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聴神経腫瘍の治療は年齢や価値観によって選択が異なる

聴神経腫瘍の治療は年齢や価値観によって選択が異なる
長谷川 俊典 先生

小牧市民病院 医務局長 医療の質・安全管理室長 脳神経外科 部長 ガンマナイフ科部長

長谷川 俊典 先生

加藤 丈典 先生

小牧市民病院 脳神経外科 部長 医療情報システム室 室長

加藤 丈典 先生

目次
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聴神経腫瘍の治療には、いくつかの選択肢があります。その選択の際に重要となるのが、患者さんの年齢や価値観です。本記事では小牧民病院の脳神経外科部長兼ガンマナイフ科部長の長谷川(はせがわ) 俊典(としのり)先生と、脳神経外科部長の加藤(かとう) 丈典(たけのり)先生に、当該病院が治療選択の際に大切にしていることなどについてお話を伺いました。

長谷川先生:聴神経腫瘍は良性腫瘍ですが、聴力の低下やめまいを引き起こすことがあります。特に聴力の低下においては、音は聞こえても、入ってきた音を言葉として理解しづらくなるという特徴があります。また、腫瘍が大きくなることで、小脳と脳幹への圧迫が強くなると、ふらつきや歩行障害といった症状も出てきますが、これはかなり進行した状態です。

聴神経腫瘍の症状や原因については『聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)とは——​​メカニズムや症状、原因、検査について』をご覧ください

加藤先生:ただ、聴神経腫瘍が発生したからといって、全てのケースでこれらの症状が現れるわけではありません。基本的には、時間が経つにつれ、腫瘍がその場所で大きくなっていきますが、もともと腫瘍が小さい場合には、年間に1~2mm程度の増大が平均的という報告もあります。その一方で、中には急激に腫瘍が大きくなる患者さんもいらっしゃいますので、増大のスピードは患者さんによってまちまちです。

長谷川先生:このように、患者さんにより腫瘍の大きさや位置、症状の現れ方もいろいろなので、一人ひとりの状況に合わせた治療選択が重要となります。聴神経腫瘍の治療には、経過観察、外科手術、ガンマナイフ治療、外科手術とガンマナイフ治療の併用、という選択肢があり、当院にはその全てを実施する体制が整っています。

聴神経腫瘍の治療については『聴神経腫瘍の治療——​​経過観察、手術、ガンマナイフ(放射線)治療』をご覧ください

加藤先生:当院に聴神経腫瘍の治療で入院する患者さんは年間30人ほどで、加えて、経過観察で通院されている方がいらっしゃいます。

長谷川先生:当院では、聴神経腫瘍が見つかった全ての患者さんに、手術やガンマナイフ治療をすすめるわけではありません。手術やガンマナイフ治療を行うことで、逆に聴力の低下を招いてしまうケースもあるので、腫瘍が脳を圧迫しているなど、急を要す場合を除き、患者さんの年齢や希望も鑑みて治療方針を決定します。

加藤先生:やはり、外科手術にしろ、ガンマナイフ治療にしろ、治療を行うことで多少聴力が落ちる可能性があるという点は否定できません。だからこそ、聴力の低下が見られない方の場合には、経過観察で腫瘍が大きくなるスピードや症状の出方を見ながら、治療を行うかどうか判断する必要があります。

長谷川先生:良性腫瘍だからこそ、治療後に日常生活に戻るところまでを見据えて治療選択をすることが大切だと考えています。

聴神経腫瘍の治療に関して言えば、当院では、腫瘍をなくすことを目的にはしていません。その患者さんが、その後の人生でいかに症状を出さずに過ごしていけるか、という点こそが、私たちが大切にしている部分です。

加藤先生:機能を保ちながらも、症状が出ない、という状態に持っていくために、経過観察、外科手術、ガンマナイフ治療、両者の併用、という4つの選択肢を使い分けています。絶対に手術をしたほうがよい、絶対にガンマナイフ治療がよい、という考え方ではなく、いずれの治療にもメリット、デメリットがあることを考慮したうえで、判断します。

脳神経外科部長 加藤丈典先生
脳神経外科部長 加藤 丈典先生

長谷川先生:先ほども述べたように、当院は、外科手術とガンマナイフ治療のどちらも実施できる体制にあります。その点こそが、当院の強みだと言えます。

加藤先生:ガンマナイフ治療を行ってほしいと当院に紹介された聴神経腫瘍の患者さんでも、腫瘍の状態や症状、患者さんのご希望もふまえて、経過観察や外科手術との併用が必要だと判断する場合もあります。

どちらの治療も行っているからこそ、選択肢が広がりますし、患者さんの意向を汲みながら、相談していくことができると考えています。

長谷川先生:また、当院では治療後のフォローアップをとても大切にしています。ガンマナイフ治療に関しては、腫瘍を残したままコントロールするという方法ですから、再発の可能性があります。また、手術によって腫瘍を摘出した場合も、全摘出をしていない限りは同様です。

加藤先生:治療後のリハビリなどは不要ですが、治療後1年間は大体3か月に1回、聴力の検査と頭部MRI撮影を行います。1年経過した後は、半年ごと、3年経ったら1年ごと、というように、徐々に間隔は長くなりますが、継続して患者さんを診ています。

長谷川先生:こうしたフォローアップを続けることで、再発時に速やかに対応する、という目的があります。そして、治療後の患者さんのフォローアップをしながらさまざまな患者さんの治療後のデータを蓄積していくことで、これからの聴神経腫瘍の治療に生かしていきたい、という思いもあります。

聴神経腫瘍の治療自体は、“いかにして聴力を温存して治療をするか”ということを追求する段階に入っていると考えています。こうした次のステップへの手がかりを探るためにも、これまでの患者さんの治療経過を有効に活用し、未来へとつなげていきたいと思います。

長谷川先生:私自身は、しなくてもよい手術はしないで済むほうがよいと思っています。ですから、経過観察、外科手術、ガンマナイフ治療という選択肢があるなかで、いかに患者さんのニーズに合わせた決断のサポートをするかという点を大切にしています。患者さん自身の価値観により、何がその人にとって“よい選択”となり得るのかは異なります。さまざまな情報を与えられ、治療方法を決断するのは容易ではないかもしれません。だからこそ私は、医師という立場からそれぞれの患者さんに合わせて客観的な情報をご提供することで、患者さん一人ひとりに選択肢をご提示できればと思います。不安なことや分からないことは、遠慮なく医師に相談してください。

加藤先生:当院では、聴神経腫瘍の治療に際して、外科手術とガンマナイフ治療のどちらも選択することができます。その強みを生かし、どちらの情報についても患者さんにご説明することで、選択の幅を広げていただきたいと考えています。特に聴神経腫瘍は良性腫瘍なので、必ずしも治療する必要はありません。腫瘍の状態などは一人ひとり異なりますから、どのようにすれば神経機能を温存して付き合っていけるのか、という観点から、患者さんそれぞれのご相談に乗りながら、一緒に治療選択をしていければと思います。

脳神経外科部長兼ガンマナイフ科部長 長谷川俊典先生
脳神経外科部長兼ガンマナイフ科部長 長谷川 俊典先生
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