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子どもの発達障害とは?その特徴について
発達障害とは、発達に問題がある障がいの総称です。発達障害という幅広い概念の中に、衝動性が強い「ADHD」や、コミュニケーションが苦手な「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(以下、自閉症ス...
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子どもの発達障害とは?その特徴について

公開日 2019 年 05 月 15 日 | 更新日 2019 年 05 月 22 日

子どもの発達障害とは?その特徴について
本間 博彰 先生

星総合病院 精神科 部長

本間 博彰 先生

目次

発達障害とは、発達に問題がある障がいの総称です。発達障害という幅広い概念の中に、衝動性が強い「ADHD」や、コミュニケーションが苦手な「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(以下、自閉症スペクトラム障害)」といった、複数の障がいが含まれます。近年、発達障害と診断される子どもは増加傾向にあり、教育や医療の分野で注目を集めていますが、実は子どもの成長や将来にとってもっとも基本にある問題だと、星総合病院の本間博彰先生はおっしゃいます。

今回は、発達障害の概要と特徴について、同院の精神科部長である本間博彰先生にお話を伺いました。

発達障害とは?

発達に問題がある障がいの総称

発達障害とは、発達に偏りがみられる古典的な「自閉症*」を中心として、それに類する障がいのことをいいます。発達障害という大枠の中で、障がいの種類は細かく分かれており、障がいの程度が軽いものも発達障害の中に含まれます。

発達障害という概念は、実はまだきちんと統一されておらず、医学用語でもありません。2004年に施行された「発達障害者支援法」という法律で初めて、法律上の用語として取り上げられました。同法の第一章第二条において、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群やその他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」と定義されています。つまり、発達障害とは、発達に問題がある障がいの総称ということです。

自閉症…社会性発達やコミュニケーション機能の質的障害や、興味や活動の偏りを特徴とした、脳の機能障害。

発達障害の子どもの数は増加傾向にある

近年、発達障害と診断される子どもの数が増えている背景のひとつとして、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などを含む概念である「自閉症スペクトラム障害」という考え方が2013年に登場し、発達障害の範囲が拡大したことが挙げられます。

1970年代ごろは、自閉症は人口1万人あたり約4~5名程度だといわれていました。現在、自閉症スペクトラム障害は、児童100人あたり約1人の障がいだといわれています。

このような背景から、発達障害の診断を受けるために、多くの親子が精神科を受診されますが、発達障害の診断ができる医療機関は限られています。当院がある福島県郡山市も含め、予約がおよそ半年待ちとなっている病院も少なくありません。

発達障害の対策は社会の課題

今、発達障害は子どものための教育行政や福祉行政における大きな問題として注目されていますが、実は発達障害の問題は幅広いところに関わっており、不登校の子どもや、社会からドロップアウトしてしまう子どもたちの中に、発達障害の方がたくさんいらっしゃいます。発達障害は、子どもの成長や将来にとって、もっとも基本にある問題といえます。今後は、子どもの発達障害について適切な診療ができ、子どもたちの生活の方向性を示す医療機関の必要性がさらに増していくものと考えています。

発達障害の原因

原因は明らかになっていない

体に何らかの変化(病変)があり、それが行動や症状に反映したもののことを病気といいますが、発達障害の場合は病変や障がいがまだ発見されていません。そのため、原因は不明であり、仮説としてはさまざまな説が考えられています。現在は、脳において行動や思考、感情をコントロールする中枢である前頭前野(ぜんとうぜんや)が充分に発達していないことが原因で起こるという考え方が主流です。

ADHD、自閉症スペクトラム障害の原因について

発達障害のひとつであるADHD*の原因は、脳の機能が充分に発達せず、ドーパミン回路がうまくはたらかないという、脳の神経伝達物質の問題ではないかと考えられています。ADHDは、自分の行動をうまく制御することが難しく、思いついたことをすぐに行動に移してしまうという特徴があります。そのため、衝動をコントロールするはたらきを担う前頭前野が関わっているのではないかという仮説が考えられています。

先にお話しした自閉症スペクトラム障害も、ADHDと同じく、脳の機能に何らかの問題があるために生じるのではないかと考えられています。しかし、脳はとても複雑な器官です。機能局在論といって、脳のさまざまな部分に機能が分散して独立しているという説もありますから、特定の部位に問題があるとは考えないほうがよいでしょう。

ADHD…不注意、多動性、衝動性を中心とした発達障害。

脳のどこかに問題があるとは考えないで

発達障害は、脳のどこの部分に原因があるのかと追求するのではなく、発達障害の特性が行動にどのように現れているのかという見方をすることが大切だと考えています。脳の機能が高まるような生活を送れば、たとえばADHDの場合、自分の行動をうまく抑制できるようになっていきます(発達障害の対策について、詳しくは記事3『発達障害の対策、子どもへの関わり方で大切なこと』をご覧ください)。

親御さんは、お子さんが発達障害と診断されて大きな不安を抱えてしまうこともあるかもしれません。しかし、対人関係や集団生活などにできるだけ配慮し、お子さんの環境を整えてあげることが大切です。

発達障害は親から子どもへ遺伝する?

