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胃がんは早期に発見して治療をすることが大切——​​​​胃がんの特徴や検査、治療、ピロリ菌の除去について解説

胃がんは早期に発見して治療をすることが大切——​​​​胃がんの特徴や検査、治療、ピロリ菌の除去について解説
山下 浩子 先生

河北総合病院 消化器内科副部長 内視鏡室室長

山下 浩子 先生

目次
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胃がんは早期に発見して治療をすることが大切」だと、河北総合病院の山下 浩子(やました ひろこ)先生は言います。胃がんは症状が現れにくく、症状が現れたころには病状が進行してしまっていることも少なくありません。そのため、自主的に検診を受けることが、早期発見につなげるポイントになります。

また、早期に発見すれば内視鏡治療を適応できるため、比較的体に負担をかけずに治療を行うことができます。同院では、河北健診クリニックも設置し、早期発見につながるよう尽力しています。また、胃がん予防のためのピロリ菌診断・除去を行う“ピロリ菌外来”など特徴的な取り組みも行っています。

今回は、河北総合病院の山下 浩子先生に、早期の胃がんを中心に胃がんの特徴や検査、治療についてお話を伺いました。

胃は、みぞおちの後ろに位置しており、口から入れた食べ物を消化するという役割があります。胃の中に食べ物が入ってくると蠕動運動(ぜんどううんどう)*が起こり、胃液と呼ばれる液体が分泌され、その胃液により胃の中にある食べ物が消化されます。

胃

*蠕動運動:体の中で何らかの物を移動させるために起こる筋肉の収縮運動のこと

胃がんは、胃の粘膜に存在する細胞ががん化することで発生します。胃の層構造は、胃の表面から粘膜、粘膜下層、固有筋層(こゆうきんそう)漿膜下層(しょうまくかそう)漿膜(しょうまく)の層になっており、進行すると一番外側にある漿膜に向かってがんが広がっていきます。胃がんが進行すると、リンパ液や血液を通じてほかの臓器に転移してしまったり、漿膜を超えてお腹の中にがんがばらばらと広がる腹膜播種(ふくまくはしゅ)*が起こったりしてしまうことがあります。

胃がん

また、男性のほうが胃がんを発症する確率が高い傾向にあり、年齢を重ねるごとに患者さんが増えることも胃がんの特徴です。胃がんは、早期の段階では自覚症状のないことが多く、症状が現れて進行した状態で発見されることも少なくありません。このことから、自分の命を守るためにも、定期的に胃がん検診を受けることで早期の段階で発見し、可能な限り早い段階で治療を行うことが大切です。

*腹膜播種:種がまかれるように、お腹の中にがんがばらばらと広がること

胃がんの代表的な症状として、みぞおち辺りの痛みや違和感、吐き気などが挙げられますが、実際には早期に発見された胃がんの場合には症状が現れないことが多いといわれています。ときには、進行している場合でも、症状が現れないこともあります。

そのため、今までに胃の病気を指摘されたことがない方でも2年に1回程度の頻度で、検診を受けることが推奨されています。萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)などの病気を発症している方は、1年に1回程度の頻度で検診を受けるなど、注意して経過を見ていくことが望ましいでしょう。そのように、定期的な検診を心がけることが、胃がんの早期発見、早期治療につながります。

胃がんが発症する要因には、ピロリ菌と呼ばれるヘリコバクター・ピロリの感染や喫煙、塩分の高い食べ物の摂取が挙げられますが、今や胃がんの多くがピロリ菌の感染が要因であることが分かってきました(2020年1月現在)。ピロリ菌の感染経路は人から人への感染で、ピロリ菌感染経路のほとんどが経口感染*であると考えられています。成人への感染は比較的少ないとされていることから、子どものうちに感染したものが持続感染**している状態が、胃がんをはじめとした胃の病気を発症するリスクを引き上げている要因であるといわれています。

ピロリ菌に感染すると、まずは慢性的な胃炎を発症したのち、萎縮性胃炎を介して胃がんに進行してしまうことがあります。ピロリ菌に感染していることが検査で確認された際には、胃がん予防にピロリ菌の除菌が効果的であることが分かってきているため、“除菌”をすることで、胃がんの予防に努めましょう。

ピロリ菌に感染した方の胃の様子
ピロリ菌に感染した方の胃の様子

*経口感染:病原体となる細菌やウイルスなどが口を介して消化管に入り、感染を起こすこと

**持続感染:初感染後も体の中に病原体がとどまり、慢性的に感染している状態のこと

胃がんが疑われる場合には、“がんであることを確定するための検査”を行い、胃がんであると診断された場合には“治療方針を決めるためにがんの進行度を調べる検査”の流れで検査を行います。

がんと診断するためには、胃カメラとも呼ばれることがある内視鏡検査や造影剤を用いたX線検査、生検・病理検査などの検査が行われます。そのなかでも早期の胃がんを見つけるために重要視されているのが内視鏡検査です。

内視鏡検査は、口あるいは鼻から先端にカメラのついたスコープと呼ばれる管を挿入して検査する方法です。胃がんが疑われる場所を確認したり、そのがんがどの程度広がっているかを調べたりすることができるだけでなく、色調の変化や胃の粘膜に生じているわずかな隆起まで映し出せるという点ではX線検査よりも優れています。また、病変が発見された場合には、その場で病変が現れている組織を採取して、顕微鏡を用いて病理診断を行うことも可能です。

