概要
声帯結節とは、発声に重要なはたらきをする声帯に生じる炎症性の硬いこぶを指します。声帯にできる一種のタコのようなものです。声帯の前方3分の1に発生することが多く、通常、左右対称に発生します。
日常的に声を出すことの多い方に発症する頻度が高く、小児も含めた幅広い年齢層にみられ、女性に多い傾向があります。また、歌手にみられることも多いため、別名:謡人結節ともいわれます。
声帯ポリープなど声帯に発生するほかの病気と同様、声帯結節を発症するとしゃがれ声や空気が漏れたような声になります。
声の酷使を理由に発症する病気であるため、発声を控え、声帯の安静を図ることで症状の改善が期待できます。しかし、保存的な治療をおこなっても症状が改善しない場合、職業柄より早期の完治が求められる場合などには、手術による介入を検討します。
原因
声帯は空気の通り道である気管の入り口に、左右にひだ状に位置しています。空気の行き来で声帯を動かし、声を形成します。左右の声帯がこすれあうことで摩擦が生じます。この摩擦刺激を繰り返すと粘膜が厚く硬くなり、浮腫状に腫れたり線維化が起こったりすることで声帯結節が発症します。
声帯結節は日常的に声を酷使している職業の歌手、教師、保育士、アナウンサーなどがよく罹患する病気です。子どもの場合はやや男子に多く、活発な子ほど発症しやすいといわれます。また、逆流性食道炎があると、炎症が増悪することになり、結果として声帯結節の悪化につながるとも考えられています。なお、先天的・遺伝的な要素はなく、大人と子どもの症状の違いもありません。
症状
症状は声枯れ(嗄声)が主にあらわれ、のどに違和感が生じることもあります。また、日内変動や週内変動があったり、声を出すことが少なかった日などは症状が軽快したりする点も特徴です。声帯結節が発生すると両側の声帯がうまく合わさらなくなり、空気が漏れやすくなります。そのため、話をしているときや歌を歌っているときに空気が漏れているような声になることがあったり、声が続かないことがあったりします。
検査・診断
声帯結節の診断は、声帯局所の観察を行うことからなされます。
具体的には、ファイバースコープと呼ばれる細いカメラを用い局所観察を行います。声帯結節では、声帯に炎症性の硬いこぶを生じています。声帯の前方3分の1に発生することが多く、通常、左右対称に発生します。
また、喉頭ストロボスコープを用いて声帯の振動を観察することもあります。
治療
声帯結節は声の酷使がそもそもの原因なので、治療の基本は、声帯を安静にすることです。発声を控えて喉の安静を図りつつ、消炎薬の投与やステロイドホルモンの吸入などの薬物治療を併用します。
声帯結節では、声の出し方が原因となっていることもあるため、正しい方法を身につけるための音声治療を行うこともあります。これらの保存的治療法を実施することで、多くの声帯結節は治癒が期待できます。
保存的治療方法が奏功しない場合や病変が高度の場合、職業柄早く完治させたいという要望がある場合には、手術により結節を切除することになります。
手術は全身麻酔をかけたうえで、喉頭顕微鏡下手術が行われます。手術後は、傷口を保護するために1週間程度沈黙期間を設けます。また、2週間程度は大声を出したり、カラオケに行ったりするのを控える必要があります。また、過度の喫煙は完治後の再発を誘引するため、禁煙が求められる場合もあります。
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