疾患啓発(スポンサード)

漏斗胸に対する手術「Nuss法」とは? ――​​その具体的な流れを解説

漏斗胸に対する手術「Nuss法」とは? ――​​その具体的な流れを解説
笠置 康 先生

松山笠置記念心臓血管病院 病院長、社会医療法人 笠置記念胸部外科 理事長

笠置 康 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

漏斗胸(ろうときょう)とは、胸骨の一部がへこみ、胸郭(胸をとりまく骨格)が変形する先天性の病気です。愛媛県松山市にある松山笠置記念心臓血管病院では、早くから漏斗胸の治療に取り組み、数多くの症例を手がけてきました。

本記事では、同院院長を務める笠置康先生に、漏斗胸に対して一般的な治療として行われている「Nuss法」の具体的な流れや、Nuss法のメリット・デメリットなどについてお話を伺います。

漏斗胸に対する手術方法は、1911年に初めての手術が報告されて以来いくつかの変遷をたどり、進歩を続けています。現在(2019年3月時点)、漏斗胸の手術として一般的に行われているのは、 1998年にDr. Donald Nussが報告した「Nuss法」です。

Nuss法とは、金属のバーを陥凹(かんおう)している胸骨の裏側に留置し、裏側から前方へ胸骨を押し出す形で胸骨を矯正する手術法です。Nuss法は、1期目の手術で金属バーを留置し、数年後にバーを抜去する2期目の手術を行います。1期目から2期目の手術までの期間は、患者さんの年齢や体格、骨の太さなどによって変わります。

Nuss法の流れを具体的にご説明します(※以下はあくまで一般的な例であり、ケースによって日数などは多少変動します)。

Nuss法によって起こりうる合併症としては、術後の痛みや感染症などが挙げられます。

術後の感染症を予防するためには、漏斗胸の合併症である慢性便秘症、慢性腸炎などの消化器症状を術前からしっかりと治療(管理)することが重要です。

手術の実施が決まったら、まずは外来にお越しいただき、術前検査を行ったうえで手術の日程を相談します。手術の前日には入院していただきます。

当日は、全身麻酔を行ったうえで手術を実施します。胸郭の陥凹に合わせて金属バーを曲げ、陥凹した胸郭を持ち上げるようにして、バーを胸骨の裏側に留置します。また、空気や血液を通すドレーンを胸腔内に留置し、1期目の手術は完了です。

Nuss法

1期目の手術にかかる時間は、子どもなら2時間半ほど、大人の場合には3時間半〜4時間ほどです。1期目の手術から1〜2日後にドレーンを抜き、5〜7日ほどで退院となります。

1期目と2期目の手術の間、子ども(目安として6歳くらいまで)は体が成長するため、半年に1回ほど通院していただきます。一方、大人であれば通院は必要ありません。いずれにせよ、何か異常があればすぐにご連絡いただくようにしています。

2期目の手術は、1期目の手術から2〜3年後に行います。目安として、20歳以下の子どもなら2年後、それ以降の大人は3年後に2期目の手術を実施します。体格が大きい方や骨が太い方、再手術の方の場合には、それよりも長い期間(たとえば5年ほど)バーを留置し、2期目の手術を行うこともあります。

2期目の手術後、4日ほどで退院となります。その後、およそ1か月後に再び来院していただき診察を行い、異常がないことを確認して治療が完了します。

笠置康先生

Nuss法は、前胸部の傷がないため低侵襲(身体的な負担が少ない)であり、胸郭の形成が良好であるというメリットがあります。

一方、先述のとおり、Nuss法には金属のバーを長期間体内に留置することに伴う痛みや感染症、バーの位置異常(ずれ)などが起こりうるというデメリットがあります。また、胸郭が硬くなっている成人の漏斗胸症例においては、Nuss法が実施できないこともあります。

私たちはこのようなNuss法のデメリットを克服するべく、 Nuss法を導入した当初からあらゆる改善策を考案してきました。そのひとつが、「筋層下Nuss法」です。

Nuss法は、胸の筋肉の皮下(筋膜の上)にバーを留置するため、筋肉が動くとバーがずれてしまう可能性があります。通常のNuss法では、バーのずれを防ぐために筋膜の上にスタビライザー(安定装置)を結ぶのですが、それではバーを十分に固定することは難しいと考えました。

そこで、皮下脂肪の下にある筋肉を剥離して、その下にバーを入れる「筋層下Nuss法」を考案しました。筋層下Nuss法では、剥離した筋肉の下にバーを入れ、さらに手術用の糸をかけて左右の肋骨をそれぞれ2か所で縛ります。これにより、バーの位置異常を予防します。

当院では、2000年より漏斗胸に対する治療としてNuss法を開始し、これまで数多くの患者さんを診てきました。そのなかで、できるだけ患者さんの痛みや負担が少ない方法を求めて、現在では「筋層下Nuss法」を積極的に行っています。漏斗胸に関して何か気になることがある方や、治療を検討している方は、ぜひご相談ください。

また、以前に漏斗胸の手術をして再陥凹してしまったケースに対しても、当院で再手術を行うことは可能です。しかしながら再手術というのは、肺の癒着や骨の変化などが生じている可能性があり、手術の難易度が上がってしまいます。このような点を考慮して、できるだけ早い段階で当院を受診していただけたら幸いです。

笠置先生に無料で相談

松山笠置記念心臓血管病院 病院長、社会医療法人 笠置記念胸部外科 理事長

こんなありませんか?

Check!
  • 漏斗胸の治療を検討している
  • 治療方法について不安がある
  • 受診前にオンラインで相談したい

笠置先生に
無料で相談してみましょう!

お問合せフォームで無料相談

医師の詳細ページへ︎

    「漏斗胸」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    漏斗胸でお悩みの方へ

    笠置先生に無料で相談する

    本ページにおける情報は、医師本人の申告に基づいて掲載しております。内容については弊社においても可能な限り配慮しておりますが、最新の情報については公開情報等をご確認いただき、またご自身でお問い合わせいただきますようお願いします。

    なお、弊社はいかなる場合にも、掲載された情報の誤り、不正確等にもとづく損害に対して責任を負わないものとします。

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。