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院長インタビュー

“患者さんにやさしい治療”の提供をめざす北海道大野記念病院

“患者さんにやさしい治療”の提供をめざす北海道大野記念病院
大川  洋平 先生

社会医療法人 孝仁会 北海道大野記念病院 院長・心臓血管センター長

大川 洋平 先生

目次
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社会医療法人 孝仁会 北海道大野記念病院(以下、北海道大野記念病院)は、2016年に札幌市西区に開院した高度急性期病院です。“患者様が安心してかかれる、患者様を安心して預けられる病院”を基本理念とし、患者さんへの負担が少ない医療の提供を目指しています。病院長である大川 洋平(おおかわ ようへい)先生に、北海道大野記念病院の取り組みや展望についてお話を伺いました。

北海道大野記念病院の外観
北海道大野記念病院の外観

当院は、二つの社会医療法人が合併して、2016年に開設されました。ひとつが“孝仁会(釧路孝仁会記念病院)”、もうひとつが“碩心会(心臓血管センター北海道大野病院)”です。

開院以来、主にがん脳卒中・心臓病の三大疾病の治療と、運動機能疾患を対象とした高度急性期医療に注力しています。

運動機能疾患に積極的に取り組むのは、高齢の患者さんの増加と向き合うなかで、無視できない疾患であるためです。高齢の患者さんの病状は複雑化しやすいため、できるだけ一貫して治療できる環境を提供していきたいと考えています。

一般的ながんの治療としては、三大療法と呼ばれる“手術療法”、“放射線治療”、“化学療法(抗がん剤)”や、がん免疫療法などが知られています。当院では、これらの治療を単独で行うだけにとどまらず、複数の治療を効果的に組み合わせる“集学的がん治療”を提案し、根治を目指した医療環境を整えています。

当院では治療にあたり、サイバーナイフやトモセラピー、MRIガイド下集束超音波治療器など、“切らずに治す”医療機器を導入しています。MRIガイド下集束超音波治療器は、メスだけでなく放射線も使用しない治療機器のため、被ばくの心配もありません。

また、より正確で安全な手術を実現するために術中MRIやO-arm、IVR-CTなどの装置や、ハイブリッド手術室の整備などにも力を入れています。

手術支援ロボットのダヴィンチに関しては、従来のモデルよりも緻密な動きを目指し、アームや内視鏡などに改善が加えられた、より新しい世代のモデルを導入しています。

当院では、一人ひとりのがん患者さんに適した放射線治療を行うために、“札幌高機能放射線治療センター”を設置しています。

札幌高機能放射線治療センターでは、先述したサイバーナイフやトモセラピーを用いた放射線治療や、粒子線による陽子線治療などを実施しています。病巣のある部位などによって医療機器を使い分け、正常な組織へのダメージを軽減するなど、従来よりも副作用や負担の少ない治療を目指しています。

サイバーナイフとは

サイバーナイフとは、定位放射線治療装置の一種であり、病巣にピンポイントで放射線を照射することが可能という特徴を持っています。サイバーナイフのロボットアーム先端には、小さな放射線治療装置がついており、ここから細い放射線ビームが照射されます。ロボットアームは可動域が広く、病巣の位置などに応じて自在に動かせるため、正常な組織への放射線によるダメージを抑えることができます。

トモセラピーとは

トモセラピーとは、治療用ベッドに横になり、ドーナツ型をした回転する輪(ガントリー)の中で放射線治療を受けていただく装置です。照射する放射線量を変えられる強度変調放射線治療用の装置であり、いびつな形状の腫瘍などに対しても用いることができます。ガントリーの中には画像装置も搭載されているため、腫瘍の形状を正確に捉えて、集中的に高い線量の放射線を照射することが可能です。

陽子線治療とは

陽子線治療とは、体の奥深くにある病巣に、陽子線(放射線の一種)を集中的に照射することを目指した、放射線治療の一種です。陽子線は、一定の深さに達したときに線量が最大になる現象(ブラックピーク)を起こして止まる性質を持っています。このような性質を利用し、多方向から低い線量での照射を行い、病巣で高い線量を放出させる治療が陽子線治療です。一般的に知られる陽子線治療のリスクとしては、腫瘍付近の正常な組織へのダメージが挙げられます。そこで当院では、ペンシルビームと呼ばれる5mmほどの細い陽子線ビームを、腫瘍の形に合わせて当てています。ペンシルビームを高速で腫瘍の層ごとに当てる照射方法により、副作用を可能な限り抑えることを目指しています。

陽子線治療の治療費用においては、公的保険診療あるいは自由診療、また治療部位により異なります。日本人向け自由診療の場合には319万円(290万円+税)からとなります。

陽子線治療室の様子
陽子線治療室の様子

脳外科においては、アメリカなど他国でも活躍されている脳神経外科医の福島(ふくしま) 孝徳(たかのり)先生に、年に数回お越しいただき手術を行っていただいています。

当院の“福島孝徳脳腫瘍・頭蓋底センター”では、福島先生や米国デューク大学で福島先生の指導を直接受けた入江(いりえ) 伸介(しんすけ)先生によって、頭蓋底疾患や下垂体、脳幹部、脳室内の病変、脳腫瘍、複雑な脳血管手術などの多岐にわたる診療を行っています。