発達障害は、親から子どもへある程度は遺伝しているのではないかといわれています(2019年時点)。たとえば、親が活動的な場合、子どもも活動的になることがあるように、活動性や衝動性などの特性は遺伝する可能性があります。もちろん、これは決して悪いことばかりではなく、一例として、衝動性が強いことは決断が早いということでもあります。

ただし、発達障害が遺伝するとは考えないほうがよいと思います。発達障害は、その人が置かれた環境によって対人関係や集団生活がうまくいかないというものですから、環境にうまく配慮できれば、トラブルなく生活を送ることも可能です。

発達障害のひとつ、ADHDの特徴

思いついたらすぐ行動する

ADHDとは、不注意、多動性、衝動性がみられる発達障害のひとつです。思いついたらすぐ行動に移したり、授業中でも席を立ったり歩き回ったりしてしまうことが特徴です。

たとえば、私が診療していたADHDのお子さんは、お母さんから「買い物に行くよ」と言われて自分も行きたくなると、行きたい気持ちが勝って、ガラス戸を開ける間もなくガラスを割って外へ出てしまうことがありました。あるいは、いきなり窓から飛び出して、気がついたら庭に落っこちているということもありました。

このように、考える前に行動してしまう状態を衝動性といいます。通常、衝動性は小学校高学年から中学生にかけて高くなるといわれていますが、ADHDの子どもの場合、衝動性が強くて怪我をしやすいことに注意が必要です。

刺激に対する抑制が効かない

小学校では、近くに座っている生徒に消しゴムを投げるなど、授業中にいたずらをする子どもが見受けられると思います。このとき、ADHDの子どもの場合は、「ばれたら怒られるかもしれない」などと考える前に投げてしまいます。小学生は衝動性の強い時期ですから、投げられた子どもはすぐに反応してしまい、クラスが大騒ぎになってしまうこともあるでしょう。

また、ADHDの子どもは、外からの刺激だけでなく、中からの刺激にも反応してしまいます。こんなことをしてみたい、これを動かしてみたいといった欲求に対して、抑制が効かず、すぐに行動に移してしまいます。休み時間を待てなくて、授業中についスマートフォンを見てしまうという子どももいます。

発達障害のひとつ、自閉症スペクトラム障害の特徴

コミュニケーションが苦手

自閉症スペクトラム障害の子どもは、コミュニケーションが苦手といわれています。それは、たとえば会話の中で何が話題として取り上げられているのか分からないということです。

会話の中に入っていこうとするときは、その場がどのような雰囲気なのか、どのような話をしている最中なのか、まず確認することは重要です。しかし、自閉症スペクトラム障害の子どもは、いきなり会話に割って入って、自分が思いついたことを喋り出してしまうことがあります。そのため、周囲の人から「空気が読めない」と思われてしまうことがあります。

特定のものに強いこだわりがある

自閉症スペクトラム障害の特徴のひとつとして、特定の物に強いこだわりを持っていることが挙げられます。たとえば、電車の踏み切りが好きな子どもは、色々な踏み切りを見に出かけます。くるくる回るものに強い関心を持っている子どもは、扇風機などが大好きです。このようなこだわりは、学校や幼稚園などの生活の場でしばしば見受けられるため、先生などの身近な人が気づくことも多いでしょう。

どうしてコミュニケーションが苦手なの?

自閉症スペクトラム障害の子どもがコミュニケーションを苦手とする理由は、相手の意図をうまく読み取れないためであると考えられます。

そのため、私が診察をするときは、コミュニケーションが苦手かどうかを診るために、大きめのビニールボールを使ったキャッチボールをよく行います。しばらくキャッチボールを続けたあと、「もう少し左に寄ってね」「後ろに下がってね」と、指差しや手まねで指示をして、どれくらい理解できるのかということを診ていきます。

子どものコミュニケーションの基本となるのは、指差しや手まねです。その方法でどれくらい意図を共有し合えるのか、キャッチボールを通して確認します。このように、発達障害の診療では、本人の反応を見ながら関わっていくことが大切です。

 

発達障害(本間 博彰 先生)の連載記事

1978年より医師としてキャリアをはじめる。宮城県中央児童相談所などを経て、2001年より宮城県子ども総合センターの医師として乳幼児の心のケアなどに従事。2011年の東日本大震災では、被災地の子どもたちへのケアや追跡調査を実施した。2018年から現職。子どもを主とした精神科診療に取り組み、子どもの健やかな発達を支援する診療を目指している。

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