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発達障害とは何か――​​子どもに必要な治療と支援

発達障害とは何か――​​子どもに必要な治療と支援
鹿島 京子 先生

河北総合病院 小児科 科長

鹿島 京子 先生

目次
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子どもの発達障害には、“じっと座っていられない”、“友達とうまく関われない”、“集団生活に馴染めない”、“読み書きが苦手”、といったさまざまな特徴があります。自分の子どもが発達障害ではないかと心配している親御さんも少なくないのではないでしょうか。しかし、正しい知識を持ち、ご家庭や幼稚園、学校などで、お子さんに合わせた適切な対応をすることで、お子さんの“生きづらさ”、親御さんの“育てにくさ”の解決につながります。

今回は、河北総合病院小児科科長の鹿島 京子(かしま きょうこ)先生に、発達障害の特徴とその対策についてお話を伺いました。

お子さんは一人ひとり、人との関わり方、社会性、行動の仕方、物事の捉え方、感じ方などが異なります。それは、お子さんが元々持っている“脳の個性”といえます。

脳の個性は、お子さんが置かれている環境や周りの対応によって、長所にも短所にもなります。脳の個性がプラスに評価される環境下では、そうした要素は長所として有利にはたらきます。一方、脳の個性がマイナスに捉えられる環境下では、ご本人がつらいと感じる場面が多くなる可能性があります。

このように、元々持っている脳の個性という要素に環境や社会的な状況が加わり、生活に困難さを抱えているケースを、発達障害と呼ぶと考えていただければよいでしょう。

近年、発達障害という言葉が、TVやインターネットなどで一般的に取り上げられるようになり、医療や教育の場以外でも見聞きする機会が増えています。

当院の小児科の発達外来にも、「うちの子どもは発達障害でしょうか」と来院される親御さんが数多くいらっしゃいます。言葉が遅い、日々のしつけがうまくいかない、なんとなくほかの子と違うといった不安を感じていたり、幼稚園や学校の先生から集団生活での問題を指摘され、医療機関をすすめられたりして来院されることが増えています。

発達障害にはさまざまな種類があります。ここでは、注意欠如多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症学習障害の三つについてご説明します。

ADHDは、多動性、衝動性、不注意といった行動上の特徴があります。子どもの場合は、じっとしていることや待つことが苦手で、思い立ったらすぐに行動に移してしまう傾向や、一つのことに集中できず気が散りやすい反面、興味があることには集中しすぎて周囲に注意が向かなくなるといった傾向があります。

集団生活の中で目立ちやすいため、周囲の大人に注意や叱責を受けることが多く、その結果として自己肯定感が低下し、反発的な言動が増えたり、気分の落ち込みや不安などの二次的な問題が生じたりすることがあります。

ADHDの特徴を持つ子は、“落ち着きがない”、“注意散漫”と受け止められることもありますが、見方によっては“非常に活発で好奇心旺盛なタイプ”ともいえます。

子どもの特性が前向きに受け止められるよう、適切な環境づくりやサポートをすることが重要です。

また、必要に応じて投薬治療を選択することも可能です。

自閉スペクトラム症は、人と社会的なコミュニケーションを取ることが苦手であり、独特なこだわりの強さがあるため、物事に柔軟に対応することが難しいといった特徴があります。スペクトラム(連続体)というように、その症状の程度は非常に軽度なものから重度なものまで幅広く、知的な力もさまざまです。言葉を介しての意思疎通が困難な方もいれば、場の空気を読んだり相手の気持ちを察したりすることが少し苦手なものの、会話のやり取りには支障がない方もいます。

幼少期には、人へ意識を向けることが乏しく、声をかけても反応しない、気持ちが通じ合わない感じ、マイペースな行動、言葉の遅れ、おうむ返しなど独特の言葉使いをするといった特徴がみられます。

知的な遅れがなく、幼少期は大きな問題なく過ごしてきた子であっても、思春期になり、自分が集団の中で馴染めていない、周囲と自分は何かが違う、と違和感や不安が高まり、不登校などになる場合もあります。

