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AGAを治療する成分「ミノキシジル」とは

AGAを治療する成分「ミノキシジル」とは
小林 一広 先生

Dクリニック東京メンズ 院長 医療法人社団ウェルエイジング 理事長 脇坂クリニック大阪 顧問医...

小林 一広 先生

目次
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テレビコマーシャルや広告でも目にすることが増えた男性型脱毛症、通称AGA(Androgenetic Alopeciaの略称)。その発症には男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)による影響とされていますが、近年では生活習慣やストレスなど環境因子も関連している報告もされています(2019年9月現在)。

しかし、かつては治らないといわれていたAGAも、近年では薬の効果や治療法が確立されるようになりました。その中でも効果があるといわれているものが「ミノキシジル」です。今回は、AGA治療の効果について、薄毛治療の診療を専門的に行うDクリニック東京 メンズの小林一広先生にお話を伺いました。

AGAに効果のある「ミノキシジル」とは?

発毛効果の認められた治療成分

薄毛治療に関心のある方なら「ミノキシジル」という名称を一度は聞いたことがあるかもしれません。ミノキシジルは、男性型脱毛症であるAGAだけではなく、女性型脱毛症のFPHL(Female Pattern Hair Lossの略称)の治療薬にも使用されている薬の成分です。1988年にアメリカの食品医薬品局であるFDA(Food and Drug Administration)に承認されてから、以降30年間にわたり、薄毛の改善に効果が認められてきました。日本でもミノキシジルを主成分とした薬が数多く販売されており、優れた発毛効果が実証されています。

国内では脱毛している頭皮に塗布する一般用医薬品として承認されています。ミノキシジルは元々高血圧症の治療に使われる薬の成分でしたが、服用した高血圧症の患者さんたちに「多毛」の症状が現れたことから、AGAや薄毛の治療薬として開発がすすみました。

ミノキシジルの副作用

ミノキシジルには、外用薬・内服薬共に多毛症、浮腫、めまい、心拍数や体重の増加などの副作用が報告されています。

ミノキシジルの薬

AGA治療で使用されるミノキシジルには、外用薬と内服薬があります。本記事では医薬品として国内で承認を受けている外用薬のみ掲載いたします。

外用薬

ミノキシジルが使用された外用薬は一般用医薬品として、薬局やドラッグストア、インターネットなどで購入することが可能です。通常2,000〜10,000円以内で市販されています。

「ミノキシジル」はなぜ発毛に効果があるのか?

ヘアサイクルを司る「毛乳頭細胞」のはたらきとは

私たちの髪の毛はヘアサイクルがあるため、絶えず変化を繰り返しています。ヘアサイクルとは、髪の毛が2〜6年の時間をかけて成長し、抜け落ち、また生えてくる周期のことを指します。全ての髪の毛には寿命があり、古くなったものから抜けていきますが、男性ホルモンのDHTや生活習慣、ストレスなどが原因でヘアサイクルが短縮されると、髪の毛が十分に成長する前に抜けてしまうことがあります。

ヘアサイクルを司り、髪の毛を生やす指令を送るのが、毛根の中央底部に位置する「毛乳頭細胞」です。

AGA

さらに、毛乳頭細胞を取り囲むように存在する「毛母細胞」は、毛乳頭細胞から発毛指令を受けて、髪の毛をつくりだしていきます。しかし、DHTが毛乳頭付近に多く産生されると毛球が委縮し、毛乳頭細胞が発毛を促す指令を出さなくなってしまいます。

ミノキシジルの薬用成分は、このような弱った毛乳頭細胞にはたらきかけ、 AGAの進行を止め、発毛を促すとされてきました。

ミノキシジルが毛根組織に作用する仕組みは以下の通りといわれています。

毛乳頭細胞のATP感受性Kチャネルを開放し、発毛を促進

毛乳頭細胞から毛母細胞に伝達されるVEGF*、IGF-1*等の細胞成長因子の産生促進。

毛母細胞のアポトーシス*に関与するTGF-β*等の産生を抑制

*VEGF…血管内皮増殖因子。血管内皮細胞の増殖を始めとした血管新生過程の促進、血管透過性の亢進作用を有する

*IGF-1…インシュリン様成長因子。インシュリンに非常に似た構造を持つ増殖因子

*アポトーシス…積極的、機能的細胞死

*TGF-β…細胞増殖・分化を制御し、細胞死を促すことが知られているサイトカイン

ミノキシジルの毛乳頭細胞への作用機序(きじょ)の解明

研究の背景

ミノキシジルがいかにして毛根の毛乳頭細胞にはたらきかけ、影響を及ぼすのか、そのメカニズムの詳細はこれまで不明のままでした。そこで、当院と日本医科大学形成外科学教室、アンファー株式会社が研究チームを作り、毛乳頭細胞に対するミノキシジルの作用機序(きじょ)(しくみ)の解明に乗り出しました。以下は2018年12月8日に開催された第26回毛髪科学研究会で発表した内容です。

研究方法

ミノキシジルがどのように毛乳頭細胞に作用するのか解明するため、まずはミノキシジルの活性代謝物*である硫酸ミノキシジルを24時間培養した毛乳頭細胞へ添加しました。

*活性代謝物・・・投与された薬物や異物が体内で代謝を受けることで化学構造が変化し、生成される代謝物を指す

研究結果と考察

今回の研究で以下のシグナル伝達経路が確認されました。

硫酸ミノキシジルがはたらきかけることでATP感受性K(カリウム)チャネルが開口し、カリウムイオンが通過します。

それをきっかけとして生物が体を動かすために必要な分子エネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)が放出され、細胞内のCa(カルシウム)の濃度に変化が生じました。

以上が、以下(図1)の赤破線枠内の、ミノキシジルが毛乳頭細胞に引き起こす変化とメカニズムとなります。この一連のシグナル伝達経路の後、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)の活性化から何らかのメカニズムで毛乳頭細胞を活性化した結果、発毛効果につながっていることが推測されます。

また、今回の研究でカリウムチャネルの開口をイメージングによって視覚的に見ることができたことは、新たな発見であり、今回の研究の大きな成果となります。

AGA2

今後の展望

今後は、ミノキシジルのヒト毛乳頭細胞に対するメカニズムの全容を明らかにし、ミノキシジルに類似した薬剤の適応外処方の臨床研究や、新発毛薬開発スクリーニングにも活用されることが期待されています。