には、手術や薬物療法などさまざまな選択肢があり、がんの進行度や患者さんの年齢・全身状態などを考慮して治療方針を検討します。本記事では、大腸がんに対する手術の種類と選択について、より低侵襲な(身体的な負担が少ない)方法を追求し続ける、みつわ台総合病院の勝野剛太郎先生にお話を伺いました。

大腸がんの治療における基本方針−みつわ台総合病院のポリシーとは?

『大腸癌治療ガイドライン』に準じて治療を行うことが第一原則

大腸がんの治療には、手術、内視鏡治療、薬物療法、放射線治療などがあり、基本的には『大腸癌治療ガイドライン』に準じて治療を行います。治療を選択する際には、がんの病期(ステージ)、患者さんの全身状態や年齢などを考慮し、総合的に判断します。

「トータルで患者さんの負担を減らす」を心がけている

当院は、「トータルで患者さんの負担を減らす」を心がけて診療を行っています。

患者さんにお話ししてご了解がいただければ、低侵襲な(身体的な負担が少ない)治療を行うという視点から、全ての疾患・大腸がんに対して腹腔鏡手術を優先して行っています。また、さらに傷の数が少ない単孔式腹腔鏡手術やナビゲーションサージェリー(※詳しくは後述します)の導入により、できるだけ患者さんの体の負担を減らす、あるいは合併症を極力おこさない治療を目指しています。

大腸がんに対する手術の種類とその選択

開腹手術と腹腔鏡手術を提示し、患者さんに選択していただく

大腸がんに対する手術を含め、消化器外科の手術には、開腹手術と腹腔鏡手術の2種類があります。通常は、診療のなかで両方の説明を行い、患者さんに術式を選択していただきます。近年は、傷が小さく低侵襲であるという腹腔鏡手術のメリットが社会的に認知されつつあり、開腹手術を希望される方は少なくなっています。

オプションとして「単孔式腹腔鏡手術」を提示することがある

さらに、腹腔鏡手術のオプションとして、腹壁に挿すポート(筒状の器具)を1つにした「単孔式腹腔鏡手術(Single Port Surgery)」の選択肢を提示することがあります。その根底には、手術の安全性・質を損なうことなく、手術の傷の数や大きさを減らし、低侵襲化を図る「RPS(Reduced Port Surgery)」という考え方があります。

大腸がんに対する単孔式腹腔鏡手術の様子
 ▲大腸がんに対する単孔式腹腔鏡手術の様子(術者:勝野剛太郎先生)

手術におけるRPSの考え方とは?

腹腔鏡手術は、ポートと呼ばれる5〜10mmの筒状の器具を腹壁に挿し、炭酸ガスでお腹を膨らませて行います。「Reduced Port(=ポートを減らす)」には、ポートの「数」を減らす、あるいはポート自体の「大きさ」を減らすという意味があります。

Reduced Portによって傷の数と大きさが減ることは、整容面でメリットをもたらします。さらに、Reduced Portの最終的な目的は、腹壁の損傷を最小限に抑え、術後の痛みや合併症(腸閉塞など)を減らすことです。しかしながら、Reduced Portによって合併症が少なくなるという効果については、現在、エビデンス(科学的根拠)を確立するための研究が進められているところで、今後のさらなる進展が期待されます。

勝野先生

RPSの極みである単孔式腹腔鏡手術とは?

腹壁に挿すポートを1つまで減らした腹腔鏡手術

「単孔式腹腔鏡手術(Single Port Surgery)」とは、腹壁に挿すポートを1つまで減らした腹腔鏡手術で、RPSの極みともいえる術式です。単孔式腹腔鏡手術は、虫垂炎、胆石性胆嚢炎をはじめとして、大腸がん、婦人科疾患(子宮がん、卵巣がんなど)、腎摘出など、さまざまな症例で臨床応用されています。

単孔式腹腔鏡手術では、へそ周りの腹壁を2〜2.5mm切開し、そこに1つのプラットフォームを置くことで、へそ周りの2〜2.5mm切開した部分からカメラ1本と2本の鉗子(かんし)を挿入し手術を行います。単孔式腹腔鏡手術はほとんどの大腸がんに対して行うことが可能ですが、難易度の高い症例、たとえば直腸がんの症例などでは5mmのポートを1本追加し、単孔式+1の形で行うこともあります。

大腸がん(直腸がん)に対する単孔式腹腔鏡手術の様子
▲大腸がん(直腸がん)に対する単孔式腹腔鏡手術の様子(術者:勝野剛太郎先生)

単孔式腹腔鏡手術は、傷が1つで済むため整容面でメリットがあります。一方で、手技が特殊で難易度が高いため術者の修練が必要であり、また、通常の腹腔鏡手術よりも手術時間が長くなることがあります。

症例によっては単孔式腹腔鏡手術の実施が難しい場合もある

単孔式腹腔鏡手術は、先述のとおり、基本的には腹腔鏡手術のオプションです。症例によっては、選択が難しい場合もあります。たとえば、進行した大腸がんや下部直腸がん、肥満(目安としてBMI30前後)、大きな開腹手術の既往がある場合などです。

年齢に関しては、単純に「何歳以上は難しい」と判断せず、患者さんの全身状態などを考慮して判断します。いずれにせよ、術式を選択する際は、さまざまな要素をふまえて総合的に検討しています。

ナビゲーションガイド下腹腔鏡手術とは?

蛍光・発光物質を用いて血流などを可視化して行う腹腔鏡手術

当院では、患者さんの負担を減らす取り組みの一環として、大腸がんの治療で「ナビゲーションガイド下腹腔鏡手術」を行っています。ナビゲーションガイド下腹腔鏡手術とは、蛍光・発光物質を用いて、術中に血流やリンパ流などの組織を可視化して行う腹腔鏡手術の総称です。

これまで、術中の血流などの確認は、術者の感覚・経験によって行われていたため、縫合不全などの術後合併症を引き起こすことがありました。そこで、ナビゲーションガイドによりリアルタイムに組織を可視化することで、より安全な手術を目指すというコンセプトが生まれたのです。

現在、当院で行っているナビゲーションガイド下腹腔鏡手術は、以下の3つです。

  • ICG*蛍光ナビゲーションを用いた術中「リンパ流」可視化による鏡視下手術
  • ICG蛍光ナビゲーションを用いた術中「血流」可視化による鏡視下手術
  • 発光尿管カテーテル(IRIS)を用いた術中「尿管」可視化による鏡視下手術

ICG・・・インドシアニングリーンという緑色の色素

患者さんへのメッセージ

勝野先生

どんな病気であっても、手術をするときには大きな不安がつきまとうものです。ですから、不安や迷いをご自身だけで抱え込まずに、専門の病院などに相談をしていただけたらと思います。

患者さんのなかには、ご自身で情報収集をしたことで迷いが大きくなってしまったという方もいらっしゃいます。このようなことは、今の情報社会ではよくあることかもしれません。そのような場合には、まずは信頼できる主治医に相談をしましょう。

私たちは、トータルで患者さんの負担を減らすための方法を常に追求し、日々の診療にあたっています。そして、これからも患者さんとご家族のために全力を尽くします。

 

1998年、岡山大学医学部医学科を卒業後、岡山大学医学部附属病院第一外科に入局。2018年より現職。より低侵襲な治療を目指して「単孔式腹腔鏡手術」や「ナビゲーション下腹腔鏡手術」を積極的に導入し、多くの手術を手がけている。

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