ちゅうじえん こども

中耳炎(こども)

耳・鼻

目次

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概要

耳は、外耳、中耳、内耳という3つの構造によって成り立ちます。このうち中耳は『鼓膜』(こまく)(音を伝達する膜)、『中耳腔』(ちゅうじくう)(鼓膜の奥の空間)を指し、中耳炎とは、この中耳に何らかの炎症・異常が起きる疾患の総称になります。中耳炎とは一つの疾患を指すのではなく、「急性中耳炎」、「慢性中耳炎」、「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」、「癒着性(ゆちゃくせい)中耳炎」、「真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎」の5つに大きく分類することができます。

小児においては、ウイルス性急性上気道炎に続発して発症する「急性中耳炎」をみることが多いです。急性中耳炎は適切な治療介入で完治が十分期待できますが、なかには鼓膜が破れることを繰り返して慢性中耳炎を発症したり、中耳腔に貯留した液体がなかなか改善せずに滲出性中耳炎を続発したりすることがあります。この状況においては、難聴や言葉の発達に悪影響が生じることもありえるため、適切な治療介入が必要になります。

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原因

中耳炎の種類毎に原因は異なります。

1) 急性中耳炎

中耳腔は、「耳管」と呼ばれる管によって、鼻や口の中とつながっています。風邪をひくと、鼻や口の中でウイルスや細菌が増殖しますが、耳管を介して中耳腔に病原体が広がることがあります。こうして中耳腔に入り込んだ病原体により炎症が生じた状態が、急性中耳炎です。細菌のなかでも「肺炎球菌」や「インフルエンザ菌」呼ばれる菌が急性中耳炎の原因になることが多いです。

子どもは急性中耳炎にかかりやすいといわれていますが、これにはいくつかの理由があります。1つめに子どもは、耳管(じかん)(中耳腔と鼻・喉をつなぐ部分)の機能が未熟で開閉がうまくできないため、そして2つめに子どもの耳管は大人よりも短く水平で、鼻や喉で増殖した細菌やウイルスが侵入しやすくなるためです。また、子どもは免疫力が低いうえに、保育園や幼稚園に通っている場合は子ども同士で触れ合う機会が多く、唾液や鼻汁を介して細菌やウイルスに感染しやすい環境にあることも一因です。

より詳しい情報は、記事①記事②をご参照ください

2) 慢性中耳炎

慢性中耳炎とは、中耳腔の炎症などの影響により、3か月以上継続して鼓膜に穿孔(せんこう)(穴)がある状態をいいます。

穴があく原因としてはいろいろなものがありますが、小児において最も多い原因は、先に挙げた急性中耳炎が重症化し、鼓膜の穿孔を反復する場合です。その他にもスポーツなどで頭をぶつける、平手打ち、耳かきが奥に入るなどのため鼓膜が破れた場合(外傷性鼓膜穿孔)、あるいは綿棒の使い過ぎで薄い鼓膜をこすり取ってしまうことなどでも起こります。

細菌学的な要因も一つであり、MRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌)を含む黄色ブドウ球菌や緑膿菌が懸念されるところです。

より詳しい情報は、記事①記事②をご参照ください

3) 滲出性中耳炎

中耳の炎症や換気の異常により、滲出液(組織からしみ出した液)が中耳腔にたまった状態を滲出性中耳炎と呼びます。

小さい子どもの9割が、一度は滲出性中耳炎を発症するといわれています。これは、耳管の開閉機能が未熟であることと感染による炎症が要因となっています。耳管の機能が健全であれば、感染症による炎症で分泌液が増えても耳管を通して排出されるのですが、耳管の機能に問題があるとうまく排出されずに中耳内で貯留液となってしまいます。

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4) 真珠腫性中耳炎

真珠腫性中耳炎とは、中耳腔に角化上皮(皮膚のように垢を出す上皮)が存在する状態です。鼻すすりやアデノイドがある場合には、鼓膜の一部が中耳側へへこみやすい状況になり、真珠腫性中耳炎を引き起こします。また慢性中耳炎の孔から皮膚が入り込む場合、生まれつきの異常で中耳に角化上皮がある場合(先天性真珠腫)などもあります。真珠腫性中耳炎では、堆積した角化物(耳の垢のようなもの)が周囲の骨を壊していく状態をいいます。

