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大腸がんの概要——症状や原因について

大腸がんの概要——症状や原因について
松原 長秀 先生

社会医療法人中央会 尼崎中央病院 副院長・消化器センター長、兵庫医科大学 特別招聘教授・臨床教授

松原 長秀 先生

目次
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大腸がんは、日本において、かかる確率の高いがんのひとつです。2018年のがんによる死亡者数の内訳を見ると、男性のなかでは第3位、女性では第1位が大腸がんというデータもあります。一方で、早期発見できた場合には、肝臓がん肺がんと比較すると、治る可能性が高いがんであるともいえます。

今回は、大腸がんの種類や症状、原因について、尼崎中央病院副院長 兼 消化器センター長の松原(まつばら) 長秀(ながひで)先生にお話を伺いました。

大腸がんとは、その名の通り大腸にできるがんを指します。大腸は全長1.5mほどある管状の臓器で、胃や小腸で消化・吸収を終えた食べ物などの残りかすから水分を吸収するという役割を担います。また、食べ物の残りかすは、水分が吸収されることで固形の便となります。この便をためておき、肛門から排出することも大腸の役割のひとつです。

ひとくちに大腸といっても、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸からなる結腸と、直腸S状部、上部直腸、下部直腸の直腸に分けられます。そして、大腸がんは腫瘍ができた位置によって、結腸がんと直腸がんのいずれかに分類されます。日本人の場合、S状結腸と直腸にがんが発生しやすいといわれています。

また、大腸がんの発生メカニズムは2パターンあります。その一つは、粘膜にできた腫瘍性のポリープが良性腫瘍(腺腫)から悪性化(がん化)するパターンで、多くの場合はこのメカニズムで発生します。もう一つは粘膜にある正常な細胞が直接がん化するというパターンで、あまり多くはありません。良性腫瘍が悪性化するパターンは、悪性化する前に腫瘍性ポリープを切除することで大腸がんの予防が可能です。

日本において、大腸がんと診断される方は1年間に約15万8千人いるといわれており、男女比では男性がややかかりやすい傾向にあります。また、年齢別にみると大腸がんにかかる方の割合は40歳代より増え始め、高齢になるほど増加していきます。

一般的に、大腸がんが早期の段階では、ほとんど自覚症状がありません。しかし、がんが進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

血便、下血

便に血が混じる(血便)、肛門から血が流れ出る(下血)といった症状はもっとも頻度が高いといえます。大腸のどの部位で出血が起きたかにより、血液の色や状態、便への混じり具合などは異なります。特にもともとのある方は、血便、下血が生じてもそのままにしてしまい、進行してから大腸がんだったと発覚する場合もあるため、注意が必要です。

腹痛

大腸がんが進行すると、腹痛が起こることがあります。これは大腸内でがんが大きくなり、便の通り道が狭くなることが原因といわれています。たとえば、何度も腹痛を繰り返す、ある特定の動作をすると腹痛が生じる、もしくはお腹の張りを伴うといった場合には、特に注意が必要です。

排便異常

大腸にがんができることによって、便の通りが悪くなると便秘になりますが、下痢状の便であれば排便が可能なため、水下痢や便秘が繰り返し起こることがあります。また、がんが大きくなることで便が大腸の中を通りづらくなるため、細い便が出るようになり、残便感が生じるという場合もあります。日ごろから自身の排便習慣に注意を向け、いつもと異なる様子がないか注意しておくことが大切です。

そのほかの症状

長期的にがんから出血が続くことで貧血を引き起こす可能性があります。また、がんは正常な組織と比較すると、より栄養を必要とするため、食事量を変えていないのにも関わらず、体重の減少が見られる場合は注意が必要です。そして、がんが進行すると腸が狭くなり、便の通り道を塞いで(腸閉塞)便が出なくなることで、嘔吐などの症状が現れることもあります。

大腸がんの諸症状は、がんができる部位によって、症状の種類や現れやすさが異なります。たとえば、盲腸、上行結腸、横行結腸などにできるがんは、がんが進行するまで症状が出にくい傾向があります。その理由として、まだ便の水分が十分に吸収される前であることから、排便異常を感じづらいということが挙げられます。症状として比較的現れやすいものは、がんからの出血による貧血です。一方、下行結腸、S状結腸、直腸などにできるがんは、血便や下痢、便秘、便が細くなるといった症状から発覚することが多いのが特徴です。

