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子宮体がんの再発率と、再発を考慮した治療とは?~再早期発見・治療のためにできること~

子宮体がんの再発率と、再発を考慮した治療とは?~再早期発見・治療のためにできること~
金村 昌徳 先生

独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センター

金村 昌徳 先生

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子宮体がんは、妊娠時に胎児を育てる子宮体部にできるがんです。子宮体がんは、通常初期から不正性器出血が認められるため、早期に発見されやすく、ほかのがんに比べて生存率が比較的高いとされています。しかし、治療が終わった後に再発したり、転移したりすることもあります。再発する可能性の有無は患者によって異なるため一概には言えませんが、一方でステージや手術法別に再発率の研究データも存在しています。

そこで本記事では、子宮体がんの再発率や再発リスクについて詳しく解説します。

子宮体がんの再発率は、数値として公開されているものは存在しません。

しかし、さまざまな研究や報告がなされており、がんの進行度合い(ステージ)や治療法ごとの再発率や無病生存率(再発やほかの病気がなく、患者が生存している割合)のデータがいくつか存在しているため、まとめてご紹介します。

子宮体がんのステージは、手術で子宮やリンパ節などからがん細胞を採取して初めて確定されます。そのため、手術前に診断するステージは、あくまでもCTやMRI検査などによって推定したものです。

手術前にステージI期と推定された場合の手術後の再発率についての研究では、単純子宮全摘出術*では再発率9.1%、拡大単純子宮全摘出術*・準広汎宮全摘出術*では再発率2.9%という結果が出ているものがあります。しかし、基本的には手術法による生存率や再発率に差はないとされています。

*単純子宮全摘出術…子宮のみを摘出する手術
*拡大単純子宮全摘出術…子宮の切除に加えて腟壁を1~2cm切除する手術
*準広汎子宮全摘出術…子宮・腹壁の切除に加えて子宮を支える組織の一部を切除する手術

ステージIIの子宮体がんの方を対象に、再発率について調査した研究では、手術を受けた方の23.6%が、術後5年間のうちに再発したと報告されています。また、ステージII期でがんが筋層(子宮の壁)の2分の1以上の深さまで達していてがん自体も大きい場合は、単純子宮全摘出術よりも準広汎子宮全摘出術のほうが予後(病気の経過)がよいという報告もあります。

大網とは大腸や小腸を覆う網のような脂肪組織のことを指し、ときにがんが転移することがあります。大網に転移があった場合はステージがIVB期となるため、ステージを決定するためにも、転移が疑われる場合には大網切除を行います。なお、大網転移があった場合の無病生存率*は28%、2年生存率は40%という報告もあります。

*無病生存率…治療後に再発やほかの病気がない状態で生存している確率

ステージやがんの状態によっては、子宮や卵巣を温存して治療できることがあります。

ある研究では、卵巣を温存した場合でも、5年後の無再発生存率は94%(6%が再発またはほかの病気になった、もしくは死亡したと考えられる)と報告されています。さらに、ステージI期の類内膜がん(がんの組織型による分類で子宮体がんの80%が類内膜がんとされている)では、再発がなかったと報告されています。

また、卵巣を温存した場合と、閉経前のステージI・II期の類内膜がんで子宮、卵巣・卵管を切除した場合では、卵巣を温存したグループの再発率が2.3%、切除したグループの再発率が2.5%という結果が出たことがあります。

このような報告がされてはいるものの、子宮体がんの治療における基本は子宮と卵巣・卵管の摘出です。そのため、2020年現時点では卵巣の温存は類内膜腺がん(高分化型)で筋層浸潤の浅いもの、かつ若年で将来強く出産を望んでいる場合にのみ考慮されます。

子宮体がんではがん細胞の切除とステージ確定のため、まずは手術を行うことが一般的です。その際にがんの状態や広がりなどから再発リスクも予測します。

子宮体がんにおいては、再発の原因(因子)には、年齢、がんの深さ、大きさ、血管やリンパ管にがん細胞が見られるかどうか、がん細胞が子宮頸部の深い部分まで入り込んでいるかどうかなどによって、再発リスクを判断することができます。

さらに、再発リスクや患者さんの状況によって、以下のような治療が行われます。

  • 再発リスク 低:経過観察
  • 再発リスク 中:抗がん剤治療を行う。また状況に合わせて経過観察や放射線治療を行うこともある。
  • 再発リスク 高・かつがんが残っている:抗がん剤治療を行う。また、状況に合わせて放射線治療や内分泌療法を行うこともある。
  • 再発リスク 高・がんは確認できない:抗がん剤治療や内分泌療法薬、放射線治療を行う。

子宮体がんの治療が終了した後は再発を早期発見するために定期的に通院して経過観察することが重要です。

その際は、必要に応じて触診や超音波検査、CT、MRI、細胞診検査などの検査を行い、再発の有無を確認します。治療後しばらくは1~4か月程度に1度、徐々に間隔を伸ばして、数年後には半年~1年に1回程度の通院となります。

万が一再発した場合は通常、薬物療法や放射線治療を行います。ただし、がんの状態やこれまでの治療法によっても治療方針はそれぞれ異なるので、医師と相談しながら治療を進めるとよいでしょう。

ステージや手術法によってさまざまな再発率の研究データが存在していますが、前述した通り再発する可能性の有無は一概には言えません。そのため、治療が終わった後も医師の指示にしたがって定期的に通院し、経過観察を受けることは再発の早期発見・治療のためにも非常に重要です。治療後の再発に関して不安なことや疑問があれば、医師や看護師に相談するようにしましょう。

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