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乳がんの診療の流れとは? 検査と治療について解説

乳がんの診療の流れとは? 検査と治療について解説
河野 範男 先生

医療法人財団 神戸海星病院理事長、乳腺外科部長

河野 範男 先生

目次
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新たに乳がんと診断される患者さんの数は年々増えています。しかし、早期に発見し、適切な治療を受ければ、比較的良好な経過が期待できるがんであるともいわれています。

乳がんの診断から治療までは、どのような流れで進むのでしょうか。また、検査や治療は、具体的にどのような内容なのでしょうか。

本記事では、医療法人財団 神戸海星病院の理事長である河野範男先生にお話を伺いました。

記事1でも述べているように、定期的な検診とともに、乳がんの疑いがある症状や変化などが現れた際には放置せず、速やかに病院を受診するようにしましょう。速やかな受診が、その後の治療方針や経過に大きく関わってきます。

また、推奨されているのは2年に1回の検診ですが、検診で乳腺に異常が指摘されている場合などは1年に1回、早期発見のために乳がん検診を受けていただくことをおすすめします。

病院を受診すると、初めに問診票の記入を行う病院がほとんどです。病院を受診したきっかけや気になっている症状などを伝えましょう。また、受診のきっかけや気になっていること、症状などを事前にメモしていくと役に立つことがあります。

乳がんと診断するまでに、マンモグラフィや超音波(エコー)検査、病理検査などの検査を行います。その後、乳がんと診断されたら乳がんが転移していないかどうかを調べるために、CTやMRI、時にPET検査を行います。その検査結果や診断について担当医より説明を受けます。検査結果や診断は治療方針に関わるため、理解できないことは繰り返し質問をするようにしましょう。

乳がんの治療方針は、患者さんの希望をもとに、進行具合(ステージ)や性格(予後因子、予測因子、サブタイプ)を踏まえて決められます。乳がんの治療は、手術が基本ですが、薬物療法、放射線療法など、さまざまな治療法があります。納得して治療に臨むためにも、担当医やご家族とよく話し合い、自分に適した治療法を検討していくことが大切です。

また、実際に治療が始まると、副作用が現れたり違和感を覚えたりする患者さんもいらっしゃるかもしれません。そのようなときには無理をせずに、担当医や看護師に相談しましょう。

乳がんは、手術後2〜3年以内に再発することが多いですが、サブタイプにより10年たっても再発することがあり、しばらくの間は通院したり、定期的に検査を行ったりします。気になる症状や変化がある場合には、遠慮せずに担当医に相談してください。

視診、触診

問診を行ったうえで、乳がんの疑いがあると判断された場合には、視診や触診にて形状や左右差、皮膚の変化などを調べます。その際に、しこりの硬さや動き方、形状などの性質について調べていきます。医師の主観性がある検査ですので、より客観性のあるマンモグラフィ検査や超音波(エコー)検査が重要です。

マンモグラフィ検査

マンモグラフィ検査は、乳腺専用のX線検査です。被ばく線量が少なく済むという理由や、がん以外の正常な組織が診断に影響を及ぼさないようにするという理由から、さまざまな医療機関で幅広く用いられています。マンモグラフィ検査は、腫瘤像を鮮明にするために乳房を圧迫した状態で検査を行います。ただし、乳房の大きさに関係なく乳腺が発達している方は病変が見つかりにくかったり、患者さんによっては圧迫による痛みが強いと感じたりする方もいるため、超音波(エコー)検査も併せて行うことが望ましいとされています。マンモグラフィ検査は、被ばく量が少ないため、妊娠中でも受けることが可能です。しかし、妊娠中は乳腺が発達しており、しこりが分かりづらいため、超音波(エコー)検査と併せて行うことでより発見されやすいといわれています。

超音波(エコー)検査

超音波(エコー)検査は、乳房の表面からプローブという器械をあてて、超音波を反射させ画像で確認をする検査です。超音波(エコー)検査は、マンモグラフィでは病変を見つけにくい乳腺が発達している方にも有効であるとされています。

病理検査、病理診断(細胞診、組織診)

病理検査とは、患者さんの体から採取された組織や細胞を染色して、顕微鏡で観察する検査です。病理検査の結果を病理診断といいます。病理検査は、以下の表のように検査が分かれており、病変が起こっている箇所の細胞や組織を採取して詳しく調べていきます。

細胞診である吸引細胞診は、しこりなどの病変部に直接細い針を刺して、吸引した細胞を顕微鏡で観察する検査です。細い針を使用することから麻酔は使わずに行われることが多く、検査時間も1分程度です。針を刺した部分に血腫ができることがありますが、血腫は自然に消えていくので心配ありません。このほかに重大な合併症を引き起こすことは少なく、負担の少ない検査といえます。

一方、組織診である針生検は、細胞診よりも太い針を使用します。針を病変部に刺して、組織の一部を太い針の溝に入れてから、体の外に取り出します。針生検は太い針を使用するため局所麻酔が必要ですが、穿刺吸引細胞診に比べ、正確な診断が可能です。

ステージ分類とは、乳房に対してがんの広がっている範囲やリンパ節への転移が見られるか、さらには骨や肺などへの遠隔転移が確認できるかなどの条件によって決められている病気の進行度です。乳がんのステージは、0期、I期、II期(IIA、IIB)、III期(IIIA、IIIB、IIIC)、IV期に分類され、おおよその治療方針はこのステージ分類によって決められています。

