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“症状が出ない”未破裂脳動脈瘤を早期発見するために。検査の重要性とは?

“症状が出ない”未破裂脳動脈瘤を早期発見するために。検査の重要性とは?
石原 正一郎 先生

埼玉石心会病院

石原 正一郎 先生

目次
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脳動脈瘤は、脳の血管に発生する膨らみです。膨らみが大きくなるにつれて血管壁は薄くなり、やがて血圧に耐えられなくなると破裂し、くも膜下出血を引き起こすことがあります。瘤が破裂する前段階のものを未破裂脳動脈瘤、破裂したものを破裂脳動脈瘤と呼びます。未破裂脳動脈瘤の段階では頭痛などの症状がほとんど出ないため、一定の年齢を超えたら脳ドックなどの検査を受けることが大切です。今回は未破裂脳動脈瘤と破裂脳動脈瘤の病態の違いと共に、症状の現れ方および検査の重要性について解説します。埼玉石心会病院の石原 正一郎(いしはら しょういちろう)先生にお話しいただきました。

脳動脈瘤が破裂する前のものを未破裂脳動脈瘤、破裂したものを破裂脳動脈瘤と呼びます。私がまず皆さんにお伝えしたいことは、脳動脈瘤は“未破裂”状態と“破裂”状態に分けて病態を考える必要があるということです。

一般的に、脳動脈瘤の代表的な症状には頭痛や吐き気、手足のしびれなどが挙げられています。しかし、これらは脳動脈瘤が破裂してから起こる症状であり、未破裂脳動脈瘤の段階では、頭痛や吐き気といった症状はほとんどみられません。裏を返せば、目立った症状がないことが未破裂脳動脈瘤の特徴ともいえるでしょう。

例外的なケースとして、目を動かす神経(動眼神経)の付近で脳動脈瘤が発生して大きくなった場合は、神経に瘤が触れることによって目の主軸がずれてしまい、眼球が思うように動かせなくなったり、ものが二重に見えたり片方のまぶたが下がるといった症状が生じることがあります。

なお、上記のような動眼神経の症状が現れた場合、病気がかなり進行して脳動脈瘤が破裂寸前まで大きく膨らんでいる可能性があります。万が一目の動きに異変が生じたり、ものの見え方に違和感を抱いたりしたときは、速やかに病院を受診してください。

破裂脳動脈瘤は、その名のとおり脳動脈瘤が破裂した状態で、くも膜下出血をきたします。破裂脳動脈瘤に伴うくも膜下出血の代表的な症状は突然の激しい頭痛です。このほか、吐き気、手足のしびれが現れることもあります。症状の程度には個人差がありますが、急激な頭痛によって意識を失い、昏睡状態に陥る方もいらっしゃいます。

一般の方の中には、普段からときどき頭痛があるため自分には脳動脈瘤があるのではと思っている方がいらっしゃいますが、脳動脈瘤は破裂しない限り通常、症状はないのが特徴です。急に起きる激しい頭痛が破裂した際の症状です。

脳動脈瘤の大きさと破裂リスクは関係するのか

未破裂脳動脈瘤の破裂率は年0.95%(2012年のUCAS Japanの調査結果に基づく)と高くはありませんが、条件によっては破裂リスクが上昇することが知られています。

統計的には、脳動脈瘤の大きさが7mmを超えると破裂率が上がるとされています。ただ、脳動脈瘤の破裂率は瘤の発生した場所や形にも影響されるため、一概に「何mmになったら破裂する」と述べることは難しいです。7mm以上大きくなっても破裂しないケースもあれば、非常に小さなサイズで破裂してしまうケースもあります。脳の血管は木の枝のように根本が太く枝分かれして細くなります。同じ5mmの脳動脈瘤でも末梢の細い血管にあれば、近位部(体幹に近いほう)の太めの血管に発生した5mmの動脈瘤よりも相対的に大きめの脳動脈瘤と同じとなり、その分脳動脈瘤壁が薄く引き伸ばされており、破裂しやすいだろうと予想されます。また、世の中でいわれているさまざまなデータはあくまでも統計学的に分析された結果であり、一人ひとりの脳動脈瘤に対して示されているものではないため、患者さん個人個人の一つひとつの脳動脈瘤に対して検討が必要です。

破裂脳動脈瘤に伴うくも膜下出血の死亡率と後遺症のリスク

過去の統計では、破裂脳動脈瘤を起こした方のうち約3分の1が、早期に初回に死亡しているというデータが示されています。医療機関はできる限り早期救命に努め破裂脳動脈瘤による死亡率を下げること、迅速な治療によって術後の後遺症を最小限に抑えることを目指し、注力することが求められています。

ただし、統計データはあくまで理論上の数値です。たとえば、脳動脈瘤が破裂した時点で緊急事態に気付いてくれる方が周囲にいたかどうかによっても、救命率や後遺症が残る確率は変わってくるでしょう。日々診療をしながら感じることは、たとえ初期治療により救命できたとしてもその後の後遺症にはさまざまな程度があるということです。一見お元気で、くも膜下出血になられたことさえ疑うような方もいらっしゃいますが、集中力が低下していたりときどき記憶が飛んだりといった、ご本人にしか分からないような高次機能障害が残る場合も多く、日常生活に戻れても以前とまったく同じような生活や職場に戻れる人は多くありません。やはり、くも膜下出血は重篤な病気であることを痛感しています。

