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大腸がんの治療——体の負担が少ない術式選択と術後ケアの重要性

大腸がんの治療——体の負担が少ない術式選択と術後ケアの重要性
安井 昌義 先生

大阪国際がんセンター 消化器外科 大腸外科長

安井 昌義 先生

目次
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大腸は消化管の一部で、水分を吸収して便を形作る、便をためる、便を排出するといった役割を担っています。大腸がんは、この大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍(あくせいしゅよう)であり、がんが切除可能な場合は基本的に内視鏡や手術による治療が選択されます。大阪国際がんセンターでは、大腸がんの手術治療に伴う患者さんの負担を軽減するためにさまざまな取り組みを行っています。同センターにおける大腸がん治療の特徴と工夫について、大阪国際がんセンター 消化器外科 大腸外科長 安井(やすい)  昌義(まさよし)先生にお話しいただきました。

大腸がんは、主に大腸の粘膜細胞から発生する悪性腫瘍です。近年日本の大腸がん患者数が増加している理由には、日本人の食生活の変化に伴う加工肉やアルコール摂取機会の増加が関与していることが知られています。食習慣の変化のほかには、喫煙や肥満も大腸がんのリスク因子であるといわれています。

ほとんどの大腸がんは遺伝しませんが、一部の大腸がん(家族性大腸腺腫症など)は遺伝的要因で発生します。

大腸がんは直腸がんと結腸がんの2種類に大きく分けられます。両者の間において、見た目や病理組織学的な傾向、進行速度など、大きな差はありません。

ただし臓器の構造上、上行結腸など、大腸の上流にできた結腸がんは症状が出にくいため早期発見が難しく、直腸がんに比べて進行した状態で見つかることが多い傾向にあります。

また、解剖学的な側面から考えると、結腸は腹腔内(ふくくうない)(腹腔と呼ばれるお腹の中にある空間)の臓器、直腸は腹腔外の骨盤内にある臓器です。このような違いから結腸と直腸ではリンパ液の流れる方向も異なり、直腸がんのほうが病気の進行方向がやや複雑な傾向にあります。さらに、狭い骨盤内にある直腸の周囲には、女性であれば子宮などの婦人科系臓器が、男性の場合は前立腺などの泌尿器科系臓器が密接しているので、直腸がんの場合は腫瘍が極端に大きくなると手術の難易度が高くなります。

大腸がん診断の決め手になる検査は大腸内視鏡検査です。直接、消化器粘膜の病巣を観察することができるうえ、そのまま病変の組織を採取し、病理診断につなげることも可能です。

他施設からの紹介で当センターを受診された患者さんはすでに内視鏡検査を受けられている方が多いのですが、診断の正確性を高めるために、もう一度当センターで大腸内視鏡検査を行うこともあります。

病巣周辺や大腸から離れた臓器への病気の広がりの程度を確認するために、CT検査やMRI検査などを行います。

直腸診では、指で直腸の腫瘍を直接触って異常を確認します。機器を用いず、経験を要する診断方法ですが、手術の方法を選択したり、腫瘍の深達度を調べたりするうえで重要な検査です(看護師と共に行います)。

腫瘍マーカーは、遠隔転移の状況や病状の診断をするための補助として実施します。大腸がんが存在しても、腫瘍マーカーは正常範囲内であることもあります。逆に腫瘍マーカーが高値でもがんが存在しないこともあり、この検査結果のみで大腸がんの診断を確定することはありません。

基本的にがんのタイプや個々の病状・病期に応じた治療を選択します。リンパ節に転移している可能性も低く、内視鏡のみでがんを切除できるような早期大腸がんには、内視鏡治療が適応されます。

がんの広がり方から内視鏡治療が難しい直腸がんに対しては、手術を行います。直腸がんであれば、局所切除術(肛門(こうもん)を経て、直腸の内側から観察しながら腫瘍を切除する)、前方切除術(腹側・頭側からのアプローチで直腸を切除する)、会陰式手術(会陰方向からのアプローチで直腸を切除する)などが代表的な手術です。手術療法のみでは再発リスクが高いと考えられた場合には、術前あるいは術後に放射線治療や化学療法を併せて行います。