サブタイプ分類とは、がん細胞の性質で分類するもので、以下の表のように分類されます。がん細胞の性質によって薬物療法の効果が異なることが唱えられたことで、サブタイプ分類による治療法の選択が重要視されています。

サブタイプ分類は、がん細胞を調べ病理学的に分類したもので、患者さんに適した薬物療法が選択できることから、有用な検査です。

患者さんのステージ分類、さらにはサブタイプ分類をもとに、患者さん一人ひとりのがんの性質に合わせた治療を選択していきます。

乳がんにおける治療は、外科手術、薬物療法、放射線治療があります。現在は薬物療法が大きく進歩し、治療の中心に据えられることが多くなりました。また、いずれかの治療を単独で行うのではなく、組み合わせて行うことで、患者さん一人ひとりに合わせた治療を実現することを目指します。

治療方針においては、ステージ分類やサブタイプ、さらには患者さんの体力や年齢なども踏まえて決めていきます。サブタイプのルミナルAタイプ以外は、1cm以上のしこりがあれば手術前に抗がん剤投与を行うことが多いです(術前化学療法)。また、乳がんの治療において、患者さんに納得して治療を受けていただくため、当院では患者さんの希望も重要視しています。

乳がんは検査で見つからないような小さな転移が起こりやすいとされ、全身病として治療を行うことがよいとされています。そのため、全身治療である手術前後の薬物療法が重要視されてきています。    

薬物療法で使用する薬剤は、がん細胞の性質を分類するサブタイプ分類によって選択されます。また、がんの広がりや性質などをもとに、複数の薬剤を組み合わせる治療法を選択することもあります。

内分泌(ホルモン)療法

内分泌療法は、ホルモン受容体が陽性である患者さんが対象となる、女性ホルモンの分泌やはたらきを妨げることで乳がんの増殖を抑える治療法です。抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト(黄体ホルモン放出ホルモン抑制剤)あるいは選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターなどの薬剤が用いられ、閉経前後で治療法の選択が異なります。手術後に使用する場合は、おおよそ10年を目安に投与を行います。

化学療法

化学療法は、がん細胞の分裂を阻害したり増殖を抑制したりすることで、がん細胞の増殖を抑える治療法です。化学療法には抗がん剤が用いられ、がんを小さくしてから手術を行うために術前化学療法を行ったり、再発や転移を防ぐ目的で術後化学療法を行ったりしています。

化学療法は、ほかの薬物療法と比較して副作用が起こりやすい治療法であるといわれていますが、近年では副作用に対する対策なども進歩していることから、通院しながら化学療法を受けられるようになってきています。

分子標的治療

分子標的治療とは、がん細胞を増殖させる特有の因子を標的にして、その因子のはたらきを阻害する治療法です。分子標的治療は、がん細胞だけを標的にして攻撃するため、発熱や悪寒などの症状が現れることもありますが、一般的に副作用は軽いとされています。2019年11月現在、免疫療法を含めて多数の分子標的薬が登場していますが、今後もさらにその数は増していくのではないかと考えます。

乳がんの外科手術には、乳房部分切除術と乳房切除術があります。また、乳房再建術といって、手術後に失った乳房を新たに形成することも可能です。

乳房部分切除術

乳房部分切除術は、がんを確実に切除したうえで、患者さんが美容的に満足できる乳房を残すことを目的に、乳房のがんから1〜2cmの範囲を部分的に切除する術式です。

乳房部分切除術が適応可能であるかの判断には、がんの大きさだけで決められているわけではなく、がんの位置や乳房の大きさなどの要素も考慮します。もちろん、がんの大きさも要素の1つであり、がんの大きさが小さいほど乳房を温存できるだけでなく、美容面においても優れているため、手術の前に薬物療法でがんを小さくしてから手術を行うこともあります。

また、乳房部分切除術を行った場合には、再発のリスクを下げるために、残った乳房に放射線治療を行うことがよいとされています。

乳房切除術

乳房切除術には、乳頭乳輪を残すか残さないかの違いで、乳頭乳輪温存乳房全切除術と皮膚温存乳房切除術があり、いずれも乳腺を全て摘出する術式です。主に、がんが大きい場合や範囲が広い場合、さらには乳房内にいくつかのがんが確認される多発性の乳がんだった場合などが対象になります。

乳がんにおける放射線治療は、温存した乳房への再発や転移の防止、乳房切除術を行っても腋窩リンパ節への転移が数個以上ある場合には、リンパ節への再発や転移の防止、あるいは臓器や骨に転移したことに伴う症状の改善などのために行われています。放射線治療は、患者さんの状態にもよりますが、通常は通院しながら治療が行われます。

乳房再建術は、乳房切除術によって失われた乳房を、患者さん自身のお腹や背中から採取した自家組織、あるいはシリコンなどの人工乳房を使用して再建する手術です。

乳房を摘出したことにより、女性としての自信を失ってしまったり、周りの目が気になってしまったりする患者さんも少なくありません。そのような患者さんが、女性としての自信を取り戻し、前向きに生活ができるようにするために行われています。

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