親御さんがその子の特性、その子らしさを理解し、適切な関わり方を知ることで、親子の関係性や育児が少しスムーズになるかもしれません。

また、子ども自身が療育や特別支援教育の中で、苦手な社会性やコミュニケーションを意識的に学び身につけていくことで、生活上の困難さを軽減することができます。

学習障害は、知能検査で知的な遅れがなく、適切な教育環境や本人の努力にもかかわらず、 “読む”“書く”“計算する”といった能力の一部に著しい困難さを認めます。 

小学校入学直後から、学習面で苦労することが多くなります。

文章の読み書きが極端に苦手な子は、板書やノートの提出ができずに、「怠けているのではないか」と思われてしまったり、筆記試験で点数が取れず評価が低くなったりしがちです。

周囲の大人からの叱責や、友達からからかわれるような体験により、学習への意欲や自己肯定感が低下してしまいます。

子どもの特性に早く気づき、担任や特別支援教育の先生と一緒に、その子にあった学び方を見出していくことが重要です。

発達障害は特定の検査で判断されるものではなく、幼少期からの様子や現在の症状から総合的に診断していきます。問診は診断の重要な手がかりとなりますので、乳児期からの成育歴や、現在の家庭での様子、ご家族が困っていることや気になっていること、幼稚園や学校での友人関係などについて、問診票にご記入いただいたうえで、お話を伺います。その内容と診察室での様子を照合し、お子さんの発達上の特徴を考えていきます。

当院の発達外来では、必要に応じて知能検査や発達検査を行っています。

現在、施行可能な検査としては、WISC-Ⅳ、田中ビネーⅤ、新版K式、遠城寺式、DN-CAS、K-ABC、PARS、MSPA、読み書きスクリーニング検査などがあります。

発達障害の傾向が認められた場合、発達障害という診断名を伝えるかどうかは、担当医師のその時々の判断によるところが大きいと思います。私自身は、診断名よりも、その子の特性を長所短所含めて、ポジティブに理解していただくことが大切だと考えています。親御さんの中には、発達障害と診断されたほうが子どものことを理解しやすいという方もいらっしゃれば、障害という言葉に大きな抵抗を感じる方もいらっしゃいます。ご家族やご本人にとって、理解しやすい、受け止めやすい説明ができるように心がけています。

発達障害の治療とは、その人が自分の特性とうまく付き合いながら、その人らしく自信をもって生きていけるように環境を整え、育んでいくことです。

発達障害の支援は、医療の場で完結するものではありません。家庭や保育園、幼稚園、学校、療育機関、地域社会といった、子どもが生活の場で出会うさまざまな人が治療者、支援者となります。

私自身は、医師の立場で親御さんの子育て全般的な相談にのり、お子さんが日々関わっている学校の先生や療育機関の方々と連携してよりよい環境を整え、支援の大きな方向性を確認していく舵取り役でありたいと思っています。

ご本人や親御さんが、発達特性を理解し日々の出来事に自ら適切に対応していけるような力を育めるよう、お話ししていきます。

幼稚園や学校の先生と連携し、子どもの発達特性に合わせた環境整備、子どもとの関わり方などを支援していきます。

ADHDの場合、脳内の神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン)のはたらきを調整する薬を用いることがあります。ADHDについて保険適用されている薬剤は以下の通りです。

  • メチルフェニデート
  • アトモキセチン
  • グアンファシン
  • リスデキサンフェタミンメシル酸塩:当院では現在未採用(2020年3月時点)

ただし、ADHDは薬で治す、治るといったものではありません。その子が日常生活をよりスムーズに送ることができ、成長を促すための周囲からの支援をキャッチしやすくするための補助的なものと考えています。適切な環境が整わないなかで薬を使用しても、メリットは乏しく、場合によってはマイナスにはたらくこともあるため、慎重に使用しています。

また、発達障害の二次障害として、イライラや不安、睡眠障害などが強い場合、漢方薬や抗精神薬、メラトニン受容体作動薬などを使用することがあります。

当院では、ご本人やご家族の希望に応じて、公認心理師(臨床心理士)による心理療法(心理カウンセリング)が受けられます。

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