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小児てんかんの診断と薬物治療——冷静な対処で発作の様子をしっかり把握

小児てんかんの診断と薬物治療——冷静な対処で発作の様子をしっかり把握
中川 栄二 先生

国立精神・神経医療研究センター 病院外来部 特命副院長/外来部長/てんかんセンター長

中川 栄二 先生

岩崎 真樹 先生

国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経外科 部長

岩崎 真樹 先生

目次
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小児てんかんはほかの病気や症状との見分けが難しい場合があるため、診断は慎重に進めていく必要があります。診断のなかでも特に問診で得られる情報が重要となるため、医師に的確に発作時の様子を伝えることが大切です。

今回は、国立精神・神経医療研究センター てんかんセンター長/小児神経科の中川(なかがわ) 栄二(えいじ)先生と脳神経外科部長の岩崎(いわさき) 真樹(まさき)先生に小児てんかん診断・治療の進め方についてお話を伺いました。

まずは問診で親御さんから詳細な症状の聞き取りを行います。問診で得られる情報は、発作がてんかんによるものかどうかの非常に重要な判断材料となります。問診でおおよその判断をしたうえで、脳波検査やMRI検査などを行います。

患者さんによっては、いろいろな検査をしても原因がはっきりとしないこともあります。こうしたケースに対して、単純に「てんかんのような発作があるから」という理由だけで、てんかんと診断して必要のない治療をすることになれば、お子さんのこれからの人生に多大な影響を与えてしまいます。診断を急ぎすぎるあまりに、誤った診断・治療をしてしまうことは避けなければなりません。

そのため、症状を細かく確認し、慎重に診断を進めていきます。

問診では発作時の様子をできるだけ詳細に伺います。もし自分のことをある程度喋れる年齢のお子さんであれば、発作時にご本人がどう感じたかも大切です。なお、問診時に具体的に以下のようなことを伝えていただくと診断に役立ちます。

<医師に伝えるべきポイント>

  • 発作がおきた時間や状況(睡眠中、寝起き、遊んでいるとき、寝入りばな、何かをしているときなど)
  • 発作時にどのような動き・様子だったか(体のどこがつっぱっていたか、がくがくしていたかなど)
  • 声かけをしたときに反応が返ってきたか
  • 左右の手足の動きに何か違いはあったか

しかし、これらについて全て記憶しておくことは難しいでしょう。もし可能であればスマートフォンなどで動画を撮影していただき、問診時に医師に見せていただければ診断に非常に役立ちます。

中川 栄二先生
中川 栄二先生

問診後には脳波検査を行います。また必要に応じて、MRI検査などの画像検査、SPECT検査、脳磁図検査、心理検査などを行います。

脳波検査では、てんかんに特徴的な脳波の異常(てんかん性放電)があるかどうかを確認します。異常が見られれば、てんかんの可能性が高くなりますが、脳波検査の感度は100%ではないため、てんかんであっても脳波に異常が見られないことも多々あります。そのため、症状からてんかんが強く疑われるにもかかわらず脳波に異常が見られない場合には、何回か脳波検査を受けていただくこともあります。

脳波検査を何度か行っても診断が難しい場合には、入院して24時間連続で脳波を記録する“長時間ビデオ脳波モニタリング”を行うこともあります。長時間ビデオ脳波モニタリングでは脳波の記録と同時に、患者さんをビデオ撮影しておくことで発作が起きたときの症状を医師が確認できます。

てんかんの原因となるような病変(脳腫瘍や脳の形成異常など)がないかどうか調べるために有用なのがMRI検査です。当院では3テスラMRIを用いて、てんかん専用の撮影方法・手順で検査を行っています。また、神経専門の放射線科医が画像を診断します。

MRI検査で異常が見られないときには、PET(ペット)検査を行うこともあります。

SPECT(スペクト)検査では、てんかんによって生じる脳の血流の変化を調べます。てんかんの原因が脳にある場合、その周囲は血流が低下していることがあります。反対にてんかん発作が起きて脳が興奮状態になると、その周囲では血流が上昇します。発作による血流の上昇を確認するためには、入院して発作が自然に起こるのを待ち構える必要があります。

脳磁図検査(MEG(メグ))は、脳で起こっている電気活動を磁場として記録する検査です。磁場を調べることで脳の活動状況がより精密に調べられるため、てんかんの異常な活動がどこから始まっているのかをよりピンポイントに捉えることができます。脳磁図検査は高額な維持費がかかることから、実施できる施設は多くはありません。

てんかんでは多くの患者さんで知的な障害や発達障害(神経発達症)を合併する場合があるため、これらの合併がないかを評価することもとても大切です。

小さいお子さんの場合には親御さんにできること・できないことを聞き取り、何歳相当の発達があるかを調べます。コミュニケーションが取れる年齢になれば、テストで知的能力や記憶力を調べます。

