かすいたいえん

下垂体炎

別名
リンパ球性下垂体炎,肉芽腫性下垂体炎
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

下垂体炎とは、脳の一部位である下垂体に炎症が生じる疾患です。 「リンパ球性下垂体炎」や 「肉芽腫性下垂体炎」と呼称されることもあります。

下垂体は副腎皮質刺激ホルモンや甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモンなどを放出して、他の器官に働きかけ、重要なホルモン分泌調節を司る役割があります。

また、成長ホルモンやプロラクチン、抗利尿ホルモンなどさまざまなホルモンの分泌も行い、ヒトの生命活動のなかで非常に重要な働きを担っています。

下垂体にどのようなメカニズムで炎症が引き起こされるのか明確には解明されていません。しかし、他の自己免疫疾患を合併している例が多いことや、組織学的に下垂体にリンパ球の浸潤(しんじゅん)(広がり)が見られることから、何らかの自己免疫疾の異常が関与していると考えられています。

また近年では、抗体の一種であるIgG4が増加することでIgG4陽性形質細胞がさまざまな臓器に浸潤して障害を引き起こす全身性IgG4関連疾患という病気が難病指定されており、下垂体炎はその症状の一部として発症することもあります。

下垂体炎は下垂体機能を低下させるため、さまざまなホルモン分泌が低下して全身に多くの症状を引き起こします。

下垂体炎はまれな疾患ですが、下垂体腺腫などの下垂体機能低下を引き起こす他の疾患との鑑別(見分けること)が困難な場合も多く、除外診断を行うことで適切な診断を行う必要があります。

原因

下垂体炎の発症メカニズムは明確には解明されていませんが、妊娠末期~産褥(さんじょくき)の女性に発症することもあります。

また、下垂体炎では下垂体内にリンパ球の浸潤が多く見られることや、他の自己免疫疾患を罹患している患者さんが多いことから、何らかの自己免疫異常によって引き起こされることが示唆されています。

一方、近年では抗体の一種であるIgG4が高値で、下垂体内にIgG4陽性形質細胞が多数浸潤しているケースも見られており、全身性IgG4関連疾患の一症状として発症することもあります。

症状

下垂体炎の主な症状は、頭痛、視野障害、下垂体機能低下です。

下垂体からは副腎皮質刺激ホルモンや甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、抗利尿ホルモンなどが分泌されるため、これらの分泌が低下することで易疲労感や抑うつ気分、無月経尿崩症など全身にさまざまな症状が現れます。

また、プロラクチンの分泌が上昇するケースもあり、乳汁分泌が生じることもあります。

検査・診断

下垂体炎はさまざまな症状が生じますが、基本的にはそれらの症状を引き起こす他疾患を画像検査などで除外することで最終的な診断がくだされます。

画像検査では、造影剤を用いたMRI検査が行われます。下垂体炎では下垂体茎や下垂体の腫大が見られますが、下垂体腺腫と見分けが付かないことも少なくありません。

このため、妊娠末期~産褥期にかけての急激な発症など、発症の状況などから下垂体炎を疑う場合には下垂体の生検を行って、リンパ球やIgG4陽性形質細胞の浸潤が見られないか病理検査が行われます。

また、下垂体の機能を把握するために、ホルモン値検査や、ホルモン分泌刺激試験などが行われることもあります。

治療

下垂体炎ではさまざまなホルモン分泌が低下するため、適切なホルモン補充療法が必要となります。

また、下垂体の腫大によって頭痛や視野障害などの症状が著しい場合には、ステロイド投与によって腫大を改善する治療が行われますが、効果が認められない場合は稀ですが外科的に腫大した下垂体の一部を切除することもあります。

ステロイド投与を続けることで、炎症は数か月で治まり、下垂体へのダメージの程度によっては下垂体の機能が回復する場合もあります。このため、下垂体炎は外科的な治療を行う前に適切な診断と内科的な治療が行われる必要があります。

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