また当センターでは進行した直腸がんであっても、病気の根治性と患者さんの術後のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)のバランスを考慮して、可能な限り肛門を温存しています。特に肛門に近いがんでは内括約筋切除術(ISR)を施行しています。

結腸がんに対しては、がんができた部位に適した術式で、がんがある腸管および周囲にあるリンパ節を切除する手術を行います。結腸がんの場合でも術前あるいは術後に化学療法を併せて行うことがあります。

まずは外来を受診していただき、診断を確定したうえで具体的な治療方針を決定します。治療前に何度も外来受診することは患者さんの負担になるので、当センターでは“クイックイン外来”という、初診の日にできるだけ検査をして治療方針まで決めるという体制を整えています(ご病状や持病により適応とならない場合もあります)。外来で治療方針が決まった後に、入院して手術を施行します。前処置(下剤など)のため、手術実施日の1日~2日前に入院していただきます。

手術後は、患者さんの回復状況に応じて退院していただきます。2019年の実績では、大腸がんの患者さんの術後入院期間はおよそ9日(中央値)でした(※個人差があります)。

患者さんが術後も長く元気でいられるようにするためには、手術だけではなく、術後の定期検査などのケアも肝要です。術後定期検査をしっかり行わないと、万が一再発した場合に発見が遅れたり、長期予後が悪くなったりする恐れがあります。そのため、手術後も定期的に検査を受けていただきます。このような取り組みの結果、当センターにおける大腸がん患者さんの2007~2009年症例(395例)における5年相対生存率*は、全体で83.7%(ステージ1:100%、ステージ2:90.9%、ステージ3:90.9%、ステージ4:26.3%)でした**

また、術後の検査をしっかりと行うためには、まず患者さんに来院いただかなければなりません。そのため、患者さんが病院に来ることが楽しいと感じられるような院内の雰囲気づくりに努めています。具体的には大阪プロ4大オーケストラによる“クラシック音楽会”などの文化的イベントのほか、アピアランス(外見)ケア***といった、がん患者さんの生活上の悩みに対し支援を行うイベントも不定期開催しています****

*相対生存率:がん以外の死亡リスクが異なる集団において、がん患者の予後を比較するために、がん患者について計測した生存率(実測生存率)を、対象者と同じ性・年齢分布をもつ日本人の期待生存確率で割ったもの

**出典:全がん協加盟施設の生存率協同調査 施設別生存率 大阪国際がんセンター(2007~2009年症例)

***アピアランス(外見)ケア:医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化を補完し、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア

****2020年11月現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため一部のイベント開催が中止になっていることがあります

当センターにおける大腸がん手術の最大の特徴は、全症例に対する低侵襲手術(ていしんしゅうしゅじゅつ)(腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術)の割合が95%という点です(2019年1月~12月における治療件数より)。

腹腔鏡下手術とは“腹腔鏡”という細長い医療用カメラでお腹の中を見ながら行う手術のことです。腹腔鏡下手術は従来の手術と比べて小さな(きず)で手術が可能なので、術後の痛みが少なく、回復が早いことが長所です。また腹腔鏡では肉眼よりも臓器や器官、組織を何倍も大きく見ることができる(拡大視効果)ため、精緻な手術が可能となることも特徴です。

大腸がんに対する腹腔鏡下手術は日本でも約20年前から導入されました。現在では“進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術”も保険適用が認められ、当院でも受けていただくことができます。ただし、大腸癌治療ガイドライン医師用2019年版(大腸がん研究会編)では、がんの部位や進行度などの患者要因のほかに、術者の経験、技量を考慮して適応を決めるべきであると記載されています。つまり、手術を行う医師=術者の技量に応じて進行がん大腸がんにも腹腔鏡下手術は可能であるということです。

当院には日本内視鏡外科学会の技術認定医(大腸外科領域)が6名在籍しています(2021年1月時点)。このような診療体制のなか、安全性と根治性を重視しながら、患者さん目線も忘れることなく低侵襲手術の施行、治療開発をすすめてきました。

