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編集部記事

バセドウ病の治療は何をするの?~薬物療法によって症状はなくなるが、約7割はその後も内服が必要~

バセドウ病の治療は何をするの?~薬物療法によって症状はなくなるが、約7割はその後も内服が必要~
工藤 工 先生

医療法人神甲会 隈病院 内科副科長

工藤 工 先生

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バセドウ病とは自己免疫疾患の1つで、首元にある甲状腺が腫れ、動悸、体重減少、眼球突出などの症状をあらわす病気です。患者は20~30歳代の女性に多く、女性が罹患した場合には妊娠にも影響を及ぼす可能性があります。

バセドウ病を長く放置すると、不整脈心不全骨粗しょう症などの合併症を発症し、生命に関わる状態となる可能性があります。そのため、気になる症状がある場合は受診をし、医師の判断の下で適切な治療を受けることが重要です。本記事ではバセドウ病で行われる治療をテーマに詳しく解説します。

バセドウ病の治療方法には薬物療法、アイソトープ治療、手術治療があります。一般的には、まず薬物療法が選択されます。薬物療法で十分な効果が得られなかった場合や副作用が見られた場合にはアイソトープ治療や手術治療が検討されます。

バセドウ病の薬物療法では、“チアマゾール”などの抗甲状腺剤が処方されます。治療開始時は1日3錠を服用する必要がありますが、様子を見ながら徐々に薬の量を減らしていきます。甲状腺ホルモンが1~3か月で正常となり症状が徐々に改善しますが、少量の抗甲状腺剤の内服を継続していく必要があります。

抗甲状腺剤の主な副作用としては、かゆみ、肝障害のほか、ごくまれに白血球の減少が生じることもあります。治療初期は特に副作用が現れやすいため、初めの2か月間は、2週間に一度、血液検査を受ける必要があります。気になる症状があれば担当医に相談しましょう。

バセドウ病の薬物療法はおよそ2年程度継続することが一般的です。抗甲状腺剤が1日1錠から1日おきに1錠で、血液検査でTSH受容体抗体(TRAb)が陰性になれば薬の服用を中止します。ただし、経過がよく薬の服用を中止しても、30~40%の確率で再発するといわれているため、以後は経過観察を行います。

薬物療法で、十分な効果が得られなかった場合や再発を繰り返す場合、副作用で内服できない場合には、アイソトープ治療や手術治療が検討されます。これらの治療は甲状腺そのものを縮小したり、摘出したりすることにより甲状腺ホルモンを分泌しない状態にするためバセドウ病の再発の心配はありませんが、甲状腺ホルモンの服用が必要となります。

アイソトープ治療とは、放射性ヨウ素のカプセルを飲むことによって甲状腺を小さくし、甲状腺ホルモンの分泌量を抑える治療方法です。

アイソトープ治療の注意点として、長期的には甲状腺ホルモンの分泌量が少なくなりすぎる“甲状腺機能低下症”となり、甲状腺ホルモンを薬で補う治療が必要です。また、アイソトープ治療では一時的に眼球突出の症状が強く出ることがあるため、眼球突出の症状がある方に行う場合は注意が必要です。なお、アイソトープ治療は以下のような方には行えません。

アイソトープ治療ができない方

  • 妊娠中、あるいは妊娠を予定している方
  • 授乳中の方
  • 18歳未満の方

など

バセドウ病の手術治療では、甲状腺の全てあるいは大部分を取り除くことによって甲状腺ホルモンの分泌量を抑えます。

薬物治療ではコントロールできない、または薬の副作用で内服が継続できない方で、甲状腺の腫れが大きい方や早期に妊娠を希望する方、眼球突出などの症状がひどい方などに行われます。以後、薬で甲状腺ホルモンを補う必要がありますが、再発の心配はありません。また、声のかすれなどが生じる反回神経麻痺などの術後合併症が見られる可能性もあるため、甲状腺を専門とする病院で治療を受けることが大切です。

治療開始時など甲状腺ホルモンの濃度が高いうちは、大けがをしたり手術を受けたりすると甲状腺クリーゼ*を引き起こし命に関わることもあるため、手術などは甲状腺ホルモンの濃度が正常になってから受けるようにしましょう。また、喫煙バセドウ病を悪化させるといわれていますので、治療中に禁煙を習慣づけましょう。

なお、バセドウ病はストレスをきっかけに悪化・再発することもあるといわれています。そのため、治療中だけでなく治療後もストレスをためすぎないことに注意して生活しましょう。

甲状腺クリーゼ……甲状腺ホルモンが過剰な状態に耐えきれず、臓器の機能が低下する病気

バセドウ病は抗甲状腺剤治療によって甲状腺ホルモンが正常になり症状がなくなりますが、約70%は内服の継続が必要となります。抗甲状腺剤治療が必要なくなる状態にまで改善した場合でも、甲状腺が体の中に残っている以上は再発する可能性があるため、長期的な経過観察が必要です。

またアイソトープ治療や手術によって甲状腺が小さくなる、あるいは取り除いた場合、多くが長期的にはバセドウ病は完治しますが、甲状腺ホルモンが足らない状態ですので、甲状腺ホルモンを補う必要が出てきます。そのため、引き続き内服を続けることが必要です。

バセドウ病にはさまざまな治療方法があり、患者の症状や年齢、希望などによっても選択される治療方法が異なります。治療中も日常生活で注意すべき点がいくつかあるため、医師の指示に従って生活をするように心がけましょう。

自身の治療方針は医師だけではなく、患者本人も十分に理解したうえで治療を受けることが大切です。そのため、治療について不安や疑問があれば躊躇せずに担当医に打ち明けて、十分に説明を受けたうえで納得した治療を受けましょう。

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