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市立東大阪医療センターにおける緩和ケアの取り組み

市立東大阪医療センターにおける緩和ケアの取り組み
市立東大阪医療センター 緩和ケア内科部長 進藤 喜予 先生

市立東大阪医療センター 緩和ケア内科部長

進藤 喜予 先生

目次
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緩和ケアとは、病気によるあらゆる苦痛や問題に対応して、患者さんやそのご家族がよりよい人生を送るためのサポートを行うことです。市立東大阪医療センターでは、2019年4月に緩和ケアセンターを立ち上げ、緩和ケアの取り組みをよりいっそう強化しています。

本記事では、市立東大阪医療センターにおける緩和ケアについて、同病院の緩和ケア内科部長であるあり、緩和ケアセンター長を務める進藤喜予先生にお話を伺います。

市立東大阪医療センターにおける緩和ケアの4本柱

市立東大阪医療センターでは、2019年に緩和ケアセンターを立ち上げました。緩和ケアセンターでは、以下の4つを柱として緩和ケアに取り組んでいます。

  1. 緩和ケア外来
  2. 緩和ケア病棟
  3. 緩和ケアチーム
  4. 地域連携

リハビリステーション部

緩和ケア外来

通院治療中の患者さんを対象に、病気により生じている問題に対するケアを行う

緩和ケア外来では、原疾患の治療で当院に通院されている患者さんを対象に、痛みや苦痛、生活のなかでの困りごとなどがないかを一緒に考え、それぞれの問題に合わせたケアを提供しています。また、入院治療中に緩和ケアチーム(詳しくは後述)が介入した患者さんで、退院後も引き続き緩和ケアが必要な場合には、病気の治療と並行して緩和ケア外来にも通院していただき、緩和ケアを提供します。

緩和ケア外来は、原疾患の外来診療が終わったあとや、検査の待ち時間などの合間を縫って行います。そのため、緩和ケア外来のためだけに、わざわざ病院に来ていただくことはありません。患者さんのスケジュールに合わせて外来を行うため、診療時間は不定です。

緩和ケア病棟

患者さんの主観に焦点を当てた医療を行う病棟

緩和ケア病棟では、患者さんの主観に焦点を当て、苦痛を和らげる医療を行います。

たとえば、酸素吸入の処置をとってみても、一般病棟と緩和ケア病棟では方法が異なります。一般病棟では、酸素飽和度*が90%を下回ったら酸素吸入を行う、というように客観的な数値に基づいた処置が行われることが多いですが、緩和ケア病棟では、酸素飽和度が正常であったとしても、患者さんが息苦しさを訴えた時点で酸素吸入を行います。このように、緩和ケア病棟では、入院されている患者さん一人ひとりの苦痛を和らげるために、どのようなことができるのかを考えて、緩和ケアを提供します。

*酸素飽和度…血液中にどの程度の酸素が含まれているかを示したもの

在宅医療を支え、自宅退院を目指すことが目的

緩和ケア病棟には、入院による緩和ケアが必要な患者さんであれば、当院だけでなくほかの病院に通院されている患者さんであっても、入院していただくことが可能です。

緩和ケア病棟は、がん治療を終えた患者さんが入院され、緩和ケア病棟で人生の最期を迎える方が多いです。しかし、緩和ケア病棟は、あくまでも「在宅医療を支え、自宅退院を目指すこと」を目的とした病棟です。緩和ケア病棟で、痛みや症状のコントロールを行い、自宅退院を目指します。

また、緩和ケア病棟では、レスパイト入院も受け入れています。レスパイト入院とは、何らかの事情で在宅での介護が一時的に難しくなった場合に、短期間だけ患者さんに入院していただく仕組みです。病気になって介護が難しくなった、海外出張に行かなくてはならなくなった、などご家族のさまざまな事情に対応します。

緩和ケアチーム

それぞれの患者さんの問題に応じて、あらゆる職種のスタッフが介入

院内の一般病棟で治療中の患者さんに対し、緩和ケアが必要と主治医が判断した場合には、緩和ケアチームに介入依頼が入ります。対象となる病気は、がんが主ですが、ときには神経難病、呼吸不全、心不全などさまざまです。

緩和ケアチームは、主に医師(緩和ケア内科医、放射線科医、精神科医)、看護師(がん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師)、薬剤師、リハビリテーションスタッフ、ソーシャルワーカー、地域連携室で構成されています。また、必要に応じて、心理士や管理栄養士も加わります。

緩和ケアチームでは、週に1回、患者さんの状態や今後の方針について話し合うカンファレンスを実施し、それぞれのスタッフの専門性を活かしながら、患者さんやご家族へのケアを具体的に検討しています。

地域連携

地域で緩和ケアの課題を共有し、解決策を考える

患者さんの求める緩和ケアを行うためには、地域連携を深めることが大切です。地域の医師会や医療機関とのカンファレンスなどを通じてお互いの課題を共有し合うことで、よりよい緩和ケアの実現に向けた取り組みを始めています。

市立東大阪医療センターにおける緩和ケアの特徴

患者さんのために何ができるか、病院職員が共に考える体制がある

当院は、各診療科の医師同士のつながりがとても強固です。そのため、当院で治療中の患者さんに何か困っていそうなことがあれば、すぐに私たち緩和ケア内科に依頼が入ってきます。また、私たちが緩和ケアを行うなかで、各診療科の専門医の力が必要な場合には、いつも迅速に対応してくれます。

病気で困っている患者さんのためにできることを、緩和ケア内科医だけでなく、さまざまな診療科の医師が知恵を出し合いながら考える環境が整っていることは、当院の特徴だと思います。

病気による苦痛・問題に直面している患者さんやご家族へ

進藤先生

今抱えている問題やご自身の人生観について、声に出して伝えてほしい

病気で何か困っていることがあれば、どんなに小さなことでも構いませんので、声に出して私たちに伝えてほしいと思います。それと同時に、「自分はどのように生きていきたいのか、そのためにどのような治療をしたいのか」など、ご自身の人生観についても積極的にお話しいただきたいです。

私たちは病気の専門家ではありますが、患者さんの思い、人生については患者さんから教えてもらわなければ何も分かりません。ですから、そのことについて教えてもらいながら、よりよい人生を生きるためのお手伝いをさせていただければと思います。