福島先生の手術法は、小さい範囲の開頭で手術を行うことが特徴であり、術後の早期回復や負担の軽減が期待できます。

狭心症心筋梗塞などの循環器疾患に対しては、主にカテーテル治療を行っています。

また、手術支援ロボット・ダヴィンチを用い、出血量などを減らして負担を抑える心臓手術も実施しています。

2015年12月には、心臓弁膜症大動脈弁狭窄症)の新たな治療法、経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)を行える施設として前施設で認定を受け、北海道大野記念病院となった今も継続して実施しております。TAVIはカテーテルを使って、開胸することなく人工弁を心臓に装着するため、心臓を止めずに済むこともあり、患者さんの体への負担を軽減できます。

ご高齢の患者さんで、加齢による体力低下や同時に抱えているほかの疾患のリスクから外科的手術が困難な場合には、新しい治療の選択肢としてTAVIを提案しています。痛みや出血などが少ないため、入院期間の短縮が期待できる点も特徴です。また近年では、狭い範囲の皮膚切開をもって心臓手術を行う小切開心臓手術MICS)が普及しています。当院でも新しい技術をいち早く取り入れるべく、2012年からMICSを行っています。

脳神経外科医としての専門性

背骨の変形などを治療する脊椎脊髄分野では、体への負担がより少なく、より安全な手術を目指して、診療科全体で技術の強化を図っています。現在、日本脊髄外科学会から認定されている脊髄外科指導医のもと、日本脳神経外科学会から認定されている脳神経外科専門医が、皮膚に大きな切開を加えない、内視鏡を使った手術に力を入れています。特に、椎間板ヘルニアなどに対して行う内視鏡下椎間板摘出(切除)術に注力しており、今後は、この術式の適応部位を増やしていくことを目標のひとつとしています。

多様な術式を取り入れ、患者さんに合わせた治療を提供

このほかにも、一般的な脊椎疾患に対してさまざまな術式を実施しており、一人ひとりの患者さんの状態や背景に応じた方法を選択しています。

たとえば、脊柱管狭窄症などによって歩行に支障をきたしている患者さんには、椎弓切除術などを行うこともあります。

また、手足のしびれや運動障害などが生じることの多い頚椎症性脊髄症や後縦靭帯骨化症などの治療には、椎弓形成術を用いています。ほかにも、椎間板ヘルニアや後縦靭帯骨化症の手術後*に、脊椎固定術を追加することがあります。

*脊椎脊髄分野では、前方アプローチ、後方アプローチどちらも行っています。

当院では、三大疾病といわれるがん・心臓病・脳卒中を中心とした病気の早期発見や予防につなげるために、高度健診センターの設置を行いました。高度健診センターでは、心臓の冠動脈CTや脳のMRI、PET–CTなど幅広い検診を行っています。当院の今後の使命は、こうした予防医学の分野に力を入れ、健康を守るためには検診が重要であることを地域の方々に広く伝えていくことだと考えています。そのために、人間ドックを充実させるなど、高度健診センターの存在価値を高めていく施策が必要であると感じています。現時点でも、皆さんの生活スタイルやご希望に合わせた複数の人間ドックや検診をご用意していますので、病気の早期発見や予防のためにも、ぜひご利用ください。

当院では、医師による一般の方向けの乳がん講座など、地域の方々への啓発活動を定期的に行っています。特に長く続けているのは、学生の方を対象とした医療セミナーです。2017年10月には札幌市内の30名の高校生を対象に、9回目となるセミナーを開催しました。

屋上のヘリポート見学をはじめ、縫合・糸結び体験、BLSの実技講習などを行った後、実際の医療機器を使って手術などの模擬体験をしてもらいます。

心臓血管ステント模擬体験や末梢動脈ステント留置の模擬体験、手術室で心臓手術の模擬体験、ダヴィンチのデモンストレーション、放射線治療のプランニングなどを行い、最後には修了証をお渡ししています。

これまでに当院の医療セミナーに参加された生徒の方の中には、医療従事者を目指して大学などに進学された方もいると伺い、とても嬉しく思っています。

当院は、地域の方々の緊急時に頼っていただけるよう、高度急性期病院として24時間365日、救急患者さんを受け入れています。当院の理念としても掲げている“患者様が安心してかかれる、患者様を安心して預けられる病院”となるべく、スタッフ皆が一丸となり、常によりよい医療の提供を目指し続けています。不安なことや困ったことがあった際には、いつでもご相談ください。

若手医師の皆さんには、夢や目標を持って、前向きに挑戦してほしいです。小さな目標でも少しずつ努力し、達成したらまた次の目標を見つけるというように、次のステップへ進もうとすることで、自分の経験を増やすことにもつながります。このように、常に自ら目標を設定し、自分を磨きながらたくさんのことを経験していってほしいと思います。

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