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腎臓がん・膀胱がんにおけるロボット手術——それぞれの適応やメリット・デメリットについて

腎臓がん・膀胱がんにおけるロボット手術——それぞれの適応やメリット・デメリットについて
平川 和志 先生

恵佑会札幌病院 泌尿器科 副理事長

平川 和志 先生

目次
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2016年には腎臓がんにおけるロボット手術が、2018年には膀胱がんにおけるロボット手術が保険適用されるなど、近年は泌尿器系のがんに対するロボット手術の導入や発展が進んでいます。それぞれのがんに対してロボット手術を行うにあたり、どのようなメリットがあるのでしょうか。本記事では泌尿器系のがんのうち、腎臓がん、膀胱がんにおけるロボット手術の特徴と、腎盂尿管がんにおけるロボット手術の可能性について、恵佑会札幌病院 副理事長 平川(ひらかわ) 和志(かずし)先生にお話しいただきました。

腎臓がんにおけるロボット手術(腎部分切除術)が適応となる症例は、腫瘍が7cm以下にとどまっている小径腎腫瘍の患者さんです。

腎臓がんに対してロボット支援腎部分切除術を行う際は、一時的に腎臓の血流を遮断しなければなりません(阻血)。遮断時間が長くなると術後の腎機能低下につながるリスクがあるため、部分切除術では25分以内に切除を行って縫合し、血流を再開させることが求められます。限られた時間の中で一連の手技を行うには高度な技術が必要であり、腹腔鏡下で腎部分切除術を実施することは容易ではないとされていましたが、ロボットを導入することによって操作性が向上し、時間を短縮しながら患者さんへの体の負担が少ない手術を行うことが可能となりました。

腎臓がんに対するロボット手術のメリットは、開腹手術に比べて創が小さく低侵襲な方法で、部分切除術という腎機能を最大限に温存する手術を実施できることです。

従来の開腹腎部分切除では大きくお腹を切開する必要があり、患者さんの体に負担がかかってしまう問題がありました。これに対してロボット手術は、お腹に数か所の小さな穴をあけて行うため、傷を小さく抑えることができます。

ただし、2020年4月現在、保険下でロボット手術を実施できる腎臓がんの術式は腎部分切除術のみです。腎全摘術に対しては現在保険適用外のため、全摘除術が必要な患者さんにはロボット手術ではなく、従来の腹腔鏡手術を行います。

かつては腹腔鏡手術の難易度が高いといわれた腎臓がんの部分切除術においても、ロボット手術を取り入れることで低侵襲な手術ができるようになりました。今後は、従来腎部分切除術が難しいと考えられていた、技術的に難度の高い腎臓がんのロボット手術が広く行われるようになると考えられます。

膀胱がんに対するロボット手術(ロボット支援膀胱全摘除術)は、2018年4月より保険適用となりました。

基本的に膀胱がんの手術では膀胱全摘除術と尿路変向術をセットで行います。ロボット手術の場合、膀胱全摘除術と尿路変向術のどちらもロボットを使って腹腔鏡下で行う方法と、尿路変向に差し掛かる段階で開腹手術に切り替える方法があります。

膀胱がんにおけるロボット手術の最大のメリットは、開腹手術に比べて出血量が圧倒的に少ないことです。一方でデメリットは、手術時間が長くかかることです。

膀胱全摘除術はもともと手術時間が長く、出血量の多い侵襲の大きな手術です。ロボットを用いて腫瘍切除から尿路変向までを行う場合は、開腹手術よりも長い時間を要することが予測されます。さらに、膀胱がんのロボット手術は患者さんの頭側を低く下げた状態で行うため、吊り下がったような状態で手術をする必要があります。頭が下がった状態で長時間にわたり手術を行うと、合併症が起こるリスクが高くなるため、できる限り手術の長時間化は避けなければなりません。当院では、2018年に4件、2019年に20件のロボット支援膀胱全摘除術を行っており、手術時間は短縮されていますが、安全で根治性の高い手術を行うために、今後も症例数を増やしながら手術の改善に取り組んでいきます。将来的には膀胱全摘除術から尿路変向までの工程を一貫してロボット手術で実施したいと考えています。

膀胱がんに対するロボット手術が2018年に保険適用となってから、2020年現在でまだ2年程度です。そのため、長期的な成績はまだ十分に分かっていません。さらに、現時点では手術時間が長いという課題も残されていますが、手技の習熟によって手術時間の短縮が期待でき、今後は膀胱の摘除とリンパ節郭清までの時間が開腹手術と同程度となっていくと考えています。今後、尿路変更の時間をどのように短縮していくかが課題ですが、将来的に手術時間が通常の手術と同等で出血量、合併症が少なくなり、膀胱全摘除術の第一選択の術式がロボット手術となる時代になると考えています。

2020年4月現在、腎盂尿管がんにおけるロボット手術は保険適用外であるため、当院では腹腔鏡下で腎盂尿管がんの手術を実施しています。こちらのページで述べたとおり、腎盂尿管がんの手術は基本的に腎尿管全摘術・尿管全摘術となるため、精密な操作が可能となるロボットを用いるメリットが少ないという点も、保険適用が進まない理由のひとつかもしれません。ただし、将来的に技術が進歩すれば、ロボット下での腎盂尿管がんの手術が国内でも行うことができるようになる可能性はあるでしょう。

こちらのページこちらのページをとおして、前立腺がん腎臓がん膀胱がん腎盂尿管がんについてお話してきました。患者さんの中には、こうした泌尿器系・生殖系のがんに関する症状がみられた場合でも「見られるのが恥ずかしい」「もし思い違いだったらどうしよう」と、受診そのものを躊躇してしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん、腎盂尿管がんはいずれも、適切な時期に適切な治療を行うことで治る可能性の高いがんです。そのため、専門医による適切な診断と治療が必要です。早期段階でがんを発見し、しっかりと治療を行うためにも、ぜひ定期的に泌尿器系のがんに関する検診を受けてください。そして排尿障害や血尿などがみられたり、少しでも異変を感じたりした場合は、ためらわずに泌尿器科を受診いただくことをおすすめします。

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