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安心して出産を迎えていただくために――妊娠中の体の変化や注意するべきことを解説

安心して出産を迎えていただくために――妊娠中の体の変化や注意するべきことを解説
野口 里枝 先生

茨城西南医療センター病院 産婦人科

野口 里枝 先生

目次
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茨城西南医療センター病院は、茨城県の地域周産期母子医療センターとして、健康な妊婦さんからリスクの高い患者さんまで幅広く受け入れ、安心して出産を迎えていただくための周産期医療を提供しています。

同院の産婦人科で、“安全第一。安心して妊娠、出産をしてほしい”というポリシーのもと日々の診療にあたる産婦人科医の野口(のぐち) 里枝(りえ)先生に、妊娠中の体に起こるさまざまな変化や日常生活で注意するべき点、妊娠から出産までの流れについてお話を伺いました。

月経の予定日から1週間以上遅れたら、ご自宅にて市販の妊娠検査薬による検査を行いましょう。その際、妊娠反応が陽性と出た場合には、速やかに産婦人科を受診してください。

産婦人科では、超音波検査を行います。妊娠の有無に加えて、異所性妊娠(受精卵が卵管など子宮内膜以外の場所に着床すること)ではないかを確認します。異所性妊娠である場合、卵管破裂を起こし、母体が危険にさらされることもあります。このような理由から、早めの産婦人科受診を心がけていただきたいです。

写真:Pixta
写真:Pixta

妊娠すると、女性の体にはさまざまな変化が現れます。その中で多いものが、妊娠5~6週ごろから起こる“つわり悪阻)”です。つわりの症状は、吐き気、嘔吐、だるさ、眠気、頭痛、嗜好の変化など多様です。

この時期の胎児は小さく、母体が備える栄養で成長できるので、十分な食事が取れなくても大きな心配はありません。ただし、嘔吐の回数が多い、水分が取れないなど、症状が強い場合には点滴治療が必要となることもありますので、医師に相談しましょう。個人差はありますが、つわりの症状は12~16週ごろには自然に治まります。

妊娠に伴うホルモンバランスの変化によって、乳房が大きくなる、乳頭や乳輪などに色素沈着が見られることがあります。また、妊娠性肝斑(かんぱん)と呼ばれるシミが頬にできることもあります。

妊娠中、全身の血液量は増加し、さらに血液を全身に送るために心拍数も増加します。動悸や息切れを感じやすくなるのは、このためです。また、胎児の成長や出産に備えて骨盤が緩みます。胎児が大きくなるにつれ、骨盤は反り返り、全身を支えるために背骨のカーブがきつくなります。このような理由で妊婦さんは腰痛になりやすいため、必要に応じて妊婦用のベルトで骨盤を支え、腰の負担を減らしましょう。

大きくなった子宮に横隔膜が押し上げられることで、腹式呼吸から胸式呼吸になり、妊娠前より浅くて速い呼吸になります。また、子宮で膀胱が圧迫されて容量が小さくなることで、頻尿になりがちです。夜間にトイレで目が覚めることも増えるでしょう。

妊娠中の腸は動きが鈍くなりますが、さらに子宮に圧迫されることで便秘気味になったり、になったりすることがあります。また、血液やリンパの流れの悪化によるむくみや静脈の怒張(太くなり膨れ上がっている状態)、お腹の皮膚が急激に伸びることで現れる妊娠線などは、特に妊娠中に現れやすい症状です。

このように、妊娠中はつわりや腰痛などのつらい症状が出ることがありますが、大半は正常なことで、出産後には自然と体の変化も消失します。お困りのときには、医師や助産師にご相談いただければ幸いです。

妊娠が分かったら、喫煙と飲酒はやめましょう。

妊娠中の喫煙は、妊娠、出産、赤ちゃんの健康に悪影響を及ぼす可能性があり、低出生体重児流産、早産、常位胎盤早期剥離*などとの関連が報告されています。乳幼児突然死症候群(SIDS)**を引き起こす可能性も指摘されています。さらに受動喫煙を避けるため、妊娠が分かった時点で、家族全員の禁煙をおすすめします。

妊娠中の飲酒は、赤ちゃんの発育や脳の発達に悪影響を及ぼす可能性がありますので、妊娠中の禁酒はとても大切です。

コーヒーや緑茶に含まれるカフェインは、妊娠中必ずしも避ける必要はありません。1日1〜2杯程度のコーヒーに含まれるカフェイン量であれば問題ないといわれています。

*常位胎盤早期剥離:正常な位置に付着している胎盤が、分娩終了するより早い時期に剥がれてしまう病気

**乳幼児突然死症候群:事故や窒息などの明らかな予兆や既往歴がなく、乳幼児が突然死んでしまうこと

写真:Pixta
写真:Pixta

体重管理やリフレッシュのために適度な運動はおすすめです。転びやすいスポーツや激しい運動は避け、ウォーキング、水泳、ヨガなど、全身の筋肉を使う有酸素運動を行うことが望ましいです。ただし、切迫早産前置胎盤妊娠高血圧症候群などで医師に運動を止められている場合は控えてください。

車を運転する際には十分注意しましょう。妊娠中の体と赤ちゃんを守るために、正しくシートベルトを着用することが大切です。肩ベルトは胸の間を通してからお腹の側面へ通し、腰ベルトは腸骨のできるだけ低い位置を通して、お腹を圧迫しないようにしましょう。

妊娠しても仕事を辞める必要はなく、それまで通りに仕事をして問題ありません。ただし、妊娠中は急な体調の変化が起きやすく、切迫早産で自宅安静や入院となることもあります。経過が順調でも、妊娠による体の変化によって十分に働けないこともあります。そのため、通勤や勤務時間、仕事内容の調整(力仕事や長時間の立ち仕事を避けるなど)について、職場と相談しましょう。

