あすぺすと

アスベスト

別名:石綿肺
肺

目次

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概要

アスベストとは、天然に採取される鉱物の一種であり、石でありながら軽い綿状の性質を持つことから、石綿(せきめん/いしわた)とも呼ばれる物質です。加工しやすいことに加えて、耐火性・断熱性・電気絶縁性が高い性質があり、一時期は断熱材や保温材、防音材として建築物に多く使用されていました。しかし、アスベストを吸入すると、肺がんや悪性中皮腫などの悪性疾患をはじめとした健康被害を引き起こすことも知られており、現在、日本では使用が制限されています。しかし、建築材として過去に使用されたものについては今でも残存している部分もあります。(2018年時点)

また、アスベストに関連した健康被害は数日、数か月後に出るというものではなく、なかには数十年経ってから発症するものもあります。そのため、一時的なものではなく、長期的に続く問題と捉える必要があります。

原因

アスベストはその性質上非常に軽く、環境中に飛散しやすい物質です。多くの建築物で使用されていた過去があり、たとえば老朽化した建物や工事現場などからアスベストが環境中に大量にまき散らさせる可能性があります。

空気中に漂うアスベストを吸い込んでも、多くは痰などに混じって身体の外に排泄されます。しかし、吸い込んだ量が多い場合は、完全に排泄されずに肺・胸膜(肺を覆っている組織)に沈着することがあります。特に長期間の間アスベストに暴露されると、より一層肺・胸膜にアスベストが沈着する危険性が高まります。アスベストは人の目には見えないほど小さな繊維からなっており、体内の中でも特に肺組織の深く肺胞(はいほう)に沈着します。肺に沈着したアスベストは異物としてマクロファージという細胞が排除しようとしますが、排除されない場合には、長期間に渡って肺に留まり炎症が生じることになります。肺の組織が長いあいだ傷つけられ、発生した炎症性物質によりDNAが損傷された結果、遺伝子異常が生じ細胞ががん化すると考えられています。喫煙はDNAを損傷するため、喫煙者ではさらにリスクが高まると考えられています。

症状

アスベストに関連した健康被害は、肺がん、悪性中皮腫、アスベスト肺などが中心です。アスベストに暴露されてから数十年経ってから(20年~40年ほどといわれます)これらの病気に関連した症状が出現します。具体的な症状としては、咳や息切れ、胸の痛みなどがあり、原因不明の体重減少から発見されることもあります。

そのほかにも、指先が太鼓のバチのような形になることもあります(バチ指)。アスベスト肺では、特に肺の下のほうに病変が生じることが多く、背中に耳を当てると「バリバリ」という呼吸音が聞こえることもあります。

 

検査・診断

アスベストに関連した健康被害は肺に影響が現れるため、レントゲン写真や胸部CT写真などの画像検査が行われます。画像検査によって肺がんや悪性中皮腫の腫瘍病変が認められたり、胸膜と呼ばれる肺を覆う組織が分厚くなっていることが確認されたりします。また、胸水が溜まっていることもあります。アスベスト肺では肺の組織が障害を受けており、肺の線維化や石灰化などを認めます。

そのほかにも、喀痰検査と呼ばれる痰の検査が行われることもあります。痰の中にがん細胞がみられたり、アスベストに関連した物質が特定できたりすることもあります。胸水を採取し、そのなかに悪性細胞をみることもあります。また、病変部位の実際の組織を採る生検では、顕微鏡で悪性腫瘍を特定します。

治療

アスベストにより引き起こされた病気によって、治療方法は異なります。たとえば、肺がんや悪性中皮腫の治療では、手術、化学療法、放射線療法が行われます。アスベストに関連した健康被害に対して、アスベストに暴露されないような環境づくりが大切です。建築業に関係する人をはじめ、アスベストに継続的に暴露される可能性のある人は、定期的な検診を受けることが大切です。また、アスベストに関連した健康被害は、数十年後に発覚することが多いため、長期にわたる定期的検査が必要です。喫煙自体が健康被害をもたらすため、喫煙者はアスベストによる健康被害を発症するリスクがさらに高まります。そのため、意識的な禁煙行動が大切です。

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