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編集部記事

卵巣がんは遺伝する? ~遺伝性の卵巣がんの特徴や遺伝子を調べる方法について解説~

卵巣がんは遺伝する? ~遺伝性の卵巣がんの特徴や遺伝子を調べる方法について解説~
金村 昌徳 先生

独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センター

金村 昌徳 先生

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卵巣がんとは、卵巣にできる悪性腫瘍のことです。卵巣がんが発生する原因には排卵の回数などが関連しているといわれていますが、なかには遺伝性のものもあることが知られており、卵巣がんの約10%は遺伝的な要因によるものだと考えられています。

卵巣がんの発症にかかわる遺伝子にはさまざまなものがありますが、本記事ではそのなかでも多くの割合を占める遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)について解説します。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群など、特定の遺伝子が原因となって発症するがんを遺伝性腫瘍といいます。

多くのがんは生まれた後に老化や環境因子により(後天的に)遺伝子に傷が入ることで発がんする遺伝性のものですが、なかには遺伝するがんもあり、遺伝性腫瘍と呼ばれます。遺伝性腫瘍のほとんどは、がん抑制遺伝子の生まれつきの異常(先天性変異)が原因で発がんするといわれています。がん抑制遺伝子とは細胞が異常に増殖するのを防ぐ役割のある遺伝子で、父親と母親から一つずつ合計二つ遺伝します。この二つの遺伝子両方が異常をきたすことによってがんが発症します。ただし、がん抑制遺伝子は必ず遺伝するというわけではありません。

遺伝性腫瘍の代表的なものとして、リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)や家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)といった大腸がんを主に発症する遺伝性疾患、そして乳がん・卵巣がんを中心に発症する遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)があります。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)とは、がん抑制遺伝子の一種であるBRCA1またはBRCA2が変異することで、乳がんや卵巣がんなどのがんを発症しやすくなる病気です。男性の場合、前立腺がんにかかるリスクも高くなるといわれています。

この病気の特徴として、“一般のがんよりも若くして(40歳未満)がんになる”、“家系内に乳がん、または卵巣がんに罹患する人が複数いる”、“両側の乳房または卵巣にがんができる”などがあります。

ただし、BRCA1・BRCA2に変異があったら必ず乳がんや卵巣がんを発症するというわけではなく、リンチ症候群の原因遺伝子などほかの遺伝子の変異が原因となって卵巣がんを発症する場合もあります。

診断は遺伝子検査により行われます。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群のBRCA1・BRCA2の遺伝子検査では、採血を行い血液中のDNAを解析することによって遺伝子変異がないか診断します。

また、遺伝について不安や疑問がある場合は遺伝カウンセリングを受けることができます。遺伝カウンセリングとは、病気にかかわる遺伝についての医学的・心理的な影響、また家族への影響を理解することを助け、解決に向けてさまざまなサポートをするプロセスです。遺伝子検査についても相談できますので、気になることがある場合はまず遺伝カウンセリングを検討してみてもよいでしょう。

2020年6月現在、遺伝性乳がん卵巣がん症候群でもっとも有効な対策と考えられているのは予防的切除です。卵巣がん・卵管がんの発症率を下げるとともに、総死亡率を下げることも知られています。しかし、卵巣・卵管を摘出することにより、妊孕性(にんようせい)妊娠する力)が失われてしまうので、将来子どもを望んでいる場合は主治医とよく相談する必要があります。

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群によく起こるがんを対象としたがん検診を定期的に行うことが大切です。乳がんに対するMRIはもちろん、卵巣がんに対しては経腟超音波検査や腫瘍マーカー検査を受けることが推奨されます。一般的な婦人科検診で卵巣の腫れが見つかることもありますので、症状がなくても定期的に検診を受けるとよいでしょう。

卵巣がんのなかには遺伝性のものもあり、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群もそのひとつです。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の特徴に当てはまる家系である場合、遺伝カウンセリングや遺伝子検査で発症リスクについて知ることができます。もしも遺伝子変異が見つかった場合は定期的に検診を受け、場合によっては医師と相談のうえで予防的切除を検討してみてもよいでしょう。

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