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症状

症状は、急性のものと慢性のもので大きく分けることができます。

1) 急性中耳炎

急性中耳炎を発症すると、激しい耳痛や発熱が起こります。数日~1週間前から風邪の症状がある子どもが、急に強い片耳の痛みを訴えて泣くというのが一般的な経過です。重症化すると、鼓膜が破れて耳垂れが生じることもあります。炎症が内耳を含むさらに奥深い臓器に広がると、耳鳴りやめまいを訴えることもあります。しかし、子どもの場合は自覚症状を正確に訴えることができないことも多く、不機嫌である、泣く、ということで認知されることもあります。

2) 慢性中耳炎

慢性中耳炎のおもな症状は『難聴』で、細菌感染を起こした場合には耳だれが出ることもあります。慢性中耳炎による炎症を反復すると、鼓膜と内耳をつなぎ、中耳で音を伝える耳小骨が固まって音が伝わらなくなったり、音を聞き取る内耳そのものの機能が低下したりすることで、難聴が進行していきます。慢性中耳炎を放置すると、年月が経つほどに治療は難しくなり、聴力の回復が悪くなることがしばしばあります。

3) 滲出性中耳炎

滲出性中耳炎では、特別な痛みや発熱をみることはありません。しかし、中耳に水がたまっていることを反映し難聴(特に頭を傾けたとき)、プールで耳に水が入ったときのような耳が詰まった感じ、飛行機など気圧の変化で耳がツーンとするなどをみます。

4) 真珠腫性中耳炎

真珠腫では、中耳から周囲の骨が破壊されていきます。中耳の近辺には顔面を動かす神経や味覚を感じる神経などの重要な神経、体のバランスを取る三半規管や音を感じる蝸牛が存在するため、真珠腫がこれらを障害することで顔面神経麻痺や味覚障害、めまいや神経性の難聴などの症状が引き起こされることもあります。

より詳しい情報は、記事①記事②記事③をご参照ください

検査・診断

中耳炎においては、顕微鏡か内視鏡を用いて鼓膜を拡大し、注意深く観察することで診断可能です。その後にどのような検査を追加して行うかは、中耳炎の種類によって異なります。

急性中耳炎においては、どのような菌が炎症を引き起こしているかを判定するために、細菌の培養検査を行います。

また、慢性中耳炎や滲出性中耳炎など、聴力に影響が及ぶことが推察されるときには、聴力検査を行い聞こえの状態をチェックします。小さい子どもでは正確に聴力検査を行うことが難しいときもあり、脳波などの反応から聴力を推定する検査をする必要もあります。

炎症が奥深くに波及していることが疑われる状況や、真珠腫性中耳炎においては、画像検査が追加されることもあります。

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治療

治療方法は、中耳炎の種類に応じて大きく異なります。内科的な保存療法で十分なものもあれば、手術が必要な中耳炎もあります。

1) 急性中耳炎

急性中耳炎の治療では、重症度にもよりますが、軽症の場合は痛み止めで経過観察をすることもあります。細菌感染が疑われるときには、培養検査や臨床経過を参考にして抗生物質を選択して投与します。中耳の炎症が激しく痛みが強い場合や高い熱が続いている場合、炎症を反復して直接の起炎菌を知る必要がある場合などには、鼓膜を切開してたまった膿を出すこともあります。

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2) 慢性中耳炎

急性中耳炎に続発した慢性中耳炎では、抗生物質により経過観察を行うこともありますが、手術による鼓膜閉鎖が基本方針になります。単純な穿孔であれば鼓膜形成術を、耳小骨が固まったり溶けてなくなったりしている場合には耳小骨を組みなおす鼓室形成術を行います。

その他、外傷や綿棒の使い過ぎ等をきっかけとした慢性中耳炎では、自然治癒が期待できるため、手術適応にはすぐにはなりません。

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3) 滲出性中耳炎

本来自然治癒傾向の強い疾患ですが、有効性の高い薬物は報告されていません。鼓膜切開は一時的に聴力をよくしますが、穿孔がふさがると再発することが少なくありません。切開後に治癒する症例は、切開しなくても治癒するとされます。通常は発見されてから3か月程度経過を観察し、治らない場合には換気チューブの留置を検討します。

より詳しい情報は、記事①記事②をご参照ください

4) 真珠腫性中耳炎

真珠腫では早期に手術をおこなわないと骨の破壊が進んで合併症を起こすリスクや、手術をしても取り残して術後に再発するリスクが上がっていきます。そのため、真珠腫性中耳炎に対する基本治療方針は手術になります。

真珠腫の手術は耳の手術のなかでも難易度が高いとされ、現在行われている術式にはそれぞれ長所と短所があります。採用される術式や所要時間には施設によって大きな開きがあるのが現状です。

より詳しい情報は、記事①記事②をご参照ください

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