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睡眠時無呼吸症候群の検査や治療、日常生活における注意点について

睡眠時無呼吸症候群の検査や治療、日常生活における注意点について
末松 義弘 先生

医療法人社団 筑波記念会 筑波記念病院 副院長・心臓血管外科部長・睡眠呼吸センター長

末松 義弘 先生

目次
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睡眠時無呼吸症候群は重症度により治療が変わってきます。一方で、どんな治療を受ける場合でも、並行して生活習慣の改善を行うことが重要です。

今回は、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療、日常生活における注意点について、筑波記念病院 副院長兼心臓血管外科部長の末松 義弘(すえまつ よしひろ)()先生にお話を伺いました。

前ページでは、主に閉塞性の睡眠時無呼吸症候群について、症状を解説しました。睡眠中のいびきや日中の眠気、起床時の頭痛などの症状があり、睡眠時無呼吸症候群が疑われた際には、医療機関で検査を受けることをおすすめします。睡眠時無呼吸症候群を取り扱う診療科は、耳鼻咽喉科や呼吸器科、循環器科などさまざまです。筑波記念病院では、睡眠時無呼吸症候群が心臓血管外科で取り扱う病気と密接に関係していることから、心臓血管外科で睡眠時無呼吸症候群の説明や治療を行うこともあります。また、睡眠に関する悩みを専門に扱う医療機関も存在します。

睡眠時無呼吸症候群の診断では、まずは自宅でできる簡易的な検査を行い、睡眠時無呼吸症候群である可能性が強まった場合に、追加で精密検査を行い確定診断に至るという流れが一般的です。

簡易型睡眠モニターを用いた検査では、主に睡眠中のいびきの音、鼻の気流、動脈血酸素飽和度*を測定します。簡易型睡眠モニターは医療機関から貸し出しを受けることができるため、入院せずに、自宅で検査を受けることができます。

手軽に検査ができる一方で、呼吸器や循環器の病気が合併していた場合には、睡眠時無呼吸症候群が影響しているのかどうか、判断が難しく、原則として確定診断には用いられません。当院における精密検査を受けるひとつの基準は、この検査で無呼吸・低呼吸指数(AHI)**が15以上となることです。

*動脈血酸素飽和度:動脈血(心臓から全身に送り出される血液)中の赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素と結合している割合を示す値。酸素はヘモグロビンと結合することで全身に運ばれるため、この値が低くなった場合には十分な量の酸素を全身に運べていない可能性がある。

**無呼吸・低呼吸指数(AHI):睡眠中、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数を指し、この指数によって重症度を評価する。AHIが5以上15未満で軽症、15以上30未満で中等症、30以上で重症とされている。

筑波記念病院で使用している簡易型睡眠モニター
筑波記念病院で使用している簡易型睡眠モニター

睡眠ポリグラフ(Polysomnography:PSG)検査では、簡易型睡眠モニターによる検査項目に加え、脳波や眼球運動、心電図なども記録することで、睡眠の質や睡眠中の呼吸障害、循環状態を確認することができます。この検査を行う場合には、1泊2日もしくは2泊3日の検査入院が必要となります。

睡眠時無呼吸症候群の治療においてまず重要なことは、生活習慣の見直しと改善です。睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣を改善することで重症度を下げられる可能性があります。そのため当院では、生活習慣の見直しと改善の重要性を患者さんご自身にご理解いただけるようお話しをしています。ここでは、改善すべき生活習慣をご紹介します。

飲酒

アルコールを摂取することによって、上気道*がある程度の広さを保つためにはたらいている筋群の緊張が緩んでしまい、結果的に上気道が狭まります。睡眠時無呼吸症候群の患者さんは睡眠前の飲酒を控えることが望ましいといえます。

*上気道:鼻の入り口からのどぼとけの辺りまでの空気の通り道のことを指す。

喫煙

喫煙は気道に炎症を起こす可能性があり、炎症による腫れが上気道を狭めることにつながるため、禁煙するよう指導を行います。

睡眠導入剤の使用

睡眠導入剤を使用することで、アルコールを摂取したときと同様に、上気道の広さを保つ筋群の緊張が緩むため、上気道がふさがりやすくなります。

禁煙や飲酒制限を実施しても十分な改善が見られなかった場合には、生活習慣の改善とは異なる方法で治療を行います。

減量療法

閉塞性の睡眠時無呼吸症候群の原因として、もっとも重要なリスクは肥満であり、肥満の患者さんも多くいらっしゃいます。そのため、肥満の患者さんは、CPAP(シーパップ)療法やマウスピース療法など、ほかの治療法と並行して減量の実施が必要です。

CPAP(持続陽圧呼吸)療法

CPAP(持続陽圧呼吸)療法は、睡眠時、空気の通り道である気道に一定の圧力の空気を持続的に送り込み気道がふさがることを防ぐ治療です。患者さんは夜間に専用のマスクを着用して就寝する必要があります。

CPAP

CPAP療法は、高血圧を改善する効果や不整脈を減らす効果もあり、心筋梗塞脳卒中といった循環器病発症の抑制や死亡率の低下が期待されますが、対症療法であるため根本的な原因の改善をしない限りは治療が続いていく場合がほとんどです。

無呼吸・低呼吸指数(AHI)が20以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合には、保険適用となる治療法です(2020年3月現在)。

マウスピース療法

就寝時にマウスピースを装着することで、下顎の位置を強制的に前方に出し、気道を広く保つようにする治療法です。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんのなかでも軽症~中等症の方であれば、効果が期待できます。そのほかの治療と比較すると、手軽に行うことができ効果が表れるのも早いですが、顎関節に負担がかかるという面もあります。マウスピースは歯科口腔外科などで作成が可能です。

マウスピース

外科療法

口内や喉に形態的な問題があることで上気道をふさいでしまっている場合には、外科療法が選択されることがあります。扁桃を摘出したり、口蓋垂を短縮したりすることで、根本的に睡眠時無呼吸症候群を治療しますが、当然、手術を行うため患者さんの負担は大きくなります。

外科療法

私はこれまで、心臓血管外科として診療にあたるなかで、大動脈解離を起こした患者さんの手術を行ったり、心房細動が原因で脳梗塞を発症した患者さんに対して外科的治療を行ったりしてきました。こうした患者さんに何か共通点はないかと根本的な原因を探ったところ、私がたどり着いたのが睡眠時無呼吸症候群でした。

睡眠時無呼吸症候群が、QOL(生活の質)を低下させるということはご存じの方も多いと思いますが、生死に関係するような循環器病にまで影響を及ぼすという点は、まだ広く知られていないのではないかと感じています。心臓血管外科医として、発生した循環器病の治療にあたることは当然のことです。しかし、今後はそれだけではなく、睡眠時無呼吸症候群がもたらす危険性を啓発し、循環器病の発生を未然に防ぐという部分にも尽力していきたいと考えています。

“眠りが浅くなるだけ”と侮らずに、ご自身や身の回りの方に睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、一度、医療機関を受診することをおすすめします。

 

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