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妊娠から出産後までの間に起こり得るトラブルとその要因

妊娠から出産後までの間に起こり得るトラブルとその要因
大野 珠美 先生

河北総合病院 産婦人科

大野 珠美 先生

目次
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どんなに健康な方でも、妊娠から出産後まで、母子にはさまざまなトラブルが起こり得ます。本ページでは、妊娠から出産後までの間に起こり得るトラブルについて、河北総合病院の産婦人科(マタニティー・レディース スクエア)、大野 珠美(おおの たまみ)先生にお話を伺いました。

以下に妊娠から出産までの間に、母子に起こり得るトラブルを挙げますが、過度な心配はストレスにもつながりますので、あくまで“こうしたものがある”という程度の認識でご覧ください。

流産は、妊娠22週より前に赤ちゃんが亡くなってしまうことを指します。中でも8割以上を占めるのが、妊娠12週に満たない早い段階での流産です。この時期に起こる流産にもっとも多い原因は、赤ちゃん(受精卵)の染色体などの異常とされています。一方で、細菌やウイルスへの感染、過労、強いストレスがかかり続けるといったことが原因になる場合もありますので、妊娠期間中の無理は禁物です。

また、流産の危険性が高い状態は切迫流産といいます。この段階は安静入院で状態が改善することがあります。

日本では、妊娠22週0日から妊娠36週6日の間での出産を早産としています。生まれる時期が早いほど、のちに障害を引き起こす可能性も高まります。

また、お腹が張って子宮口が開き、早産の危険性が高い状態が、切迫早産です。当院では多くの場合、安静入院、子宮収縮抑制剤の投与といった措置がとられます。

正常な場合と比較して低い位置に付着した胎盤が、子宮の出口を覆っている状態を指します。これにより、出産時に胎児より先に胎盤が出てしまい、多量の出血を引き起こしたり、まだ子宮内にいる赤ちゃんに酸素が行き届かなくなってしまったりします。そのため、事前の検査で前置胎盤が判明した場合は、帝王切開となります。

妊娠糖尿病は、妊娠中に発症する糖代謝異常(血糖値が異常に高くなった状態)をいいます。妊娠前から糖尿病と診断されていた、もしくは妊娠中に明らかに糖尿病となった場合とは区別されますが、いずれにせよ血糖値の管理が重要となります。

妊娠時に高血圧の症状が出ることを、妊娠高血圧症候群といいます。妊娠前から、もしくは妊娠20週までに高血圧となった場合には高血圧合併妊娠、妊娠20週を過ぎてから発症する高血圧が妊娠高血圧症とされます。また、高血圧と蛋白尿がみられる場合には、妊娠高血圧腎症と分類されます。妊婦さんの約20人に1人に起こるといわれており、赤ちゃんの発育不全や妊婦さんの脳出血の原因となる可能性があります。

妊娠中や出産後は特にうつ病が起こりやすい状態となっています。特に、産後2週間以内には多くのお母さんが、一時的に軽度の抑うつ状態(マタニティ・ブルーズ)に陥ります。そのほか、涙もろくなる、不安を感じる、集中力が低下するといった症状も現れます。

こうしたトラブルは特定の要因によって発生リスクが高まることも分かってきています。以下に、トラブル発生のリスクを高める要因を挙げます。

妊娠をした年齢が20歳未満の場合には、赤ちゃんが低体重となったりするリスクが、35歳以上で初産となる場合には、妊娠糖尿病などのリスクが上昇します。また、妊娠高血圧症候群の発症頻度も、35歳未満の妊婦さんより、40歳以上の妊婦さんのほうが高くなります。

低身長(150cm未満)の場合、分娩時に赤ちゃんが産道を通過できず緊急帝王切開となることがあります。

BMI*の値が18.5未満の女性においては、早産や赤ちゃんが低体重状態での出産となるリスクが高まります。一方、BMIの値が25以上の場合にも、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、帝王切開での分娩となる可能性が高くなります。

*BMI:Body Mass Indexの略。[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出され、低体重や肥満の指標とされる。

妊娠前から高血圧糖尿病、腎臓や心臓の病気を持っていた場合や、妊娠中に特定の感染症(風疹梅毒肝炎など)にかかった際もトラブルが発生するリスクは高まります。

当院では、上記のようなトラブルに対して、必要であれば他科と連携しながら、予防、早期対応に努めています。また、妊娠中から出産後まで、助産師が介入したサポートも行っています。

当院は24時間の救急対応が可能です。お母さんの状態が急変した場合には救急部と、赤ちゃんの状態が急変した場合には、24時間院内待機している小児科医と連携して対応します。また、妊娠前から病気があったり、妊娠中に合併症を発症したりした場合には、内科や心療内科、臨床心理士と連携を取ることができます。

このように、“総合病院”として、他科がバックアップをしてくれる体制こそ、当院の強みだと考えています。

病気以外の面でも、妊娠期間中から出産後まで、さまざまな不安を覚える場面は多いと思います。当院では、少しでも安心して出産から育児までを行っていただくために、サポート体制を整えています。

 “パパ・ママ安産教室”では妊娠中や出産に際する予習を行います。妊婦健診時には、都度助産師との面談の場を設けているほか、妊娠後期には助産師のアドバイスの下、バースプラン*の作成を行います。

加えて、特徴的なのが、産後ケア入院です。産後ケア入院を通して、助産師が支援をしながら、育児に慣れていただくという目的があります。育児のさまざまな場面に不安のある方や、家庭内のサポートが不十分な方などに、授乳行動や生活面でのアドバイスなどを行います。

生後6か月未満の赤ちゃんとそのお母さんが対象となり、ショートステイ(1泊2日~)とデイケアをご用意しています**。なお、産後ケア入院は杉並子育て応援券が使用可能です。杉並子育て応援券の詳細は杉並区のウェブサイトをご覧ください。

*バースプラン:出産の計画。実際に出産に向けて入院となってから、出産が終わるまで、どのように過ごしたいか、誰にどのようなことをしてほしいか、といったことを具体的に考える

**産後ケア入院は自由診療となります。1泊2日の入院の場合、個室では66,000円(税込み)、2人部屋で55,000円(税込み)、デイケアは1日あたり15,400円(税込み)かかります(2020年1月時点)。また、助産師は医療免許を持たないため、診療行為を行うことはできません。そのため、個別の診療が必要な場合には、あらためて医師の診察を受ける必要があります。

出産に際して、必要以上に心配する必要はありませんが、誰もが何事もなく出産まで至るわけではないということも、また事実です。医師や助産師をはじめとしたスタッフも全力で皆さんをサポートしたいと考えていますが、より安全な出産にするためには、何よりも妊婦さんご本人や、その周囲の方々のご協力が不可欠です。母子共に元気に出産を終えることを1番の目標に、一緒に妊娠から出産までを乗り越えられればと思っています。

また、出産は大きなライフイベントでもありますので、出産経験の有無とは関係なく、不安を抱くのも当然のことだと思います。不安や疑問があれば、遠慮なく主治医や助産師に相談してください。

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