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膵臓がんとは?原因や症状、検査方法について解説

膵臓がんとは?原因や症状、検査方法について解説
川元 俊二 先生

湘南厚木病院 肝胆膵外科 無輸血治療外科部長

川元 俊二 先生

目次
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膵臓は体の奥深くにあり、症状が現れにくいことから、膵臓がんは早期発見が難しい病気であるといわれています。発見したときには、病態が進行していることもあり、外科治療だけではなく化学療法や放射線療法などの治療を同時に行わなくてはならない場合も少なくありません。そもそも膵臓がんとは、どのような病気なのでしょうか。また、原因や症状、検査にはどのようなものが挙げられるのでしょうか。

今回は、湘南厚木病院の川元俊二先生に、膵臓がんについてお話を伺いました。

膵臓がんとは?

膵臓がんのほとんどは、膵液が通る膵管に発生します。また、膵臓は体の奥深くに位置しているため、膵臓がんを早期で発見することが難しいとされています。さらに、症状が現れにくいことから、発見されたときには、すでに病態が進行してしまっていることがあります。そのうえ、再発率が高いことから、「膵臓がんは予後が悪い」といわれています。がんの治療成績を示すものとして、一般的に5年生存率がよく用いられていますが、膵臓がんの場合には5年生存率が低いことから、2年生存率あるいは3年生存率で表されることもあります。

膵臓がんの原因

膵臓がんの原因は、いまだ十分に分かってはいません。しかし、家族歴などの遺伝子異常との関連が判明しています。また、そのほかにも糖尿病や慢性膵炎、加齢などが、膵臓がんに関連していると考えられています。

膵臓がんの症状

膵臓がんの症状を表す素材

膵臓が体の奥深くにあることから、初期の膵臓がんの場合には症状が出にくいとされており、早期での発見は困難とされています。そのため、ある程度進行している状態で発見されることも珍しくありません。

膵臓がんが進行してくると、腹痛、黄疸(おうだん)、体重減少などの症状が現れることがあります。また、血糖コントロール*の不良などの急激な糖尿病の悪化や、新たに糖尿病を発症することもあります。

ただし、膵臓がんができる場所によっては、初期の段階で症状が現れる場合もあるため、起こりうる症状には注意深く意識を向け、定期的な検査を受けることが大切です。

以下に、膵臓がんで生じる症状を詳しく解説します。

腹痛

膵臓がんでは、腹痛が現れることがあります。腹痛の原因は、随伴性膵炎によるものであると考えられています。

先述したように、膵臓がんのほとんどは膵管にできるがんです。本来、膵液の通り道になっている膵管にがんができることで、膵管に詰まりが生じます。その膵管の詰まってしまった部分に炎症が起こることで随伴性膵炎*になります。

黄疸

黄疸は膵臓がんにより胆管が圧迫され、胆汁が逆流することにより出現します。全身の皮膚が黄色くなったり、白目が黄色くなったりすることが特徴です。

膵臓がんが膵頭部にできた場合には、早期の段階から胆管を圧迫することもあります。そのような場合には、早期発見につながるケースもあるため、異変を感じた場合には検査を受けることをおすすめします。

体重減少

膵臓には、食べたものの消化を助ける膵液をつくる役割があります。

膵臓がんが膵管を圧迫することで、膵臓でつくられた膵液の流れが悪くなります。そのため、食べたものの消化や吸収にも影響を及ぼし、体重の減少につながることがあります。

*血糖コントロール…血液中の糖濃度(血糖値)を調節すること

*随伴性膵炎…膵管が詰まり、膵液がうっ滞することで膵臓に炎症が生じて痛みが現れる

膵臓がんの検査

膵臓がんを特定するための主な検査の種類

膵臓がんの検査では、腹部超音波(エコー)検査やCT検査、MRI検査、腫瘍マーカー、PET検査を実施します。ほかにも、EUS(Endoscopic Ultrasonography;超音波内視鏡)やMRCP(magnetic resonance cholangiopancreatography;磁気共鳴胆管膵管撮影)、ERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography;内視鏡的逆行性胆管膵管造影)などを行うことで、より精密な検査を心がけています。

