さるとう

サル痘

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概要

サル痘とは、サル痘ウイルス(Monkeypox virus)に感染することから発症する病気です。類似した疾患である天然痘と比較すると軽症ですが、ときに重症化して亡くなることもあります。また、バイオテロリズムに使用されることが懸念されています。

サル痘ウイルスは、サルや人には偶然、感染すると考えられ、げっ歯類などのネズミが主な感染動物と疑われています。感染した動物に噛まれたり、血液などの体液に触れたりすることで人に感染が成立します。アフリカを中心として流行することが多い病気ですが、過去にはペットとして輸入された動物を介しての発生例がアメリカでありました。日本においては4類感染症に指定されて以後2015年までの間に発生の報告例はありませんが、同様の感染経路から発症することも懸念されます。また2017年9月にはナイジェリアにおいて、疑い症例を含めて200名以上の発症報告があり注意喚起がなされています。

承認されたサル痘に特異的な治療方法はなく対症療法が中心となります。原因となる動物に接触しないこと、感染経路や流行地についての情報に留意することが感染予防につながります。

原因

サル痘とは、サル痘ウイルス(Monkeypox virus)に感染することを原因として発症します。サル痘ウイルスはラット、リス、サル、チンパンジーなどに感染し、感染した動物に噛まれたり、体液などに直接触れたりすることで人に対する感染が成立します。類似した症状を呈する天然痘と比較すると人から人への感染率は低いです。ただし、人から人への感染がまったくないというわけではなく、体液や皮膚病変などへの接触により感染が広がることもあるため注意が必要です。天然痘はワクチンによって撲滅された疾患です。このワクチンがサル痘ウイルスに対しても予防効果があったため、撲滅されたために天然痘ワクチンを接種しなくなった現在、サル痘の流行が危惧されています。

症状

サル痘ウイルスに感染してから、1〜3週間ほどの潜伏期間を経た後にサル痘を発症します。初期症状として、発熱、疲労感、頭痛、筋肉痛、頚部(けいぶ)鼠径部(そけいぶ)リンパ節の腫大などがあります。

この段階ではサル痘であることがわかりにくいですが、時間経過と共に特徴的な皮膚症状をみることになります。皮膚病変は赤い紅斑から始まり、数日から1週間ほどで盛り上がって徐々に0.5-1cmほどの水ぶくれ、(うみ)を伴うようになります。その後かさぶたで皮膚病変が覆われるようになります。こうした皮膚病変への接触から他者に病気が広がることも知られています。

サル痘は、中央アフリカでは死亡率は10%程度、米国のアウトブレイクでは死亡例はありませんでした。健康状態、医療環境などが影響したと考えられています。エイズを始めとした免疫不全状態においては、特に重症化する危険性が高く最悪の場合には亡くなることもあります。事実、2017年9月〜12月間に発生したナイジェリアにおける流行では、免疫不全患者さんの死亡が報告されています。

検査・診断

サル痘の診断では、原因となっているサル痘ウイルスの存在を証明することが重要です。検査に際しては血液や皮膚病変(水ぶくれや膿などの内容物)、生検したリンパ節などを用いることになります。

具体的な検査としては、

(1)サル痘ウイルスの分離検出

(2)電子顕微鏡におけるサル痘ウイルスの確認

(3)サル痘ウイルスに対しての抗体検出(ウイルスに感染すると人の体内で抗体と呼ばれる免疫物質が産生されます)

(4)PCR法を用いたサル痘ウイルス特異遺伝子の検出(人の体内には存在しない遺伝子をターゲットに検出します)

などが行われます。

治療

サル痘ウイルスに特異的な治療薬は存在せず、症状に対しての対症療法が中心となります。

予防

サル痘ウイルスはラット、リス、サル、チンパンジーなどに感染することが知られています。特にアフリカでは動物がサル痘ウイルスに感染しているリスクが高いことが知られており、動物に噛まれない、血液に触れない、などの対応策を講じることが重要です。また、アフリカから輸入された動物をペットとして飼う場合にも感染につながる危険性があるため留意が必要です。

天然痘ワクチンの接種を受けた世代では、感染予防、症状の軽症化が知られています。日本では1976年に天然痘ワクチンの定期接種が中止されています。

人から人へ感染が広がる可能性は天然痘と比較すると低いですが、患者さんの看病に際しては注意が必要です。具体的には、介助の際に手袋、マスク、ガウンなどを使用すること、濃厚接触を避けること、手洗いを行うことが重要です。