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肺がんの症状――​​がんができる場所や種類によって症状が違う

肺がんの症状――​​がんができる場所や種類によって症状が違う
櫻井 裕幸 先生

日本大学医学部附属板橋病院 呼吸器外科 部長、日本大学医学部外科学系呼吸器外科学分野 主任教授

櫻井 裕幸 先生

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肺がんは、がんによる死亡原因で男性第1位、女性第2位(2016年人口動態統計による)のがんです。また、肺がんは早期では症状が現れにくく、症状が出る頃には進行していることも多いです。ただし、肺がんができる場所や種類によっては、症状が出やすいこともあります。

今回は、日本大学医学部附属板橋病院 呼吸器外科部長の櫻井 裕幸先生に、肺がんの種類や症状についてお話を伺いました。

まずはじめに、肺がんの種類についてお話しします。

肺がんは、病理組織型*から大きく「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」に分類されます。さらに、非小細胞肺がんは「腺がん」「扁平(へんぺい)上皮がん」「大細胞がん」などに分けられます。

*病理組織型……がんを顕微鏡で調べたときにわかる、がん細胞の分化や増殖形態などの違い

非小細胞肺がんは、肺がんの80〜85%を占めています。主に「腺がん・扁平上皮がん・大細胞がん」の3つに分類され、このうち扁平上皮がんは喫煙との関係が大きいがんです。また、腺がんは喫煙とは関係なく発症することも多く、女性の肺がんのおよそ70%は腺がんです。

小細胞肺がんは、増殖スピードが速いことが特徴で、がんが見つかる頃にはすでに全身の臓器に転移していることが多いです。そのため、手術が適応となることは少なく、治療は化学療法が中心です。また、小細胞肺がんは喫煙との関係が大きいがんです。

肺がんは、がんができる場所によって大きく以下の2つに分かれ、それぞれで症状の現れ方が異なります。

  • 中枢型(肺門型)……肺の中心部(気管支付近)で発生
  • 末梢型(肺野型)……肺の奥(肺胞*付近)で発生

*肺胞……気管支の末端にあり、酸素と二酸化炭素を交換している袋状の肺組織

肺がんの種類と発生部位

肺の中心部にある気管支付近に発生する「中枢型(肺門型)」の肺がんには、症状が現れやすいという特徴があります。

気管支は、水などが入り込んだりする少しの刺激でも咳反射が現れる過敏な臓器であるため、同部位付近にがんが発生すると、強い咳症状が現れます。そのほか、血痰(けったん)(血が混ざった痰)が出ることもあります。

このような中枢型(肺門型)の肺がんは、扁平上皮がんや小細胞がんに多く、喫煙が原因となって発生することが多いことも特徴です。

一方、肺の奥にある肺胞付近で発生する「末梢型(肺野型)」の肺がんは、症状が現れにくいタイプの肺がんです。これは、肺の中には痛みを感じる神経がないためで、肺を越えたところ(胸壁や他臓器)にがんが広がったときに初めて、痛みなどの症状が現れます。

末梢型(肺野型)は、腺がんに多くみられ、喫煙との関連も小さいものが多いです。

肺がんが、肺の外にある胸壁に広がる「胸壁浸潤(きょうへきしんじゅん)」を起こすと、肋骨や肋間神経(ろっかんしんけい)(肋骨と肋骨の間にある神経)が刺激を受けて、胸や脇のあたりに痛みの症状が現れます。

また、がんが胸膜に浸潤すると悪性胸水*が生じることがあります。悪性胸水が起こると、肺が胸水に圧迫されて十分に膨らまなくなるため、呼吸が苦しくなるなどの症状がみられます。

*悪性胸水……がんが原因となって、胸腔内に液体が貯留した状態

肺がんは、脳や骨、副腎、肝臓などの他臓器に転移することが多くあります。肺がんがこれらの臓器に転移すると、転移した臓器で症状が現れます。たとえば、脳転移を起こすと、頭痛やけいれん、突然体が麻痺して動かしにくくなったり、骨に転移すると骨折したときのような痛みが現れたりします。

先ほど、肺の奥にできる末梢型(肺野型)の肺がんでは、症状はほとんど現れないとお話ししました。しかしながら、「粘液産生肺腺がん」という種類の腺がんの場合では、大量の痰が出る症状がみられます。

粘液産生肺腺がんは、がん細胞自体から粘液性(ねばねばした)の分泌物が産生される特殊な腺がんのことです。粘液産生肺腺がんの場合には、分泌物が気道を通り、痰として体外に排出されます。

腫瘍随伴(ずいはん)症候群とは、肺がん自体が自己抗体*やホルモンを産生することで現れる症状のことで、肺がんの進行とは関係なく起こります。

具体的な症状としては、ムーンフェイス(顔が丸くなる)や肥満、高カルシウム血症、神経症状などがみられます。また腫瘍随伴症候群は、主に小細胞がんで現れます。

*自己抗体……自身の細胞や組織に対して反応する抗体

櫻井先生

肺がん(特に末梢型)では、がんが肺の中にある限り症状が出ることはほとんどありません。症状がみられる頃には、胸壁や他臓器にがんが広がってしまっていることが多いため、症状から早期発見することは難しいといえます。ですから、肺がんで命を落とさないためには、「肺がんを未然に防ぐこと」と「肺がんの検査を定期的に受けること」の2つが非常に重要です。

肺がんの原因には、喫煙慢性閉塞性肺疾患COPD)、アスベスト、大気汚染物質(PM2.5など)、女性ホルモン、家族歴(家族や親族に肺がんにかかった人がいる)、加齢などがありますが、なかでも大きな原因が「喫煙」です。

喫煙による肺がんリスク

喫煙と肺がんの関係性を調べるために行われた臨床試験では、喫煙習慣がある方は、喫煙習慣のない方に比べて、男性で約4.5倍、女性で約4.2倍高く肺がんになりやすいことが分かっています。このような研究結果からも分かるように、肺がんを予防するためには禁煙を心がけることが重要です。

受動喫煙でも肺がんのリスクは高まる

また、受動喫煙によっても肺がんになるリスクは上昇します。受動喫煙と肺がんの関係性について分析すると、非喫煙者の家庭内に、喫煙者がいる場合といない場合では、家庭内に喫煙者がいる場合の肺がんリスクは約1.3倍高くなることが分かっています。喫煙は自分だけでなく、家族の健康にも悪影響を及ぼすことを知っておいていただきたいと思います。

早期発見のためにはCT検診が有用

肺がんを早期発見するためにはCT検診が有用です。会社や自治体などの健康診断で行うのは、レントゲン(胸部エックス線)検査が一般的ですが、レントゲンでは写らない肺がんが多い現状があります。

喫煙者を対象とした肺がん検診において、レントゲン検査とCT検査を比較した臨床試験では、CT検査を受けることで肺がんによる死亡率を約20%低下できることが分かっています。

CT検査を受けることで早い段階で肺がんを発見できる可能性があるため、リスクの高い方の場合にはメリットがあります。

CT検診には「過剰診断」という課題もある

CT検診の有用性が示されている一方で、がんではない良性の腫瘍も見つけてしまう「過剰診断」という課題もあります。CT検診で腫瘍が見つかった場合には、外科手術で腫瘍の一部を取り除き、顕微鏡を用いてがんかどうかを調べる必要があります。

CT検診で良性の腫瘍が見つかることが多くなると同時に、本来は不必要だった手術を受けなくてはならない方が増えている可能性があります。そのため、CT検診で見つけた腫瘍の中で、どのような腫瘍に対して手術を行うべきかの振り分けを明確にすることが、今後の課題といえるでしょう。

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