1人でも多くの患者さんに低侵襲手術を受けていただくために、設備面や腹腔鏡下手術を担う医師数などの面でキャパシティを確保していることも特徴です。

大阪国際がんセンター ロボット支援下手術の様子
大阪国際がんセンター ロボット支援下手術の様子

当センターでは直腸がんに対するロボット支援下手術にも積極的に取り組んでいます。医師がロボットによる支援下で手術を行うときは、人の手以上によく曲がり、手振れがない鉗子を用いて操作するため、複雑で精密な手術が可能となると考えられます。ロボット支援下手術は後遺症が起こりにくく、生活の質に配慮した体に優しい手術であるため、次世代手術の一端を担うと考えられています。2018年4月からは、全国で限られた施設でロボット支援下直腸がん手術が保険適用となりました。当科でも保険診療でこの手術を受けることができます。費用は通常の腹腔鏡下手術と同じです。

また直腸がんのみならず、臨床研究として結腸がんに対するロボット支援下手術(がんがある腸管および周囲リンパ節の切除)を行っています。

結腸がんに対するロボット支援下手術では、直腸がんに対するロボット支援下手術と同様の有用性や安全性についてのリスクがまだ本邦で評価されていないことから、それらを本試験で確認することを目指さしています。想定される安全性についてのリスクの種類とは、一般的な手術と同様、縫合不全や創感染、感染症などです。

結腸がんに対するロボット支援下手術は自由診療で、当センターで本手術を行った場合の費用は1入院につき339,578円(税込)です(2020年11月現在)。詳しくはお問い合わせください。

インドシアニングリーン(Indocyanine Green:ICG)は、遠赤外線光を当てると発光するという特徴があります。このICGを静脈経由で術中に患者さんの体内に投与し、発光させることで、血液やリンパの流れを評価することができます。当センターではこの仕組みを大腸がんの手術に応用しています。

手術では、がん切除後に切った臓器同士をつなぎ直す再建が必要になることがあります。再建の際、血の巡りが悪いところ同士をつなぎ合わせても傷は上手く治らないので、血の巡りがよいところをしっかりと確認し縫合箇所を決定することが大事です。ICGを用いた血流評価を応用することで、術後の傷の治りを早くすることが期待できます。

さらに、ICGを用いることにより、肉眼で捉えにくいようなリンパ節の位置やリンパの流れも可視化できるようになるため、過不足のないリンパ節の切除に役立つと考えられます。

15歳~39歳までの患者さんを“AYA世代”と呼びます。AYA世代のがん患者さんは学生・社会人・子育て世代とライフステージが多様に変化する年代であり、妊孕性(にんようせい)妊娠するために必要な力)、出産・育児、就学・就労などの問題に直面することが予測されます。

当センターでは大腸がんに限らずAYA世代の患者さんを診ることが珍しくありません。そのような患者さんのために、医師、薬剤師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどの多職種で構成される“AYA世代サポートチーム”が存在します。このチームはAYA世代の患者さんを包括的に支援していくことを目的として、他施設との連携による妊孕性温存や就労・就学支援、経済的側面の支援など、AYA世代のがん患者さんのあらゆる悩みに対する全人的なサポートを行います。我々も若年世代の大腸がん患者さんを診る際は、AYA世代サポートチームと協力しながら患者さんのケアにあたっています。

がん全般の5年生存率が60%を超えた現代において、がんと向き合いながら生きていく方が増えていることから、当センターでは患者さんのQOLの向上に注力しています。また、センターの理念を“患者の視点に立脚した高度ながん医療の提供と開発”と定め、患者さんの声に真摯に耳を傾け、“患者さん目線”で治療にあたるよう努めています。

がん治療を受ける患者さんは、手術のことや術後の生活など、さまざまな面で不安になることが多いかもしれません。そのような患者さんの“不安”を少しでも解消するために、当センターでは、できる限りの情報を提供するよう心がけています。手術に関する疑問や不安があれば、お一人で悩まずにご相談ください。医師と二人三脚になり、将来に向けて治療を進めていきましょう。

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