腹部超音波(エコー)検査

患者さんの状態や体調、体型などによってはがんが見えにくい場合もありますが、臓器に反射した超音波の様子を画像にしているため被ばくなどの心配がなく、患者さんの負担も少ない検査です。

CT検査・造影CT検査

X線で体内を描写する検査で、病気の状態やがんの転移、広がりなどを調べることが可能です。多方面から観察することもできます。また、造影剤を使用することで血管への影響や腫瘍と周囲の状態をより詳しく観察することが可能です。

腫瘍マーカー

血液検査の一環で行われる検査です。体内にがんがある場合には、腫瘍マーカーの検査項目の一部が異常値を示す場合があります。しかし、時にがんがあっても異常値を示さない場合や、ほかの病気により異常値を示す場合があります。

PET検査

ブドウ糖と同様の性質を持つ薬剤を注射したうえで撮影を行い、がん細胞を検出する検査です。PET検査で被ばくする放射線の量は、通常の胃のバリウム検査の半分程度であるため、患者さんの身体的負担を軽減することが可能です。

EUS(Endoscopic Ultrasonography;超音波内視鏡)

体表からプローブ*を当てて体内の膵臓を診る腹部超音波検査と異なり、内視鏡を口から挿入して膵臓に近づき、その先端にある超音波プローブで近接して診断する方法です。組織の内部まで観察することが可能です。

*プローブ…音波を出す探触子

MRCP(magnetic resonance cholangiopancreatography;磁気共鳴胆管膵管撮影)

磁気の力を利用し体内を検査するMRI検査で、特殊な条件で撮影を行うことにより、膵臓がんによって圧迫されている胆管や膵管から病気の広がりを確認することが可能です。

ERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography;内視鏡的逆行性胆管膵管造影)

ERCPでは、口から内視鏡を挿入して胆管や膵管を撮影します。必要に応じて病変の部分から組織を採取して病理検査を行います。

比較的受けやすい検査とは?

現実的な問題点として、CT検査やMRI検査には、高額な費用を伴う場合があります。そのため、特に健康診断の段階では、検査を受けることにためらいを感じる方もいるのではないでしょうか。そのような患者さんにも、膵臓がんを早期で発見するために受けていただきたいのが、費用的にも身体的にも負担の少ない腹部超音波検査です。

時として、患者さんのそのときの状態や体調、体形により見えにくい場合もありますが、比較的費用面や身体的な負担も少ない検査とされています。

膵臓がんの治療

膵臓がんの治療方針は、ステージ分類に加え、患者さん一人ひとりの状態に応じて標準治療*に基づいて選択されます。主な治療方法は、外科治療・化学療法、放射線治療です。それらを組み合わせた集学的治療**が、現在の膵臓がん治療の基本となっています。集学的治療は、治療法の組み合わせにより、治療による効果や期間、副作用も異なるため、主治医とよく話し合って治療方針を決めていくことが望ましいとされています。

また、外科治療が選択された際には、主に膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除、膵全摘術、バイパス手術のいずれかが選択されます。

*標準治療…科学的根拠に基づいた観点から、ある状態の一般的な患者さんに推奨される治療。一部では、推奨される治療ではなく、一般的に広く行われている治療という意味でも使われることもあります。

**集学的治療…がんの主な治療法である外科治療、化学療法、放射線治療などを単独ではなく、さまざまな治療法を組み合わせた治療。

膵臓がんに対して行われる治療は、記事2で詳細をお話しします。

膵臓がんにおける「無輸血外科治療」とは?

無輸血外科治療とは、感染症やさまざまな免疫反応の予防、さらには宗教上の理由により、同種血輸血*を希望しない患者さんのために行われている治療法です。当院では、PBM(Patient Blood Management;患者中心の輸血医療)という概念のもと、初診から手術後まで一貫した無輸血治療プログラムを提供しています。

*同種血輸血…日本赤十字社によって献血を行い、採血した血液から作られた血液製剤

無輸血外科治療については、記事3で詳細をお話しします。