なお、心理検査はてんかんの診断時だけでなく、治療によって発達にどのような影響がもたらされているかを確認するためにも大切です。

てんかんの基本的な治療は、発作の症状を抑える“抗てんかん薬”を中心とする薬物療法です。新生児や乳幼児によく見られるウエスト症候群では、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)療法というホルモン療法が効果的な場合があり、抗てんかん薬と並行して検討されることがあります。

何種類かの抗てんかん薬を服用しても発作がなくならない場合には外科手術を検討します。

※小児てんかんの外科手術については次ページをご覧ください。

ウエスト症候群:体を一瞬ピクッとさせる“スパズム発作”を主症状とするタイプのてんかん。

提供:PIXTA
提供:PIXTA

代表的な抗てんかん薬には、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、フェノバルビタール、ゾニサミド、トピラマート、クロバザム、レベチラセタム、ラコサミド、ペランパネル水和物などがあり、発作のタイプに合わせて選択されます。

どの抗てんかん薬でも起こりやすい副作用として注意が必要なのが眠気です。眠気はあまり問題視されないこともありますが、授業中に眠くて勉強についていけず学力が低下するなど、ことのほか大きな影響を受けることがあります。お子さんの場合、眠いということを自分から言わないことも多いので、親御さんなど周りの大人が注意して見てあげることが大切です。

また「抗てんかん薬は発作が起きたときに飲めばよい」と勘違いされることもありますが、それでは意味がありません。抗てんかん薬はいつ起こるか分からない発作を抑制するための薬ですので、病院での指示どおり定期的に服用するようにしましょう。

発作の頻度や程度が大きい場合には、発作が起きたときにけがや事故を起こすリスクがあるため、高い場所に登る遊びやプールなどは介護者の監視下で行うようにしていただいています。

発作がある程度抑えられている場合には、基本的にほかのお子さんと同じような生活を送っていただいて問題ありません。ただし、無理にほかのお子さんと同じような生活をさせることは、かえってお子さんの負担となることもあります。

たとえば、てんかんにより知的能力に遅れが生じている状態で無理に通常学級の中に入れて周りについていけない状況を作ってしまうと、お子さんが非常につらい思いをしてしまいます。どのようにすればお子さんがよい生活を送れるのか、主治医や学校の先生とよく相談しながら検討することが大切でしょう。

中川 栄二先生:

てんかんの診断で一番大切なことは発作症状の観察です。どのような発作がどこに起こったかという発作症状の観察で、おおよそのてんかんの診断ができるためです。

先にも述べましたが、“どのような発作だったのか、睡眠中か、寝起きか、遊んでいるときか、寝入りばなに多いのか、何かをしているときか、体のどこがつっぱったのか、がくがくしたのか、意識はあったのか、意識はなかったのか”などの発作状態の観察が非常に重要です。

また、お子さんの発達の特性について理解することも重要です。先天的なさまざまな要因によって、乳児期から幼時期にかけて現れ始める発達の偏りや特性のことを“発達障害(神経発達症)”と呼びます。主に、知的障害(知的能力症)、自閉症スペクトラム、限局性学習症、注意欠陥多動症などがあります。てんかんにはこれらの発達障害の合併を認めることが多く、反対に発達障害にてんかんを併存することも比較的多いです。

発達障害では、情緒面や行動面の問題から治療の対象になる症状が多いです。また、集団に適応しにくいために情緒面の問題がさらに強くなり、これによって自律神経や睡眠の障害が出ると薬物治療が必要となる場合もあります。

てんかん発作のみならず、併存する発達の特性についても主治医とよく相談してください。

中川 栄二先生(左)、岩崎 真樹先生(右)
中川 栄二先生(左)、岩崎 真樹先生(右)

岩崎 真樹先生:

お子さんがある程度いろいろなことを理解できる年齢になったら、てんかんという病気についてお子さんに理解させてあげるようにしてください。

子どもの治療は親御さんを中心に行われることが多いため、患者さんの中にはなぜ自分が病院に通っているのか分からない方が多くいます。さらには、てんかんを持っているという世間の偏見からお子さんを守ろうと、病気のことをお子さんに隠している親御さんもいらっしゃいます。

しかし、そのうちお子さんが自分の病気のことを知るときは訪れます。成長して初めて自分の病気のことを知ったお子さんは、その事実をなかなか受け入れられずに苦労してしまうことがあります。中には成人しても親御さんが通院・治療に付き添わなければ治療を続けられない方もいます。

お子さんが将来的にもよい治療が続けられるように、なるべく早い段階でお子さん自身がしっかりと病気と向き合って治療ができるようサポートしてあげてください。

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