脳動脈瘤の発生リスクを高める大きな要因の1つは、家族歴です。遺伝的に血管壁の細胞組織が弱い箇所があると、その部分から血管が少しずつダメージを受けて膨らみが生じ、脳動脈瘤をきたしやすいことが分かっており、同一家系に脳動脈瘤を発症した方がいらっしゃる場合は注意が必要です。親、きょうだい、子ども、孫、おじ、おばなどの血縁関係がある方は要注意です。そのほか、高血圧の方、喫煙する方は動脈硬化の発生リスクが高いことから、脳動脈瘤の発生リスクも高いといわれています。

また、破裂脳動脈瘤からくも膜下出血を起こす好発年齢は男性が50歳代、女性が70歳代といわれています。遺伝的に血管壁が弱い場合でも、若い頃は血管壁の弾力性が高いため、脳動脈瘤が発生するリスクはあまり高くありません。ところが、40歳を超える頃になると、加齢と共にダメージを受けてきた血管壁の脆弱な部分が少しずつ膨らんできて、未破裂脳動脈瘤が発生することが多いのです。大多数の脳動脈瘤は突然拡大することはなく、発生から数年単位の時間をかけて徐々に拡大していきます。なかには拡大せず、破裂しないままのタイプの脳動脈瘤もあります。ただし、未破裂脳動脈瘤が破裂するまでの年月や破裂のタイミングには個人差があります。

脳血管の状態は詳しく検査をしてみなければ分からないため、自覚症状のないまま未破裂脳動脈瘤が大きくなり、ある日突然瘤が破れて(破裂脳動脈瘤くも膜下出血をきたすというケースもゼロではありません。リスク因子を持つ方や年齢が40歳以上の方は、定期的に脳ドックなどの検査を受けて脳血管の状態を確認することが重要です。血縁関係の親族に脳動脈瘤がある人がいたり、破裂してくも膜下出血になった方がいたりするご家族には、できれば30歳ぐらいになったら一度脳ドックで確認し、もしその時点ではっきりとした動脈瘤が見つからなくても、5年に一度脳ドックで確認をしながら65歳くらいまでは見張っていくことをおすすめしています。脳動脈瘤は加齢に伴い発生する病気ではないため、70歳を過ぎてから初めて脳動脈瘤が発生する方は非常に少ないと思います。

脳動脈瘤の診断には、主にMRA(MRIの装置で撮る血管画像)、3DCTA(CT装置で造影剤を静脈注射して撮る3Dの立体画像)、脳血管造影検査(カテーテルを用いた脳血管の精密検査)などがあります。外来ではMRAまたは3DCTAで検査を行い、治療が必要な方やMRAや3DCTAで分かりにくい場合には入院検査である脳血管造影検査を行います。脳ドックでは主にMRAを用いて脳動脈瘤の検討をします。

当院では未破裂脳動脈瘤が発見された患者さんに対して、定期的に3D画像診断を含めた評価を行い、その結果から総合的に治療方針を決定しています。

当院の場合、フォローアップ期間中に3D画像診断の検査を行う頻度は、最初の2年間は半年に一度、その後は1年に一度が標準的なスケジュールです。前項でも少し触れましたが、脳動脈瘤は短期間でどんどん拡大するのではなく、しばらくの間変化なしという状態が続き、あるとき突然一気に大きくなるという場合がよくあります。検査と検査の期間にある程度の幅がないと、前回の検査で確認した瘤の大きさと今回確認した瘤との大きさの差が比較できないため、一定の間隔を空けて検査を行うことが大切です。一方で、検査と検査の間が大きく空きすぎると、いつ脳動脈瘤が拡大したのかを判断することが難しくなってしまいます。このような理由から、未破裂脳動脈瘤のフォローアップを開始して最初の2年間は、少し短い期間である半年毎に検査を受けていただきます。2年間脳動脈瘤の大きさに変化がないことが確認できたら、検査の頻度を1年に1回に延長し、経過観察を継続します。

なお、フォローアップの頻度は一人ひとりの患者さんの血圧管理の状態や健康状態などによって異なる場合があります。血圧が安定していない方などは慎重な対応が必要なため、2年以上瘤の大きさに変化がない場合にも、半年おきに検査を受けていただいています。

脳動脈瘤の破裂を防ぐためには、症状のみられないうちから脳ドックなどの健診を受けて、自分の脳血管の状態をきちんと調べておくことが重要です。当院ではMRI装置を用いて、まず動脈瘤があるのかないのかを判定できる精密画像を神経放射線科の医師が読影しています。

なお、MRI検査は強い磁気を利用して画像を映し出すため、ペースメーカーなどの金属類が入っている方は検査を受けられない場合があります。また、狭くて暗い装置の中で安静にしていなければならないため苦手な方は注意が必要です。

【埼玉石心会病院 脳ドックの費用】

  • 基本検査(頭部MRI・MRA検査):25,000円
  • オプション(頸動脈エコー、VSRAD検査):各2,500円

※基本検査は小学校高学年以上の方が対象

※VSRAD検査は55歳以上の方限定

※税込価格

検査の結果、未破裂脳動脈瘤が発見された場合には、当院では私の脳動脈瘤専門外来で状況や治療法、対策などについて詳しくお話しするようにしております。

当院脳ドックのURLはこちら

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