しかし、内視鏡検査を受けられる方のなかには、「口からの内視鏡検査は苦しそうだから」と抵抗感を覚える方もいらっしゃいます。そのため、当院では、経鼻内視鏡検査(けいびないしきょうけんさ)経口内視鏡検査(けいこうないしきょうけんさ)の両方を行うことができる環境を整えています。経口内視鏡検査に不安を感じている患者さんに対しては管の細い経鼻内視鏡検査をご提案したり、希望によっては鎮静剤を使用したりするなど、できるだけ負担の少ない検査になるよう努めています。

胃がんと診断されてしまった場合には、がんの進行度や広がり具合、転移の有無を調べたうえで治療方針を決めていきます。そのために行われるのが、CT検査やMRI検査、PET検査、腫瘍マーカー検査です。

当院では、検査で胃がんの進行状態を確認し、初期の場合には内視鏡治療を行っています。また、進行がんが発見された場合においても、外科的な治療を行える環境を整え、患者さん一人ひとりに適した治療の提供を目指しています。

胃がんにおける深達度分類

胃がんの深達度を示す分類には6通りあり、T1aとT1bは早期の胃がんとされています。

  • T1a:がんが粘膜層にとどまっている状態
  • T1b:がんが粘膜下層にとどまっている状態
  • T2 :がんが筋層に入り込んでいる状態、あるいは浸潤している状態
  • T3 :がんが筋層を超えて漿膜下組織に浸潤している状態
  • T4a:がんが漿膜を超えて胃の表面に出ている状態
  • T4b:がんが胃の表面に出たうえに、ほかの臓器にも広がっている状態

胃がん深達度

肉眼的分類

胃がんの分類には、深達度分類のほかに、肉眼的分類といわれる分類方法もあります。

肉眼的分類は、0〜5型に分けられ、早期の胃がんは0型に該当します。また、0型の中でも以下のようにいくつかの分類に分けられます。

  • 0-Ⅰ型(隆起型):明らかな腫瘤(しゅりゅう)状のできもののようなものがある状態
  • 0-Ⅱa型(表面隆起型):粘膜の表面に、高さがない隆起がある状態
  • 0-Ⅱb型(表面平坦型):正常の粘膜にある凹凸(おうとつ)()をやや越えるほどの隆起がある状態、あるいは陥凹(かんおう)()が認められない状態
  • 0-Ⅱc型(平面陥凹型):わずかであるが粘膜の表面にびらんあるいは浅い陥凹がある状態
  • 0-Ⅲ型(陥凹型):明らかに深い陥凹がある状態

肉眼的分類

胃がんの治療は、臨床分類と病理分類を踏まえたうえで治療方針を決めていきます。

臨床分類は、一般的に手術の前に行うもので、画像診断や生検をもとに治療方針の基準となるものです。一方で、病理分類は手術後に行うもので、手術で切除した病変部分の病理診断を行い、実際に病気がどのくらい広がっているのかを評価し術後の治療方針の基準とするものです。

胃がんの臨床分類

胃がんの臨床分類

胃がんの病理分類

胃がんの病理分類

胃がんに対しては、内視鏡治療、外科的手術、薬物療法などの治療が行われます。

内視鏡治療には、EMR(Endoscopic mucosal resection:内視鏡的粘膜切除術(ないしきょうてきねんまくせつじょじゅつ))とESD(Endoscopic submucosal dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ))があります。一般的に、早期の胃がんに分類される中でも2cm以下のものは、内視鏡治療のよい適応条件になります。外科的手術と比較すると体に負担が少なく、入院期間も5〜7日程度などで治療後の生活にもあまり大きな影響がないことから、適応となる患者さんには内視鏡治療をおすすめします。

EMR

EMRは、がんにリング状のワイヤーをかけて切り取る方法で、治療時間が比較的短いことが特徴です。

EMR

ESD

ESDは、専用の道具を用いてがんがある部分を切り取る方法で、EMRと比較して大きながんも切り取ることができるという特徴があります。近年では、2cmを超えて3cm程度まで切り取ることができるようになってきていることから、ESDが普及してきています。

ESD

当院では、胃がんの患者さんを少しでも減らすために、ピロリ菌外来を設置しています。

先述した通り、近年ピロリ菌は胃がんの要因になりうることが分かってきており、ピロリ菌を除菌することで胃がんのリスクを減らすことができるといわれています。当院では、それぞれの患者さんに適した治療を行っているため、不安のある方はぜひ相談してください。

ピロリ菌外来の費用については、保険適応か自費診療かによって異なります。診察から内視鏡検査に加え、ウレアーゼテストを行った場合には自費診療の場合には約3〜5万円、ピロリ菌感染のチェックとして抗H.pylori抗体、尿素呼気テスト、便中ピロリ抗原のいずれかで1万円以下です。また、一回目の除菌で消えない場合は薬を替えて2次除菌を行います。さらに不成功で3次除菌までを行った場合には、自費診療の場合には約1万円程度の費用がかかります。

胃がんは、初期症状が現れにくい病気であるため、定期的に検査を受けることが大切です。内視鏡を用いた検査や治療は、“苦しそう”という印象があるかと思いますが、楽にできるようになってきているため、健康のためにもぜひ受けてほしいと思います。

また、当院は内科系と外科系の診療科が幅広くそろって協力しているため、総合的にフォローを行うことができます。ほかにも、河北健診クリニックを併設し、患者さん一人ひとりに寄り添った医療の提供を目指しています。そのため、“2年に1回は胃カメラの検診を受ける”ということを意識して、最近検診を受けていない方は早期発見のためにも検診を受けてほしいと思います。

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  • 河北総合病院 消化器内科副部長 内視鏡室室長

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