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心臓弁膜症の治療——適切な時期に手術を受けることの重要性

心臓弁膜症の治療——適切な時期に手術を受けることの重要性
土田 隆雄 先生

医療法人春秋会城山病院 心臓血管センター センター長(心臓血管外科)

土田 隆雄 先生

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心臓弁膜症は初期症状に気がつきにくく、加齢に伴うものだと勘違いしてしまいやすい病気です。しかし、悪化すると命に関わる可能性があるため、できるだけ早く病気を発見することが大切です。城山病院 心臓血管センター センター長の土田(つちだ) 隆雄(たかお)先生は、心臓弁膜症の早期発見の重要性を伝えるとともに、患者さんが適切な時期に手術を受けて心臓の機能を維持できるよう、丁寧な説明や、手術後のフォロー体制にも力を注がれています。

今回は、心臓弁膜症の手術を適切な時期に行う重要性について、土田先生にお話を伺いました。

心臓弁膜症に対する外科的治療を行う際は、治療の内容を適切に選択することはもちろん、どのタイミングで手術を受けるかということも重要です。

記事1『心臓弁膜症とは? 発症のしくみを詳しく解説』でも述べましたが、心臓弁膜症は自然に回復することはありません。特に、心臓弁膜症の1つである大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)は、症状が現れてから2~5年の間に亡くなってしまうことが多いといわれています。心臓弁膜症の治療では、手術のタイミングが遅くなることは、できるだけ避けなくてはなりません。

それでは、手術は早ければ早いほどよいといえるのでしょうか。

記事2『心臓弁膜症の治療——弁置換術と弁形成術の選択について』でお伝えしたとおり、心臓弁膜症には弁置換術や弁形成術という手術を行います。たとえば弁置換術で、異常のある弁を生体弁に入れ換えた場合、その耐久性が問題となります。生体弁は10~20年が寿命といわれており、生体弁が機能不全に陥った場合、再手術することが必要です。つまり、必要以上に早い段階で生体弁に入れ換えた場合、2回目の手術の時期はその分前倒しとなってしまうのです。

手術のタイミングが早まることによって、患者さんのその後の人生における大事なイベントに影響が及ぶ可能性もあります。患者さんの人生設計やご希望も踏まえて手術の時期を検討することが大切です。

手術を受ける正しい時期を見逃さないために、心臓弁膜症の診断をされた後は、定期的に検診を受けていただく必要があります。医師が経過を観察することにより、「そろそろ手術を行いましょう」と提案することが可能です。

心臓弁膜症は自然に治る病気ではありませんので、きちんと定期検診を受けていただければと思います。

心臓弁膜症のしくみを解説する土田先生
心臓弁膜症のしくみを解説する土田先生

心臓弁膜症の治療に携わっていると、患者さんの状態によっては「あと1年でも早く治療を始めていれば、元気になって社会復帰できたかもしれない」と考えてしまうことがあります。

初めてお会いする患者さんがすでにかなり悪い状態で、治療を始めたものの救うことができなかった、という経験が続いたことがあります。その方々は、薬の効きが悪く、心臓もほぼ動いていない、手術しか手立てはないけれど負担に耐えられるか分からない、という状態になって初めて手術を受けたのです。最初にお話を聞いたとき、今までに心臓弁膜症の可能性を指摘されていたにもかかわらず、症状を年齢のせいだと思って放置していた、という方もいらっしゃいました。

この経験を通して、心臓弁膜症の早期発見の重要性を、もっと多くの方に広める必要があると痛感したのです。

心臓弁膜症は、息切れや動悸といった症状がじわじわ現れ、病気だと気付かないことが多いという側面があります。患者さんからも、「神社の長い階段を登っても、自分だけ息切れして登れなかった。運動不足だと思っていたら心臓弁膜症だった」といったお話をよく聞きます。患者さん自身に、少しでも早く異変に気付いてもらうことが重要です。

しかし、「異変を感じて、最初に一般内科を受診したときに利尿剤が処方され、飲んでみると症状が軽くなったのでそのままにしておいた」という方もいらっしゃいます。利尿剤は確かに心臓の負荷を和らげることはできますが、弁膜症は自然には治らないということに変わりはなく、進行するとやはり手術が必要になります。病気をできるだけ早く発見するとともに、医師とよく相談したうえで治療を開始することが大切なのです。

私自身も、今後あらためて、心臓弁膜症の早期発見を促せるような取り組みに力を注いでいきたいと考えています。

私は、現在勤務している城山病院において、地域で暮らす患者さんに対し、より近い立場で診療をしていきたいと考えています。

私自身は心臓血管外科の医師として、心臓弁膜症をはじめとする心疾患の手術について、患者さんやご家族へのご説明を担当する機会が多くあります。説明の席では十分に時間をかけて、必要な情報の提供や提案をするよう心がけています。特に、記事2『心臓弁膜症の治療——​​弁置換術と弁形成術の選択について』で述べた弁置換術や弁形成術の選択は、患者さんの手術後の生活にも影響が及ぶことですので、1時間以上かけてじっくりとお話しすることも少なくありません。

手術を終えた方に対しても、再発防止やほかの異変を早期発見するための定期的なフォローを、より近い場所で行えることを大事にしています。心臓弁膜症の場合、弁置換術や弁形成術の後に、再び弁に異常が起こり、再手術が必要になるケースもあるため、術後のフォローは欠かせません。

心臓血管手術を終えて命の危機を脱した患者さんは、全員が病気の“原因”を治せたわけではありません。心臓弁膜症をはじめとする心疾患は、動脈硬化不整脈が原因で発症することが多く、結果として弁膜症虚血性心疾患狭心症心筋梗塞(しんきんこうそく))が引き起こされるわけです。ですから、当院の外来では、原因となる動脈硬化や不整脈の悪化により病気が再発しないよう、食事指導や生活指導、お薬の調整などに重点を置いています。

患者さんにはかかりつけ医の先生がいらっしゃることも多いので、普段はそういった先生方に診ていただきながら、半年に1回や、1年に1回は、当院で精密検査を受けていただければと考えています。

私たちが「何か調子が悪いときは、すぐに相談しよう」と頼ってもらえる立場であり続けることが、患者さんの病気の早期発見と重症化の予防につながるよう、願っています。

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