げんぱつせいめんえきふぜんしょう

原発性免疫不全症

概要

原発性免疫不全症候群とは、先天的に免疫機能に異常があり、種々の病原体に対しての免疫力が低下している病気を指します。免疫を担当する細胞には、好中球、T細胞、B細胞、NK細胞など種々のものがありますが、これらの細胞はそれぞれ独自の役割を担っており、障害を受ける細胞によってどういった病原体に対して免疫力が低下するかが異なってきます。

日本において原発性免疫不全症候群は難病指定を受けている疾患の一つであり、病気全体として出生1万に対して毎年1人位出生しており、中でもX連鎖無ガンマグロブリン血症や慢性肉芽腫症が多いと報告されています。

原発性免疫不全症候群は易感染性を示すことになり、ありふれた病原体に対しても何度も病気を繰り返したり、免疫力が正常であれば問題とならない病原体に対して感染したりします。 治療としては感染に対する抗生物質や輸血が行うことが基本になりますが、疾患によっては根治療法として骨髄移植や遺伝子治療が実施されることもあります。

原因

原発性免疫不全症候群とは、遺伝子に異常が存在し免疫系に障害が生じる病気です。免疫系とは、体内に侵入した病原体・異物を生体から排除するために働く生体の防御反応を指します。

B細胞や抗体、T細胞、NK細胞、好中球、マクロファージ、補体といった数多くの細胞・物質が連携体制をとりながら免疫は構築されています。原発性免疫不全症候群ではこれらのうちでも、どの部位が障害を受けているかによって症状の出方も異なってきます。

例えば、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌といった細菌から身体を守るためには、抗体が正常に働くことが重要になります。しかし抗体が欠乏する原発性免疫不全症候群でおいては、こうした菌に対して脆弱性を示すことになります。

また、T細胞系に異常が生じる原発性免疫不全症候群では、健康な状態であれば問題となることのない病原体(緑菌やカンジダ、ニューモシスチス肺炎など)に対して日和見感染を示します。

その他、ナイセリア属と呼ばれる細菌に対する防衛機能として、補体と呼ばれる免疫物質が重要です。補体が欠損するような原発性免疫不全症候群では、ナイセリアに対しての免疫力が低下することになります。

原発性免疫不全症候群は、遺伝子異常を原因として病気が発生しています。原発性免疫不全症に含まれる疾患は多岐に渡り、それぞれに応じた原因遺伝子が同定されてきています。最も重症な原発性免疫不全症候群の一つである複合免疫不全症では、IL2RG遺伝子に異常が存在します。また、比較的日本において頻度の高いX連鎖無ガンマグロブリン血症、慢性肉芽腫症といった病気では、それぞれBTK遺伝子、CYBB遺伝子に異常が同定できます。

家族歴がなく原発性免疫不全症候群が発症することもありますが、遺伝性疾患として発症することもあります。遺伝様式も病気のタイプにより様々であり、多くは「X連鎖性劣性遺伝」もしくは「常染色体劣性遺伝」と呼ばれる遺伝形式をとります。

X連鎖性劣性遺伝形式をとる疾患では、基本的に病気を認めるのは男児であり、女児が異常遺伝子を有する場合には病気の保因者となります。病気をもつ男児から次世代で同じ病気を発症することはほとんどありませんが、女の子が生まれた場合は病気の保因者になります。病気の保因者である女性からお子さんが出生した場合、男児であれば理論上50%で病気を発症し、女児であれば50%の確率で病気の保因者となります。

常染色体劣性遺伝形式においては、両親が保因者でありそのお子さんに病気が発生する、という遺伝形式をとります。次世代において病気が発生する確率は理論上25%であり、お子さんが病気の保因者になる確率は50%です。 

症状

原発性免疫不全症候群の主要症状は易感染性です。原因の項目でも述べたように、免疫系の中でもどの部位が障害を受けるかによって、どういった病原体に対して脆弱性を示すかが異なってきます。

幼少期から感染を繰り返したり、ありふれた感染症に対しても重症化しやすく通常とは異なる経過をとったりします。例えば、肺炎球菌はワクチン接種対象にもなっている病原体の一つですが、肺炎や中耳炎髄膜炎の原因になる病原体です。

肺炎球菌に易感染性を示す原発性免疫不全症候群では、抗生物質の治療を行うにも関わらず病原体が体内で拡大し、人工呼吸器や循環のサポートを要する呼吸不全、髄膜炎を発症することがあります。呼吸器系が何度も強い障害を受ける結果、続発症として気管支拡張症を発症することもあります。

水痘に罹患した際も、発疹が全身に広がり重症化することがあります。 原発性免疫不全症候群のなかには、普段は問題とならない病原体に対して日和見感染を示すことがあります。ニューモシスチス肺炎カンジダ症が代表例としてあげることができます。 また原発性免疫不全症候群の中には、感染に関連した症状を示さず、湿疹や自己免疫症状が前面に出ることがあります。 

検査・診断

原発性免疫不全症候群では、免疫系を担当する細胞や物質をそれぞれ詳細に検討することから診断がされます。 血液検査にて白血球数(好中球やリンパ球)、それに関連してT細胞やB細胞の数を確認します。抗体を概要的に俯瞰するために、IgG抗体やIgA抗体、IgM抗体と言った免疫グロブリンの値を確認することもあります。

また補体の量を評価することもあります。 細胞の数そのものが正常であっても、機能が低下していることもあります。これを確認するために、PHA(phytohemagglutinin)刺激に対するリンパ球増殖反応や遅延型皮膚過敏反応、好中球の殺菌能、NBT(nitroblue tetrazolium)還元能、活性酸素産生能などを調べることになります。

原発性免疫不全症候群では多くの疾患において原因となる遺伝子異常が同定されています。遺伝子異常を検索することを目的として、遺伝子検査が行われることもあります。

治療

原発性免疫不全症候群の治療の基本は、感染症を併発した時に病原体に対して効果のある薬剤を投与することになります。無ガンマグロブリン血症ではガンマグロブリンが体内で不足している状態であるため、輸血にて補充されることになります。

原発性免疫不全症候群は、血球系細胞が異常を示すことから発症する病気が多いです。異常な血球を正常な血球と入れ替えることで完治が期待できるため、骨髄移植といった治療方法が選択されることもあります。

その他、アデノシンデアミナーゼ欠損症では酵素が不足している状態であり、酵素補充療法が行われます。またアデノシンデアミナーゼ欠損症や複合免疫不全症では、遺伝子操作を行う遺伝子治療が行われることもあります。

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