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“手がふるえる”は本態性振戦という病気のサインかも? 症状と治療について

“手がふるえる”は本態性振戦という病気のサインかも? 症状と治療について
津川 隆彦 先生

医療法人偕行会 名古屋共立病院 副院長(集束超音波治療センター・センター長 名古屋放射線外科セ...

津川 隆彦 先生

若林 俊彦 先生

名古屋共立病院 集束超音波治療センター 顧問

若林 俊彦 先生

目次
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ほかの病気など特定の原因がなく“ふるえ”のみが症状として現れている状態を、本態性振戦(ほんたいせいしんせん)といいます。原因となるような病変がないのに、なぜふるえが起こるのでしょうか。また、こうしたふるえに対してどのような治療法があるのでしょうか。

今回は、名古屋共立病院 集束超音波治療センター センター長 津川 隆彦(つがわ たかひこ)先生、名古屋共立病院 集束超音波治療センター 顧問 若林 俊彦(わかばやし としひこ)先生に、本態性振戦の症状の特徴や治療についてお話を伺いました。

津川先生:

ふるえは、体の一部が自分の意思とは関係なく規則的に動いてしまう状態(振戦(しんせん))です。また、本態性(ほんたいせい)とは医学的に“原因がはっきりしない”という意味を持ちます。つまり本態性振戦とは、問題となるようなはっきりした原因がなく、ふるえが現れる病気です。基本的な症状はふるえのみで、ほかの症状はありません。

津川先生:

本態性振戦は高齢の方に多くみられる病気です。報告によってその数にばらつきがありますが、人口の2.5%から10%とされています。40歳以上では4%、65歳以上では5~14%以上の方に本態性振戦がみられたという報告があります。

また、患者さんの年齢分布でみると、20歳代と60歳代の二つの年代に山があるとされており、若い方でも本態性振戦になることがあります。

津川先生:

本態性振戦のふるえは、何か動作をするときや、一定の姿勢をとったときに現れることが特徴です。重症の場合などを除いて、基本的に安静にしているときにふるえはなく、コップで水を飲む、箸を使う、字を書くなどの動作をするときにふるえが現れます。頭にふるえが生じる場合もあります。

津川先生:

本態性振戦のふるえは両側の上肢(肩から先の指先まで)にみられることがもっとも多いですが、頭や声、まれに下肢にも起こります。ふるえの程度には個人差がありますが、最初からとても大きくふるえるということは少ないです。多くの場合、指だけが少しふるえるような症状から始まり、時を経るにつれてふるえが大きくなります。また、最初は片手だけだったのが、やがて両手にふるえがみられるなど、病気の進行に伴って症状の悪化がみられることが多いです。

津川先生:

本態性振戦は、精神的に緊張するとふるえが強くなるという特徴があります。たとえば、人前で字を書くときにふるえがより強く現れたり、自宅よりも外で食事をするときのほうが手のふるえが大きくなったりします。

また、お酒を少量飲むとふるえの程度が一時的に軽くなることがあります。

津川先生:

本態性振戦がどのようにして起こるのかはいまだに不明です。ただし現時点では、大脳皮質、小脳、大脳基底核などの運動調節に関わる中枢神経ネットワーク内に何らかの異常が生じるために、ふるえが生じているのではないかと考えられています。そのため、この中枢神経ネットワークの中にある視床腹側中間核(Vim核)に対して、治療を行う方法が実施されるようになりました。

津川先生:

本態性振戦の治療では、最初から手術を選択するということはありません。ふるえによる日常生活への支障がない場合は、日常生活の工夫に関する指導などを行います。そのうえで、患者さんがふるえで困っている場合には、症状の程度やふるえの部位などに応じて治療を行います。

津川先生:

治療を行う場合、まずは薬を投与して様子を見ます。薬物療法で用いられる代表的な薬剤は、交感神経遮断薬や抗てんかん薬などです。交感神経遮断薬のうち、本態性振戦に対し日本で保険適用となっているのはアロチノロール塩酸塩だけです。抗てんかん薬ではプリミドンなどが使われています。これらの薬を使用してもふるえの症状が軽快しないなどの場合、精神安定剤や抗不安薬を投与する場合もあります。

津川先生:

手術療法には高周波凝固術(Radiofrequency Thermocoagulation:RF)と脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)の二つがあります。高周波凝固術(RF)は、脳深部の視床腹側中間核(Vim核)に凝固針を刺入して高周波で熱凝固させる方法です。脳深部刺激療法(DBS)では、同じ部位に対し電極を留置して電気刺激を与え、振戦(ふるえ)に関わる脳内の異常信号を調整します。いずれの場合も頭蓋骨に穴を開け、脳に凝固(電極)針を刺入する外科的な手術が必要です。

集束超音波治療(FUS)を行う津川 隆彦先生(写真左)と若林 俊彦先生(写真右)
集束超音波治療(FUS)を行う津川 隆彦先生(写真左)と若林 俊彦先生(写真右)

津川先生:

集束超音波治療(Focused Ultrasound Surgery:FUS)は、手術を必要とせず、頭蓋の外側から照射した超音波を頭内部の視床腹側中間核(vim核)に集中させ、同部位を熱凝固させる治療です。2019年6月より、本態性振戦に対して保険承認され、新しい治療法として注目されています。詳細は、こちらのページをご覧ください。

津川先生:

積極的な治療を検討するにあたっては、“患者さんが困っているかどうか”という点が重要であると考えます。ふるえそのものは命に関わる症状ではないので、患者さん自身の生活に支障がなく、心理的な負担もない場合には、すぐに治療を開始せずに様子を見ることもあります。

しかし、症状が進んでくると、字が書けなくなったり、食事を取ることが非常に困難になったりします。症状の進行によって、生活の質(QOL)が大きく低下するようであれば、治療をしたほうがよいと判断します。また、現状ではある程度生活ができていても、人前でふるえを見られたくないなど、心理的な負担が強いことを理由に治療を望む患者さんもいます。「日常生活に支障があるのでなんとかしたい」、「人前で気兼ねなく食事がしたい」など、患者さん自身の希望を叶えるために積極的な治療を行うこともあります。

津川先生:

本態性振戦は、パーキンソン病など、ほかの病気との鑑別に注意が必要です。ふるえの原因がほかの病気であった場合には、本態性振戦に適応される治療をしても効果が得られない可能性があります。複数の医師で診察して確実に診断すること、そして、本当に適応がある患者さんに対して治療をするということが大事です。

当院では2020年4月現在、パーキンソン病との鑑別に用いられるドーパミントランスポーターシンチグラフィ(DaT SPECT)という特殊な検査を含めた多角的な評価を、連携先である名古屋大学医学部附属病院の協力の下で行っています。また、治療法に関しても、FUSだけでなくDBSやRFなどの手術療法も含め、合同でカンファレンスを実施したうえで適応を決めています。名古屋大学医学部附属病院との連携により、治療の妥当性や患者さんが希望する治療の適応となるかどうかをより正確に判断できると考えています。

若林先生:

FUS治療を行うことで、ふるえで困っている方々が通常の生活を取り戻せる可能性があります。これからも、本態性振戦という病気があることや、病期の診断とFUSによる治療に関する情報を広く伝えていくことが大切であると考えています。

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