大腸がんの発症リスクを高める主な原因として、以下のような生活習慣が挙げられます。

食生活

特に牛、豚、羊などの赤肉とベーコン、ハム、ソーセージといった加工肉の過剰な摂取は、大腸がんの発症リスクを高めるといわれています。その一方で、食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取することで、大腸がんのリスクが下がるという報告もあります。

飲酒

飲酒も大腸がんの発症リスクを高める原因のひとつです。男性の場合、1日あたりの平均アルコール摂取量が46g以上(純エタノール量換算)になると、まったく飲酒をしない方と比較してリスクが2倍になるという報告があります。女性の場合には、一日あたりの平均アルコール摂取量が23g以上で、飲酒をしない方の1.6倍の発症リスクとなります。

また、男女問わず、1日のアルコール摂取量が15g増加するごとに約10%、リスクが上昇するとされています。

喫煙

大腸がんのみならず、喫煙がんの発生に影響があるとされています。がんの発症リスクを抑えるためには、喫煙をしないことがもっとも望ましいです。喫煙習慣がある方は、禁煙によってリスクを下げることができます。

肥満が大腸がんの発症リスクを上昇させることが分かっています。また、高身長の方も通常より大腸がんの発症リスクが高くなるといわれています。一方、運動を行うことで結腸がんのリスクが下がることが明らかになっています。肥満の方は、運動によって結腸がんの発症リスクを下げ、さらに肥満の解消を試みることも重要です。

大腸がんの患者さんのなかには、遺伝的にもともと大腸がんを発症しやすい家系の方がいます。比較的若年(50歳未満)で発症することが多いため、早い段階から定期的な検診(サーベイランス)を受け、発症した場合でも早期発見ができるよう注意が必要です。

大腸がんを発症する遺伝性の病気で代表なものとして、家族性大腸腺腫症(かぞくせいだいちょうせんしゅしょう)と、リンチ症候群の二つが挙げられます。

家族性大腸腺腫症

家族性大腸腺腫症は、大腸にたくさんの腺腫(ポリープ)が発生する遺伝性の病気です。一般的に100個以上もの腺腫が発生し、タイプによってはその数が5000個以上におよぶこともあります。家族性大腸腺腫症で発生する腺腫は良性ですが、通常のがん発生のメカニズム同様、途中からがん化する可能性があります。つまり、腺腫が多数発生するということは、必然的に大腸がんを発症するリスクが高まるということです。放置すれば60歳頃までにほぼ100%の患者さんががんを発症するともいわれています。また、十二指腸や甲状腺にがんを発症するリスクがあります。

しかし、大腸内視鏡検査や遺伝学的検査を行うことで、大腸がんを発症する前に家族性大腸腺腫症を発見し、治療や定期的な検診(経過観察)を開始することが可能です。治療の方法としては、予防的に大腸を全て取り去る手術などがあります。血縁者に家族性大腸腺腫症の方がいる場合には、検査を検討することをおすすめします。

リンチ症候群

遺伝性大腸がんのなかではもっとも頻度が高く、また、大腸がんの2~3%はリンチ症候群であると考えられています。リンチ症候群はがんの易罹患性症候群(がんにかかりやすくなる病気)で、大腸だけでなく、子宮内膜や小腸、腎盂(じんう)、尿管などに、がんが発生しやすくなるとされています。一般的に大腸がんは40~50歳代より発症する方が増え始め、年齢とともにその数も増加していきますが、リンチ症候群の患者さんの大腸がん発症年齢はそれより、20歳程度若年であるといわれています。

ただし、リンチ症候群であっても、大腸がんを発症する可能性は生涯で28~75%ほどであり、またリンチ症候群によってできた大腸がんの予後は良好だという報告も複数あります。したがって、大腸がんが発生した場合に早期発見ができるよう、定期的に検査を行うことが重要です。

初期の大腸がんは症状が出てこないことがほとんどのため、自覚症状が出てきた際には、ある程度がんが進行していると考えられます。大腸がんの進行を防ぐためには、できる限り症状が出る前に検査などでがんを発見し、早期段階で治療を行うことが重要です。次ページでは、大腸がんの早期発見を行うための検査方法についてお伝えします。

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