一般的に、妊娠は15%前後の確率で流産となり、その8割以上が12週未満の時期で起こるといわれています。この時期を過ぎてから職場へ報告するのがよいかと思われますが、一方で、妊娠初期はつわりによる体調不良が起きやすい時期でもあります。勤務の調整が必要になる可能性もあるので、直属の上司には早めに話すなど、体調と相談しながら報告のタイミングを考えましょう。

妊娠経過が順調でも、突然の出血をはじめとするトラブルは誰にでも起こりえます。旅先ではすぐに医療機関を受診できず、対応が遅くなることも考えられます。万が一、切迫早産になると旅先での入院が必要ですし、早産になれば赤ちゃんも長期入院が必要となります。さらに海外では言葉の壁があり、日本と同等の産科医療が受けられるとは限りません。高額な医療費が請求されるケースもあります。

このように、妊娠中の旅行にはさまざまなリスクがつきものです。「赤ちゃんが生まれると忙しいから妊娠中にゆっくりと旅行したい」という気持ちは理解できますが、万が一、トラブルが起こり、母体や赤ちゃんが危険にさらされることを考えると、妊娠中の旅行はおすすめできません。どうしても必要がある場合には、まずかかりつけの医師に相談してみましょう。

写真:Pixta
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妊娠中も、基本的には毎日3食、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。

野菜、たんぱく質が豊富な肉、魚、大豆などを意識的に取り、塩分や糖分は控えめにすることが基本です。また、赤ちゃんの骨を作るために必要なカルシウムが豊富に含まれた乳製品はおすすめです。とはいえ、つわりの影響で理想的な食事を用意することが難しい期間は、“食べられるものを、食べたいときに、食べられるだけ” でかまいません。

生肉にはトキソプラズマ(寄生虫の一種)が、卵の殻にはサルモネラ菌が付着していることがあります。妊娠中にトキソプラズマに感染すると、赤ちゃんの脳や視力に障害を起こす可能性があります。また、サルモネラ菌は食中毒の原因となります。これらの理由から、肉と卵は十分に加熱をして食べましょう。

魚は、食物連鎖による水銀の蓄積に注意が必要です。しかし、極端にたくさん魚を食べるなどの偏った食事でなければあまり心配はありません。食べる魚の種類と量のバランスが大切です。

ナチュラルチーズなど非加熱の乳製品や生ハムなどの食肉加工品、スモークサーモンなどの魚介類加工品は、リステリア感染による食中毒の可能性があります。妊婦さんは一般の人より重症化しやすいため、これらの食材は避けたほうが安心です。

さまざまな注意点はありますが、過剰な摂取を避け、加熱すれば問題ないことが多いので、あまり神経質になりすぎず、バランスよく食事を取ることを心がけましょう。

産婦人科を受診し、妊娠を確認したら妊婦生活が始まります。妊娠8週ごろには分娩予定日を決定するので、市役所に妊婦届を提出し、母子手帳をもらいましょう。

妊婦健診の頻度は、妊娠初期~23週が4週間に1回、24〜35週は2週間に1回、36週から出産までは週1回です。里帰り分娩を行う場合、妊娠34週ごろには里帰り先に行きましょう。

当院では、月〜金曜の午前(9:00〜12:30)、木曜の午後(14:00〜16:30)に妊婦健診を行っています(2020年2月時点)。妊婦健診では、超音波検査、尿検査、血圧・体重測定に加え、血液検査を適宜行います。尿検査では尿たんぱくや尿糖をチェックし、妊娠高血圧症候群や妊婦糖尿病になっていないかを確認しています。血液検査では、母親の血液型や血糖値、感染症や貧血の有無などを調べます。もし妊娠中に母体や胎児に問題があることが分かり、さらに高度な医療が必要となった場合は、筑波大学附属病院などの総合周産期母子医療センターにご紹介させていただきます。

赤ちゃんの様子は、超音波(エコー)検査で確認します。胎児エコーのお写真は無料で差し上げており、USBメモリをご持参いただければ、エコー画像データのお渡しも可能です。

妊娠37週以降が正期産で、いよいよ出産間近です。経腟分娩では、陣痛や破水があったら入院し、帝王切開の場合には、決められた日に入院して出産するという流れになります。

当院では、妊婦健診に助産師も同席します。妊娠、出産に関して気になることをご相談いただけますし、初めての出産を控える方などの不安そうな様子に気付いたら、こちらから声をかけることもあります。皆さんに安心して出産を迎えてもらえるよう、疑問や不安を解消できるようなサポートを日々心がけています。

当院には、6名の産婦人科医がいます(2020年2月時点)。何かあれば相談し、よりよい方法を皆で考えられることが強みです。出産リスクが高い方の情報は、事前に小児科とも共有しています。合併症がある場合には、その分野に詳しい医師と連携を図ることもあります。身体的なリスクだけでなく、ご家庭の事情や経済的、社会的な問題を抱えている方なども同様に、必要に応じてソーシャルワーカーが妊娠中から介入し、サポートを行います。このように、産婦人科以外のスタッフとも妊娠中から協力することで、安心して出産を迎えられる環境を整えています。

妊娠や出産は、人生における一大イベントだと思います。喜びが大きい一方、初めての妊娠や出産では、不安も大きいと思います。妊娠中から出産、そして出産を終えた後も、切れ目ないサポートをすることで可能な限り皆さんを応援したいと考えていますので、不安なことや気になることがあれば、ぜひご相談ください。

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