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睡眠時無呼吸症候群が引き起こす合併症とは

睡眠時無呼吸症候群が引き起こす合併症とは
末松 義弘 先生

医療法人社団 筑波記念会 筑波記念病院 副院長・心臓血管外科部長・睡眠呼吸センター長

末松 義弘 先生

目次
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睡眠時無呼吸症候群によって睡眠の質が下がることで、QOL(生活の質)の低下を招きます。しかし、問題はそれだけではなく、睡眠時無呼吸症候群が心臓病や脳卒中といった循環器病のリスクを高めることも分かってきています。今回は、睡眠時無呼吸症候群が引き起こすさまざまな合併症ついて、筑波記念病院 副院長兼心臓血管外科部長の末松 義弘(すえまつ よしひろ)()先生にお話を伺いました。

睡眠時無呼吸症候群が引き起こすさまざまな合併症
睡眠時無呼吸症候群が引き起こすさまざまな合併症

睡眠時無呼吸症候群では、病気そのものの症状がQOL(生活の質)を下げるだけではなく、無呼吸によって起こる低酸素状態が心臓に負荷をかけ、循環器病を合併するリスクが高まります。また、病気の発症には至らずとも、無呼吸状態からの呼吸再開による急激な酸素濃度の上昇など、さまざまな要因が絡むことで、動脈硬化を進行させることも分かっています。

睡眠時無呼吸症候群に合併しやすいとされる病気には、どのようなものがあるのでしょうか。

そもそも血圧とは血管にかかる圧力のことで、心臓から押し出された血液が血管を押す力ともいえます。この血圧が高くなった状態が高血圧です。医療機関で測定した血圧が140/90mmHg以上、もしくは家庭で測定した血圧が135/85mmHg以上の場合に、高血圧と診断されます。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんの50%が高血圧、反対に高血圧の患者さんの30%が睡眠時無呼吸症候群を発症しているという報告もあり、睡眠時無呼吸症候群は、高血圧の原因になるといわれています。

血圧は、身体や精神の活動によって変動しており、これらの活動が活発になれば、血圧も上がります。一方、睡眠中は身体や精神の活動が不活発であるため、血圧は低くなるのが本来の状態です。しかし、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの場合には、睡眠中に無呼吸が繰り返され、低酸素状態に陥る、息苦しさによる中途覚醒が生じるといったことが原因で交感神経が優位にはたらきます。これにより、心臓から送り出される血液量が増加し、血圧の上昇につながります。

高血圧は気付かぬうちに血管や心臓に負担をかけ、脳卒中心不全などさまざまな循環器病を招く原因となるので、注意が必要です。

心不全とは、心臓が弱り、全身へ十分な血液を送り出せなくなる病気です。心不全になると、日常生活を送るなかですぐに息切れがしたり、体にむくみが生じたりするようになります。

無呼吸状態になることで、全身を巡ったのち、静脈を通って心臓に戻ってくる血液(静脈還流)の量が増加します。すると、これをきっかけに全身に送りだす血液の量にも変化が生じ、結果的に心臓への負担が大きくなってしまうことが、睡眠時無呼吸症候群が心不全を引き起こす、主な原因です。

また、心不全は中枢性の睡眠時無呼吸症候群とも深い関係があります。中枢性の睡眠時無呼吸症候群が心不全を引き起こす原因になると同時に、心不全もまた、中枢性の睡眠時無呼吸症候群を誘発する原因となるようです。そのため、心不全の治療を行うことが、中枢性の睡眠時無呼吸症候群の予防、治療になるといわれています。

何かしらの原因により、心臓のポンプ運動を促す脳からの電気信号が狂い、脈がゆっくり打つ、速く打つ、もしくは不規則に打つ病気が不整脈です。1分間の脈拍数が50以下の場合は“徐脈”、100以上の場合は“頻脈”といわれ、夜間の不整脈は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんの約50%に発症します。不整脈にもさまざまな種類がありますが、特に心臓内にある心房が、乱れた電気信号を受けて小刻みに動く心房細動がもっとも多いといわれています。

