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大動脈弁狭窄症に対するTAVIとは? ——​​​​メリット、開胸手術との違い

大動脈弁狭窄症に対するTAVIとは? ——​​​​メリット、開胸手術との違い
齋藤 俊英 先生

一宮市立市民病院 心臓血管外科 部長

齋藤 俊英 先生

杉浦 剛志 先生

一宮市立市民病院 循環器内科 医長

杉浦 剛志 先生

目次
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大動脈弁狭窄症とは、心臓の大動脈弁の開きが障害され、さまざまな症状が引き起こされる病気です。日本では、高齢化の進展に伴い大動脈弁狭窄症の患者数が増加しており、潜在患者数は100万人にのぼると推測されています。大動脈弁狭窄症に対する治療のひとつであるTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)は、開胸手術よりも患者さんの身体的な負担が少なく、高齢の患者さんに対しても実施できるという利点があります。

TAVIの治療の流れやメリット、開胸手術との違いについて、一宮市立市民病院の齋藤 俊英(さいとう しゅんえい)先生(心臓血管外科 部長)と杉浦 剛志(すぎうら つよし)先生(循環器内科 医長)にお話を伺いました。

TAVIには実施施設基準(経カテーテル的大動脈弁置換術 実施施設基準)が設けられています。全国に、TAVIの実施施設は171あります(2019年8月時点)。

経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)とは、カテーテルと呼ばれる医療用の管を血管内に挿入し、狭窄(すぼまって狭い状態)した大動脈弁を人工弁と置き換える治療法です。TAVIでは、生体弁(牛や豚など生体由来の人工弁)を使用します。

TAVIは、心臓を止めずに行うことができるため、低侵襲(身体的な負担が少ない)な治療法であり、開胸手術の実施が困難と判断される方、たとえば高齢の方、合併症をお持ちの方などに対して行うことができるというメリットがあります。

TAVI、開胸手術のメリット・デメリットについては、後ほどご説明します。

カテーテルを心臓までアプローチ(到達)させる経路には、足の付け根の血管(大腿動脈)から挿入する“経大腿動脈アプローチ”、心臓の先端(心尖部)から挿入する“経心尖アプローチ”などがあります。このうち、第一選択は、侵襲性の低い“経大腿動脈アプローチ”となり、大腿動脈からの挿入が難しい場合には、“経心尖アプローチ”を検討します。

近年では、医療機材、器具の進歩に伴い、多くのケースで経大腿動脈アプローチが行われるようになってきました。

大動脈弁狭窄症に対するTAVIの手術時間は、(経大腿動脈アプローチの場合)1〜2時間ほどです。当然のことながら、術者の経験値や実施する病院の体制により、手術にかかる時間は多少前後します。一般的な入院期間は、およそ1週間です。

TAVIのメリットは、低侵襲であることです。通常の開胸手術では、肋骨(ろっこつ)を切開し、一時的に心肺を停止させて手術を行いますが、TAVIではその必要がないため、身体的な負担が少なく、術後の回復が早いという特徴があります。そのため、開胸手術の実施が難しいと判断される患者さんに対しても、治療の可能性が広がります。

TAVIのデメリットとしては、新しい治療法であるゆえに、使用する生体弁の長期耐久性についての調査が現在進行中であり、5年以上の耐久性については不明とされている点です。一方、開胸手術で使用される人工弁の耐久性は、生体弁で10〜20年ほど、機械弁で20〜30年ほどとされています。

ただ、この背景にはやはり観察期間の違いがありますので、今後TAVIによる治療の成績と調査が蓄積されることで、TAVIに用いる生体弁の長期耐久性についても徐々に明らかになっていくと考えられます。

大動脈弁狭窄症に対するTAVIのメリット、デメリット――開胸手術との違い

また、大動脈弁置換術が、全て開胸手術からTAVIに置き換わることはないでしょう。なぜなら、開胸手術は、大動脈弁狭窄症のほかにも病気がある患者さん(たとえば、大動脈弁狭窄症と大動脈弁輪拡張症が併存している場合)にも手術が可能というメリットがあるからです。つまり、開胸手術は、複合的な病気に対する手術に適しているといえます。

通常、TAVIの治療を行った後は、一定の期間、血栓症を防ぐために抗血小板薬を服用していただきます。患者さんには、抗血小板薬をきちんと服用するようにお伝えします。

また、当院では退院後、できるだけ早くもとの生活に戻れるよう、リハビリなどを含めて、退院時のケアを行っています。患者さんが大動脈弁狭窄症のほかにも病気などを持っている場合には、それらの治療、ケアを含めて、総合的に指導を行います。

一宮市立市民病院における大動脈弁狭窄症の治療――その特徴とは?

当院は、2010年に旧・愛知県立循環器呼吸器病センターと統合しました。もともと両病院は地域の中で密に連携をとり、患者さんに医療を提供していました。この統合により、旧・愛知県立循環器呼吸器病センターの伝統やノウハウを活かした形で、循環器内科と心臓血管外科が連携し、医師や看護師、臨床工学技士、診療放射線技師、理学療法士などが多職種協働でチーム医療を実現しています。

大動脈弁狭窄症の診療においては、2019年5月に“経カテーテル的大動脈弁置換術 実施施設基準”の認定を受け、TAVIの治療を開始しました。

齋藤俊英先生

心臓手術はさまざまなリスクを伴いますが、これらを少しでも軽減するために、私たちはこれまで工夫を重ねてきました。その結果培われた手技を一つ一つ確実に行い、手術を安全に完遂することを常に目指しています。また、最新の知識・技術にキャッチアップし、今の時代に求められるスタンダードな医療を提供するよう心がけています。

大動脈弁狭窄症の治療には、いくつかの選択肢があります。私たちは患者さんの病態をしっかりと確認し、最善と考えられる治療を提供するべく努めています。何か不安な症状がある方や、大動脈弁狭窄症の治療を検討している方がおられましたら、ぜひ当院へお越しください。

杉浦剛志先生

大動脈弁狭窄症の治療では、治療の効果と手術リスクのバランスを考慮し、治療選択をする必要があります。症例によっては、手術をしないという選択をすることもあります。

このように、私たちは、治療をするべきケースとそうでないケースを慎重に見極め、患者さんに適した治療を進めていけるよう心がけています。そして、自分たちの診療レベルを向上させるべく、常に知見を磨いています。大動脈弁狭窄症に関して、お困りのことがあれば、ご遠慮なくご相談ください。

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