心房細動が発生するメカニズム
心房細動が発生するメカニズム

心房細動は、心臓を動かすはたらきを持つ心筋が、睡眠時無呼吸症候群による低酸素状態などによって影響を受けることで発症します。心房細動そのものは、命に関わるような影響を与えない場合もありますが、心房細動に誘発される塞栓症(そくせんしょう)には注意が必要です。心房細動によって心房が規則正しく収縮できなくなることで、心房の中の血液がよどみ、血栓(血のかたまり)が発生します。血栓が血流にのって体内を巡り、どこかの血管をふさいでしまうことを塞栓症といい、たとえば脳の血管をふさいだ場合には、脳梗塞となります。

特に左心房にある左心耳(さしんじ)と呼ばれる部位で血栓が発生することが多いため、血栓の発生を未然に防ぐ目的で、左心耳を閉鎖、もしくは切除するという治療を心臓血管外科医が行うこともあります。

心臓から全身に血液を送る際、最初に血液が通過するもっとも太い動脈を“大動脈”といいます。この大動脈が、こぶのように膨らんだ状態が大動脈瘤です。大動脈瘤が破裂すると、胸やお腹の中に出血し、胸や背中、腹部に激しい痛みを感じるほか、血管内の血液がなくなること(低血圧)によるショック状態*に陥り、命に危険が生じます。

一方、大動脈解離は、大動脈内の三つの層(内膜、中膜、外膜)のうち、中膜が裂け、内膜と外膜の間に血液が入り込むことで発症します。多くの場合、突然胸や背中に激痛を感じ、大動脈瘤と同じく命に関わる病気です。

大動脈解離の進行
大動脈解離の進行

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、無呼吸による低酸素状態や、中途覚醒による交感神経の活性化などにより、睡眠時には一定の間隔で血圧が上昇しています。こうした夜間の高血圧が、大動脈瘤や大動脈解離を引き起こす原因となっています。

*ショック状態:全身の臓器などが、そのはたらきを維持するために必要な量の血液を送り込めない状態。

動脈硬化などが原因で、酸素や栄養素を心筋に届ける役割を持つ冠動脈が、狭くなったり、詰まったりして血流が悪くなり、心臓がはたらくために十分な酸素や栄養素が行き届かなくなります。これにより心筋が酸欠状態になる病気が、狭心症心筋梗塞に代表される、虚血性心疾患です。

睡眠時無呼吸症候群は、この虚血性心疾患の主な原因となる、動脈硬化を進行させるといわれています。そのため、健康な方と比較して、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが虚血性心疾患を発症するリスクは、1.2~6.9倍にもなるという報告もあります。

脳卒中とは、脳の血管が詰まる、もしくは破れることによって脳に十分な血液が行き届かなくなる病気です。発症のメカニズムによって、脳梗塞脳出血くも膜下出血に分類されており、脳梗塞は脳の血管が詰まることで、脳出血とくも膜下出血は、それぞれ脳の血管が破れることで発症します。脳出血とくも膜下出血の違いは、脳出血は脳内の血管が、くも膜下出血は脳の表面の血管にできた動脈瘤が破れるという点です。脳卒中は命に関わる病気で、命が助かった場合でも、脳が障害されることによって後遺症が残る可能性もあり、発症後の早期治療が重要です。

脳卒中の発症リスクとして、高血圧不整脈心房細動)などが挙げられますが、これらはいずれも睡眠時無呼吸症候群が影響して悪化、発症するものでもあるため、結果的に睡眠時無呼吸症候群が脳卒中を引き起こすリスクを高めるといえます。

ここまで紹介してきたように、睡眠時無呼吸症候群は睡眠の質を下げるだけではなく、あらゆる循環器病の発症リスクを高めます。こうした循環器病のリスクを下げるためにも、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、医療機関を受診し、治療を行うことが望ましいといえます。次ページでは、睡眠時無呼吸症候群の検査と治療方法や日常において気を付けるべき点について解説していきます。

 

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